告訴状(告発状)の提出先
告訴状の提出先ですが、警察署(都道府県警本部含む)と検察庁の2つしかありません。では、どちらに提出すべきかとなります。検察庁で受理される告訴は、おおよそ下記のような事件になると思います。
- 議員や首長、公務員が被告訴人となる事件
- 贈収賄事件
- 脱税事件
- その他社会に大きな影響を与えるような事件
逆に言えば、これらに該当しない、個人を被害者とする事件や社内犯罪、薬物犯罪、特別法違反事件、交通関連事件などは受け付けてもらえない可能性が高いということになります。よって、そうした事件の場合は、警察署に提出することになります。
では、どこの警察署に行ったらいいでしょうか? 法律上は、告訴はどこの警察署に提出してもいいことになっています。ですが、警察署には管轄地域というものがあります。例えば北海道で起きた事件を大阪府警で受理して捜査するとなると、現場確認や関係者の取り調べ、聞き込みなどで大阪と北海道を何度も行ったり来たりすることになり、時間と税金の無駄です。また、捜査員が北海道に行っている間に大阪で重大事件が発生すれば、大阪での初動捜査がその分手薄になってしまいます。
では、大阪府警が北海道警察に受理した告訴事件を送付すればいいのでは、となります。しかし、受理した告訴事件を都道府県警察間で送り合うという手続は、現実にはほぼ行われていません。明文化されたものではありませんが、警察内部では告訴について「受理責任」という概念があり、「受理した以上は受理した所属が責任持って最後まで捜査しろ」という考え方なのです。したがって大阪府警が北海道で起きた告訴事件を受理し、管轄の道警署に電話しても「そっちがこちらの了承も得ずに受理したんですから、送ってもらっても困ります。そちらで責任持って処理してください。」と断られることになるでしょう。
以上のような内部事情もあり、管轄外の警察署に告訴状を提出しに行っても、「こちらは管轄外なので、発生場所である○○県警××署に行ってください。」と門前払いされることになります。告訴人と受ける警察側、双方の利益のためにも、最初から発生場所管轄の警察署に行かれるべきかと思います。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。