警察手帳を紛失するとどうなるか【元刑事が解説】

 現在のバッジタイプの警察手帳は2002年に古い手帳タイプから切り替わったものです。古いタイプは表紙に警察のシンボルマークと「警視庁」の文字が金色で刻印されており、開いた最初のページに本人の写真と氏名などが書いてあり、それ以降は白紙で、ペンで記載ができるようになっていました。現在の警察手帳は「手帳」と言いながらこの白紙部分が一切無いので、何かを記載する本来の「手帳」としての機能は全くありません。
 この警察手帳ですが、紐で背広の上着やズボンのポケット内に縫い込まれた固定部分と結着する決まりとなっており、これを守っていれば紛失することはほぼ無いのですが、規則があるとこれを破る人が必ず出てくるもので、バッグに入れたり、結着しなかったりして紛失する人が警視庁全体で年に一人二人出てきます。幸い、私自身も、同じ係員にも、手帳を紛失した人はいなかったので助かりました。というのは、手帳を無くすと、同じ係のメンバーは連帯責任のような形で、約1週間程度、無くした場所付近の徹底的な捜索をやらされるのです。
 仮に電車内で無くしたとなると、その路線の各駅を周り、ゴミ箱、トイレ内などを徹底的に探すように命じられます。手帳の紛失は、警察不祥事でも結構重い方に当たるので、署長の経歴にも傷が付きます。なので、幹部連中は「見つけるまで帰ってくるな」的な雰囲気となります。運良くどこかで見つかったとしても、一度紛失したという事実に変わりはありませんので、落とした本人には大きなペナルティーが与えられます。無くした状況によって処分は多少異なりますが、最低でも所属長訓戒でしょう。昇任試験で良い点数を取ったとしても、数年間は合格できません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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