告訴・告発事件の検事相談について【元刑事が解説】
告訴・告発事件は、警察側の判断で勝手に検察庁に送致することは基本的に許されません。特に詐欺や業務上横領、背任などの知能犯事件は、事前に検事相談といって、刑事が事件書類と事件チャートを持って検察庁へ行き、事件の概要を説明するとともに、強制捜査でいくのか任意捜査で書類送致とするかなどの方針を話し合います。
ほとんどの場合、検察官から「よく出来てます。これでOKです。いつでも送致してください」と言われることはありません。大抵、厳しい宿題が出されます。宿題とは、追加捜査のことです。内容は、裏付け捜査の下命が多く、我々刑事が「この位でいいだろう」と思うレベルの120%~130%くらいを要求してきます。検事は起訴の先の公判維持までを見据えているので仕方ないことなのですが。
この検事相談ですが、行くと無駄になる時期があります。定期異動にかかっている検事の場合、移動日である3月から4月の2、3か月前に相談に行くと、一応話は聞いてくれるのですが、「僕、3月異動なんで、次の検事に申し送っておきますね」で終わりです。ひどい検事だと、前年11月くらいから新規の告訴・告発事件送致を受け付けてくれないことがあります。
さて、4月に新しい検事が来れば、再度検事相談に行かないとなりません。同じ説明を繰り返すことになるのですが、検事によっては、考え方がころっと変わることもあります。例えばですが、前の検事との間では業務上横領で送致する予定だったのが、後任検事の判断では「詐欺」にされたり、「背任」にされることもあります。そうなると、場合によっては告訴人調書が取り直しになったりするので、結構大変です。
検事相談がまとまり、いざ逮捕・送致となっても、そこからまた宿題を山のようにいただくことも珍しくありません。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
