告訴・告発の受理・不受理を決めるのは誰?【元刑事が解説】

 刑事が告訴・告発の相談を受けると必ず相談受理システムに入力して「相談簿」という書類を作成します(システム名や書類名は都道府県警によって異なります)。相談簿には、事件の概要、告訴人・被告訴人の人定事項、今後の処理予定などが記載されます。初回相談で「事件性なし」等の理由で不受理判断をした場合は、その旨が記載され、相談は「結了」扱いとされます。継続扱いの場合は、経過欄に「被告訴人の銀行口座照会をして事件性を判断したい」などと記載して署長までの決裁を受けます。警視庁の警察署の場合、巡査部長以下が相談を受けた場合は係長(警部補)→刑事課長代理(警部)→刑事課長(警部または警視)→副署長(警視)→署長(警視または警視正)の順番に決裁を受けます。担当者が「不受理」と判断したときでも、内容によっては「これはもうちょっと調べてから判断したほうがいい」などと言われて継続捜査扱いに変更になることがあります。反対に「受理」と判断した場合に、「証拠が足りないので○○に照会して回答を得てから受理の判断をすべき」などと言われて保留にされることもあります。
 このように、告訴事件の受理・不受理は、担当者一人の判断で決められる訳ではなく、複数の警察官の審査を受けた上で、最終的には警察署長の了承を得て決定されます。したがって、「不受理」とされて相談簿の結了決裁が通ると、それは署長が認定したものであり、その警察署としての判断・決定ということになりますので、抗議等しても覆すことは極めて困難です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

Profile Picture