被害者が病院で亡くなったら保護責任者遺棄致死罪は成立しない?【元刑事が解説】

 「被害者が病院で亡くなったら保護責任者遺棄致死罪は成立しない」これは当事務所のお客様が、ある警察署の刑事課長さんから言われた言葉です。お客様が録音を撮っていたので聞かせてもらいました。刑事課長さんははっきりと何度も繰り返して言っておられました。声の調子からは自信満々と言う感じでしたが、根拠となるものについては一切説明がありませんでした。しかし、この刑事課長の説では、被害者を瀕死の状態にまで放置しても、まだ息があるうちに病院搬送すれば、無罪ということになってしまいます。
 そこで裁判所の判例・裁判例検索で調べてみました。保護責任者遺棄致死罪で被害者が病院で亡くなった事例が5件見つかりました。搬送されてから短時間で死亡したものもありましたが、何か月後に死亡したものもあり、刑事課長さんの説は完全否定されました。このお客様には、この5件の判例・裁判例を印刷して再度相談に行ってもらうように伝えました。無事告訴状が受理されるといいのですが。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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