警察が動いてくれないときの対応策【元刑事が解説】
「警察に相談したのに動いてくれない」「被害届を出したのに何も進展がない」と悩んでいる方は少なくありません。
しかし、警察が動かない理由は一つではなく、「証拠不足」「事件性が認められない」「被害届と告訴状の違い」など、状況によって異なります。
私は警視庁で32年間勤務し、そのうち25年間を刑事として捜査に携わってきました。その経験から、警察が動いてくれない主な理由と、それぞれの対応策を解説します。
警察が動いてくれない理由①「証拠がない」と言われた場合
警察が動いてくれない理由として最も多いのが、「証拠がない」というケースです。
例えば、「お前をナイフで刺して海に沈めてやる」と口頭で脅された場合は、脅迫罪が成立する可能性があります。しかし、録音や動画、目撃者がいなければ、「証拠がない」と判断されてしまうことがあります。
もちろん、被害者の供述も法律上は立派な証拠です。しかし実際の捜査では、
「言った・言わないになってしまうので立件は難しい」
という理由で、警察が積極的に動かないことは珍しくありません。
間接証拠を集めることが重要
録音などの直接証拠がなくても、間接証拠を集められる可能性があります。
例えば、
- 犯人から同じような脅迫を受けた人を探す
- その人に陳述書を書いてもらう
- 過去のメールやSNSの脅迫メッセージを保存する
- LINEなどのスクリーンショットを確保する
といった方法です。
例えば、
「令和○年○月○日、東京都三鷹市○○で○○○○から『お前の実家に火をつけるぞ』と言われました。」
という内容の陳述書を書いてもらえれば、有力な間接証拠になります。
このような証拠が複数集まれば、警察としても
「同様の脅迫を繰り返している危険人物」
と判断し、捜査が始まる可能性が高まります。
警察が動いてくれない理由②「事件性がない」と言われた場合
「事件性がありません。」
これは警察相談でよく使われる言葉です。
本当に犯罪の構成要件に当てはまらないのであれば、刑事事件として扱うことはできません。
しかし、警察官も人間です。法解釈や判例を十分に把握しておらず、誤った判断をすることもあります。
類似事件を探してみる
まずは、
- 事案のキーワード(3~6語程度)
- 「逮捕」
- 「書類送検」
などを組み合わせて検索してください。
すると、自分とよく似た事件について、
「○○県警が逮捕」
「○○県警が書類送検」
という報道記事が見つかることがあります。
その記事を印刷して担当刑事へ示し、
「○○県警では、この事案で逮捕しています。」
と説明すれば、「事件性がない」という判断は撤回されるでしょう。
AIを利用する場合の注意点
AIに犯罪の成立を質問することもできますが、その回答だけでは警察を動かすことは困難です。
刑事から見れば、
「AIには法的権限も証拠能力もない」
という認識だからです。
AIを利用するのであれば、
「根拠となる判例を教えてください」
と質問する方が有効です。
例えば、
「昭和58年7月21日最高裁判決」
などと回答された場合は、裁判所の判例検索で判決文を取得し、印刷して警察へ持参すると説得力が極めて高まります。
判例は実務上も非常に重要であり、警察は無視することはできません。
警察が動いてくれない理由③ 被害届を受理したのに進展がない場合
被害届を提出したにもかかわらず、何か月経っても警察から連絡がないケースもあります。
この場合は、「被害届」と「告訴状」の違いを理解することが重要です。
被害届は送検義務がない
被害届を受理した警察は、一定の捜査義務は負います。
しかし、検察庁へ事件を送致(送検)する義務まではありません。
そのため、
- 犯人が見つからない
- 証拠が乏しい
- 事件性が弱い
と判断された場合には、事実上、捜査が止まってしまうことがあります。
告訴状は送検義務がある
一方、告訴状を受理した場合は事情が異なります。
警察には、
- 捜査義務
- 検察庁への送致(送検)義務
の両方が発生します。
犯人が判明していなくても、証拠が十分でなくても、最終的には事件を検察へ送致しなければなりません。
そのため、被害届を提出しただけで進展がない場合には、告訴状の提出を検討する価値があります。
ただし、追加で提出する告訴状の受理は非常にハードルが高く、十分な準備が必要です。
告訴状を提出したのに警察が動いてくれない場合
告訴状が正式に受理されているのであれば、基本的には待つしかありません。
警察署によっては10件、20件以上の告訴事件を抱えていることもあり、時効が近い事件から順番に処理しているためです。
また、事件によっては関係者への事情聴取や証拠収集に時間がかかることもあります。
数か月連絡がないからといって、必ずしも何も捜査していないとは限りません。
まとめ|警察が動いてくれないときは原因に応じた対応が必要
警察が動いてくれない理由には、証拠不足、事件性の判断、被害届と告訴状の違いなど、さまざまな原因があります。
重要なのは、「警察が動かない」と諦めるのではなく、動けない理由を見極め、その理由に応じた対策を取ることです。
元刑事の経験から言えば、適切な証拠を整理し、法的根拠を示し、必要に応じて告訴状を提出することで、警察の対応が変わるケースは少なくありません。
○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


