告訴状・告発状を提出するタイミング【元刑事が解説】

告訴状・告発状を警察や検察に提出する際、「民事訴訟とどちらを先にすべきか」「どのタイミングで告訴・告発すべきか」と悩む方は非常に多いです。

結論から言うと、
どちらを優先すべきかは事件内容や相手方の対応によって異なり、一律の正解はありません。

すでに弁護士へ依頼している場合は、個別事情を踏まえた判断が必要なため、専門家の方針に従うのが最も合理的です。

ただし、**「犯人の処罰を最優先したい場合」**は結論が明確です。

👉 告訴・告発はできる限り早く行うべきです。

その理由を、元刑事の実務感覚から詳しく解説します。


告訴・告発は早いほど有利な5つの理由

1.証拠が消えてしまう(証拠保全の問題)

時間の経過により、重要な証拠は次々と失われます。

  • 防犯カメラ映像
  • ATM・銀行の記録
  • 通話履歴・通信ログ
  • パソコンやスマホのデータ

これらは保存期間が限られており、数か月で消去されるケースも珍しくありません。

また、

  • 領収書・契約書などの書類
  • 被害品(売却・廃棄)

といった物的証拠も失われる可能性があります。

👉 証拠がなければ事件化は極めて困難になります。


2.犯行現場が変わる・消滅する

事件現場が残っていないと、重要な捜査ができません。

例えば:

  • 駐車場 → マンションに変わっている
  • 店舗 → 閉店・改装されている

このような場合、

  • 実況見分
  • 現場検証

が不可能になります。

👉 現場再現ができない=立証が難しくなるということです。


3.関係者の記憶が曖昧になる

人の記憶は時間とともに確実に劣化します。

  • 被疑者の供述が曖昧になる
  • 目撃者が思い出せなくなる
  • 写真面割りで特定できなくなる

さらに、

  • 重要参考人が転居・連絡不能
  • 病気や事故で証言不能

といったリスクもあります。

👉 証言の信用性は「鮮度」が重要です。


4.捜査できる期間(公訴時効)が限られている

例えば以下の犯罪は、公訴時効が3年です。

  • 暴行罪
  • 器物損壊罪
  • 名誉毀損罪

さらに実務上、

👉警察は 時効の半年前までに検察庁に送致する必要がある

ため、実質的な捜査期間は約2年半です。

例えば:

  • 発生から1年半後に告訴 → 残り捜査期間は約1年

警察は多数の事件を抱えているため、

👉 「残り時間が少ない事件」は敬遠されやすい

という現実があります。


5.警察(刑事)の本音:古い事件は敬遠されやすい

現場の刑事は常に多数の事件を抱えています。

そのため、

  • 1年前・2年前の事件を持ち込まれる
    → 「なぜ今なのか」と感じるのが本音です

もちろん丁寧に対応する刑事が大半ですが、

中には

  • 「今は手一杯で対応できない」
  • 「古い事件は難しい」

と消極的な対応になるケースもあります。

👉 受理されにくくなる大きな要因です。


告訴・告発の目安は「1年以内」

実務上の感覚としては、

👉 発生・発覚から1年以内が重要な目安

です。

これを超えると、

  • 証拠不足
  • 捜査困難
  • 受理拒否リスク

が一気に高まります。


【結論】処罰を望むなら「すぐ動く」が鉄則

犯人の処罰を強く望む場合は、

👉 「できるだけ早く」行動することが最重要です。

具体的には:

  • すぐ警察に相談
  • 証拠の確保
  • 専門家(弁護士・行政書士)への相談

を並行して進めるべきです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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