告訴状・告発状の作成について行政書士ができることできないこと【元刑事が解説】
告訴状・告発状の作成自体は、行政書士の業務として認められたものです。ただし、警察に提出するものに限られ、検察庁に提出するものの作成はできません。検察庁に提出する場合は、弁護士または司法書士に依頼することになります。ただし、検察庁に提出する人は少ないことから、司法書士で告訴状・告発状の作成を取り扱い業務としている先生は非常に少ないのが実状です。
相談については、告訴状・告発状の作成に関することであれば有料で業務として行うことが可能です。ただし、法律相談や法律顧問として有料で受任すると弁護士法違反(非弁行為)となるので、行政書士にはできません。被告訴人・被告発人と示談などの交渉をすることも当然にできません。
告訴状・告発状を警察署に提出する際、告訴人・告発人に同行し、「代理作成者」の立場として、説明補助のために立ち会うことは可能です。ただし、弁護士のように交渉権はありませんので、警察に対して受理するように要求したり、不受理の理由開示を求めるなどの行為は、前記と同じく非弁行為に当たるのでできません。
受理に向けて、警察官から告訴状・告発状の加除修正を求められることがあり、このような場合は、「代理作成者」の立場で、警察官と直接のやり取りが可能です。
告訴人・告発人を伴わない告訴状・告発状の代理提出については、特にこれを禁じる法令はないものの、実務上、告訴人・告発人の本人確認と、詳しい事情聴取の必要性などから、警察側から告訴人・告発人本人の出頭を求められることが通例です。また、受理となれば、その後告訴人(告発人)供述調書を作成する必要があることから、最低でも1回は告訴人・告発人は警察署に出向く必要があります。遠方に住んでいるなどの理由で、何度も出頭できない場合は、警察官にその旨を説明し、告訴状・告発状の写し(コピー)を代理人が提出し、審査の上、受理となれば、告訴人・告発人が原本を持って出頭し、その日に供述調書を作成してもらえれば、一度の出頭で済むこともあります。
告訴・告発の取消しをする場合、取消し状の作成が可能です。ただし、非常に簡単な書式なので、別料金であればあえて依頼する必要はないでしょう。
行政書士の中には警察の受理報酬など、受理報酬を取っている先生もいらっしゃいます。全体としては取っていない事務所が多いので、予算に応じて検討してください。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
