告訴事実の書き方13(過失傷害罪)
過失傷害罪は、必要な注意を払わずに(注意義務に反して)行為を行ったことにより、他人にケガを負わせる罪です。本罪は親告罪なので、被害者による告訴がないと検察官は起訴ができません。自動車運転による人身事故は。業務上過失傷害罪に問われることになりますが、単純過失傷害罪か業務上過失傷害罪かの線引きは「免許が必要な業務かどうか」と言われた時代もありましたが、現在では必ずしも免許の有無だけではなく、「反復継続して行う業務」として幅広く捉えられるようになってきています。なお、業務上過失傷害罪は、単純と異なり、非親告罪ですので注意が必要です。
単純過失傷害罪の告訴事実記載例です。
告訴事実
刑法第209条 過失傷害
被告訴人は、令和6年7月7日午後2時0分頃、東京都足立区千住1丁目2番3号JR東日本株式会社常磐線北千住駅1番線ホーム上を駆け足で進行していたが、当時同ホーム上には電車の到着を待つ利用客が多数存在しており、常に周囲の利用客の動きを注視しながらゆっくりと歩いて進む等、他の利用客との衝突等の危険を回避すべき注意義務があったのに、これを怠り、漫然と駆け足進行を続けた過失により、同ホーム上に立ち止まって電車を待っていた告訴人と衝突して転倒させ、よって、告訴人に対し、加療約2か月を要する右前腕部骨折の傷害を負わせたものである。
業務上過失傷罪の告訴事実記載例です。
告訴事実
刑法第211条 業務上過失傷害
被告訴人は、東京都足立区足立1丁目5番6号所在の足立遊園地の管理部長として、同園内の遊具の保守管理業務の責任者であった者であるが、令和5年12月1日に実施された園内遊具一斉点検の際、必要な点検作業手順を遵守せず、漫然と点検作業を行ったことから、第一号滑り台の天板固定ボルト8本のうち3本が破断しているのを看過し、もって、同滑り台の倒壊事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、不注意によりこの措置を怠り、利用客に対する同滑り台の供用を続けた過失により、同月3日午後2時0分頃、同滑り台が倒壊したことから、同滑り台の天板に立っていた告訴人の長女である間中いずみ(当時4歳)に対し、全治約1か月を要する右手示指骨折、右腰部打撲等の傷害を負わせたものである。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。