刑事手続とマスコミ用語
テレビニュースなどで「タレントの○○が書類送検されました」「製薬会社○○の本社が警察の家宅捜索を受けました」「歌手の○○が刑事告訴されました」これらは全部マスコミ用語であり、警察官も検察官も裁判官も仕事においては使いません。
警察等から事件を検察庁に送ることは「送致」又は「送付」と言います。ちょっと面倒なのですが、告訴・告発事件を書類だけで送ることを「送付」といい、それ以外は全て送致になります。どちらにしても「送検」という言葉は、刑事訴訟法のどこにも出てきません。まあ、一言で「検察庁に事件が送られたんだな」とわかりやすい言葉ではあります。最初に考えた記者はなかなかだと思います。
家宅捜索も使いません。ガサのことは「捜索差押」と言います。ガサるのが自宅であれ、勤め先の事務所であれ、自動車であれ、全部「捜索差押」です。なのでテレビニュースで冒頭のように「会社事務所を家宅捜索」と言っているのを聞くと「会社は家宅なのか?」と毎回違和感を感じます。
「刑事告訴」には、「刑事」が余計です。告訴とは刑事訴訟法に定められた手続であり、民事に告訴はないのですからわざわざ頭に「刑事」を付ける必要がありません。なんとなくマンガ「ワンパンマン」に出てくる「音速のソニック」を連想させる言葉です。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。