告訴事実の書き方12 (虚偽告訴罪)

 虚偽告訴罪は、特定の人物に刑事上の処罰を受けさせる目的で、捜査機関(警察、検察等)に対して、虚偽の申告をすることで成立します。犯人の人物を特定せず、単に「駅前で人が包丁で刺されています。」と嘘の通報を警察官にした場合は、軽犯罪法の虚偽申告にしかなりません。

 虚偽告訴罪は「告訴」が罪名に入っているので、「告訴」しなければ成立しないと思われがちですが、実際は警察官等に対して口頭申告でも、被害届の提出であっても成立します。この点、罪名が紛らわしいので、「虚偽処罰申告罪」のような罪名への変更があってもいいかなと思います。なお、本条に未遂規定はなく、捜査機関に申告した時点で着手があり同時に既遂になります。よって申告や被害届が受理されたかどうかは本罪の成立に影響しません。

 嘘の虚偽告訴罪で人を訴え出た場合、当然にこれも虚偽告訴罪が成立します。

 口頭で虚偽告訴を行った場合の告訴事実記載例です。

 郵送で告発状を送付した場合の告訴事実例です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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