告訴・被害届の取消しと示談【元刑事が解説】

 告訴は刑事訴訟法に規定があり「犯罪被害者が犯人処罰を捜査機関に求める手続き」のことを言います。被害届は犯罪捜査規範に根拠があり「警察は犯罪による被害の届け出があった場合は被害届に記入を求めるか警察官が代書する」とされています。一方で、示談とは、法律の規定はなく、単なる当事者間の約束事となります。したがって、示談に警察官が直接関与することはなく、示談交渉は当事者同士が直接行うか、委任した弁護士を通じて行うことになります。示談書を交わしても、それは当事者間の契約ですから、原本を警察に提出する必要はありません(コピーの提出を求められることはあります。)
 通常、示談は検察官の起訴前に行われることが多く、「告訴または被害届の取消し」若しくは「不提出」が示談金支払いの交換条件となるのが普通です。ここで極めて重要な点が、「絶対に示談金支払い前に告訴・被害届の取消しをしてはならない」ということです。特に親告罪(名誉毀損、侮辱、器物損壊、過失傷害等)の場合は、一度取り消した告訴の再告訴はできないとされていますし、被害届についても、実務上、一度取消願書を提出するとその取消願書を取消することは認められないのが普通です。告訴・被害届を取り消すと、検察官はかなりの高確率でその事件を不起訴とします。ここで、相手側が示談金を払わないからといって示談を取り消しても、不起訴の決定は覆りません。つまり、相手はお金を1円も払わない上に、刑罰も受けないことになり、被害者は完全に泣き寝入りすることになってしまうのです。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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