警視庁に告訴状・告発状を提出する場合どこに行けばいいでしょう?【元警視庁刑事が解説】

 警視庁は、名称が特殊なため、アメリカのFBIのような全国警察と同じような組織だと思っている方がたまにいらっしゃいますが違います。警視庁の実態は「東京都警察」であり、茨城県警や三重県警と同列の一地方警察に過ぎません。したがって、静岡県内で発生し、告訴人も被告訴人も静岡県内に住んでいる事件の告訴状を警視庁に持って行っても絶対に受理してもらえません。警視庁に告訴状を受理してもらえるのは、原則東京都内で発生した事件となります。ただし、ネット上における名誉棄損罪や、メールによる脅迫罪・恐喝罪など、発生場所が判然としない犯罪の場合は、被害者が住んでいる場所を管轄する警察となりますので、都内に住所があることが必要となります。
 では、警視庁のどこに告訴状を提出するかというと、警察署になります。交番や駐在所では受け付けてもらえません。さらにどこの警察署かとなると、事件発生場所を管轄する警察署が優先順位で一番となります。前記のように発生場所が判然としない犯罪の場合は、被害者が住んでいる場所を管轄する警察署になります。
 悩むのは、発生場所が複数ある事件の場合です。例えば詐欺事件で、犯人と会って騙された場所が新宿区内と中野区内の2カ所、現金を渡して騙し取られた場所が渋谷区内と目黒区内の2カ所というようなケースです。このようなケースでは、場所を管轄する警察署が4署あり、どこの警察署に行ったらいいか悩むと思います。このようなケースであれば、①最後に現金を渡した場所の警察署に行く ②自宅住所を管轄する警察署に行く ⓷警視庁捜査二課聴訴室に行く(知能犯事件の場合のみ) という3つの方法があります。ただし、事件内容によっては「うちではないので○○署に行ってください」などと門前払いされることもありうるので、事前に電話して相談を受け付けてもらえるかどうか確認してから行ったほうがいいでしょう。
 


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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