【恋愛詐欺・貢がせ詐欺】マチアプ、パパ活、キャバ嬢、最近の警察の対応は?詐欺罪で立件されるケースとは(元刑事が解説)
一昔前までは、男性側が金銭を払って女性と交際する場合の金銭トラブルについて警察に相談しても、「お金を払って交際しているなら買春と同じ」「不倫は不法行為だから法の保護は受けられない」といった理由で、門前払いされるケースがほとんどでした。
しかし近年では、風向きが大きく変わっています。
有名事件がきっかけで警察の姿勢が変化
例えば、「紀州ドンファン事件」や「頂き女子事件」では、若い女性が中高年男性に高額な金銭を貢がせた行為が詐欺罪として立件・有罪判決となり、大きな話題になりました。
これらの事件では、騙し取られた金銭がホストクラブに流れていたことも明らかになり、社会問題として注目を集めました。その影響で、これまでなら警察が不受理としたような恋愛詐欺・貢がせ詐欺に対しても、警察は積極的に対応するようになってきています。
実際に当事務所でも受理された事例
実際に当事務所へご相談いただいた案件の中にも、以前なら受理されなかったであろう可能性が高い案件が警察に受理されたケースがあります。相談当初は「受理される可能性は50%未満」とお伝えしましたが、お客様の強い処罰意思を受けて対応したところ、結果的に受理されました。
詐欺罪として成立するための条件とは?
ただし、すべてのケースが詐欺罪として成立するわけではありません。重要なのは、「明確な嘘」や「事実に基づいた騙し行為」が立証できるかどうかです。
詐欺罪が成立しやすい例
- 「独身」と偽って実際は既婚者だった場合
- 「母の手術費用が必要」と言って金銭を受け取り、実際には母親がすでに死亡していた場合
- 学生と称して学費等を要求し実際は無職だった場合
このように、客観的に嘘だと証明できる要素があれば、詐欺罪として立件できる可能性があります。
一方で、「結婚をほのめかして交際し、結果的に結婚に至らなかった」といった場合には、女性側に最初から結婚の意思がなかったことを立証するのは非常に困難です。したがって、このようなケースで詐欺罪として立件するのは難しいのが現実です。
恋愛詐欺・貢がせ詐欺に遭ったかも?迷わず専門家に相談を
最近では、恋愛や男女関係に絡む詐欺行為でも、警察が動いてくれる可能性が高くなっています。
もしも「明白な嘘」によって金銭を騙し取られたと感じたら、泣き寝入りせずに警察や法律の専門家に相談することを強くおすすめします。
当事務所では、詐欺被害に関するご相談・刑事告訴状の作成・警察対応のサポートも承っております。まずはお気軽にご相談ください。
元記事
一昔前であれば、こうした構図の事件を警察に相談しても「お金を払ってその対価で交際しているなら買春と同じだ」「不倫は不法行為だから法で保護されない」などと、一蹴されることがほとんどでした。しかし、最近は、紀州ドンファン事件の被告人が、札幌でのキャバ嬢時代に行った詐欺や、頂き女子事件など、若い女性が中高年の男性に貢がせる手口の詐欺罪が相次いで有罪とされました。また、騙し取ったお金が異常に高額なホストクラブに流れていたことが明らかになり、大きな社会問題ともなっています。これらにより、従来なら警察が不受理としたような同種事件について、警察はかなり積極的姿勢に対応を変化させてきています。
当事務所にご相談・ご依頼いただいたお客様の中にも、私が現役刑事時代だったら不受理とされた可能性がかなり高いと思われた同種事案が、先日受理されました。ちなみに、このお客様の場合は、ご相談を受けた段階で「受理可能性は50%未満で、受理されない可能性のほうが高いです。」とご説明しましたが「それでもいいから作成してほしい」と処罰意思が強固でしたので、根負けして受任した経緯があります。
ただし、何でも詐欺になって警察に受理されるわけではありません。詐欺罪成立にとって一番重要なことは「明らかな嘘」「真実かどうか立証できる騙し行為」があることが必要です。例えば、結婚を匂わせて現金を貢がせるだけであれば、女性側に結婚の意思があったかどうかは立証が極めて困難であり、詐欺罪として立件するのは不可能に近いです。しかし、「独身」と言っておきながら夫がいたなら、詐欺罪になる可能性があります。また、「母親のガンの手術費用が必要」などと言って手術代金を受け取った場合で、母親が既に亡くなっていれば、明らかな騙し行為であり、戸籍謄本を取れば死亡の日時等は容易に明らかになるので、詐欺罪で立件できるでしょう。
このように、男性側にとってはあまり知られたくない女性関係に起因する事件であっても、警察が動いてくれることが以前よりもかなり期待できるようになっています。「明白な嘘」で騙された方は、警察に相談してみることをおすすめします。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
