元警察官元刑事として書けない話

 学生時代の友人などと酒を飲んでいて「やっぱり警察官やってると言えない話ってある?」と聞かれることがあります。そんなときは「もちろんあるよ、言えないけど」と返しています。公務員には、「職務上知り得た秘密」を公開してはいけないという「守秘義務」があります。在職中は当然のこと、退職した後も守らないとなりません。これは地方公務員法34条に規定されており、罰則は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
 実は当サイトの「警察裏話」コラムには、結構危ないことも書いてしまっているのですが、今のところどこからも警告等は無いのでまだ大丈夫かなと思っています。で、タイトルの「書けない話」ですが、実際あります。いろいろあります。上司や先輩から聞いた話もありますし、自分で見た件、自分でやった件もあります。ただし、自分でやった件は私利私欲でやったことではなく、組織のため、職場の仲間のためにやったことです。内容は書けないんですが、○○品に関することが多いです。これだけで警察関係者ならすぐにピンと来ると思います。本当に○○品に関する問題はどこの警察署でも1つや2つは抱えているかもしれません。書けませんけど。
 刑事をやったことがある人なら多分皆さん「あるある」となると思いますが、警察署刑事課のロッカーや倉庫には通称「開かずの間」があることが多いです。見ると不幸になるので見ないほうがいいのですが、好奇心に駆られてうっかり開けて見てしまうと「見なきゃ良かった」というモノが入ってたりします。それが何かは書けません。上司のほとんども自分が見たら立場上ヤバいことを知っているので、そうした場所には近づきません。「知らぬが仏」とはこのことです。
 某署にいたときに、この「開かずの間」のタブーに果敢に(?)挑戦した上司がいました。一緒に入っていた書類などから当時の勤務員を割り出し、人事課に電話して現在の住所などを調べて事情聴取をしていました。既に20年以上前に定年退職された80歳代の人でした。何もそこまでと思いましたが、まあ変わった上司の方でした。結局そのブツがどうなったかは異動してその署を出たのでわかりません。
 こうしたどちらかというとミクロの書けないこともありましたが、マクロの書けないこともありました。捜査本部ができた大きな事件で、「これ以上捜査を進めると日本の○○が××してしまうからここまでで終結する」という件が2回ほどありました。○○と××の部分はもちろん書けません。
 


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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