警察に多い相談とその対応

 警察署や交番には毎日何十件という数の相談があります。その中でよくあるものを挙げてみます。
1 騒音苦情
 特に集合住宅で、上階や隣室からの騒音に悩む方が非常に多いです。騒音の種類もいろいろで、テレビやオーディオ、足音、夜中の洗濯機、話し声、ドアの開閉音、シャワーなどの水温等があります。対応としては、音源を調べてわかれば相手に口頭で注意をしますが、音源がわからないことも多く、また足音などは完全に消すことは不可能です。取り締まる法令としては、軽犯罪法しかなく、また「公務員の制止にもかかわらず騒音を出し続ける」ことが違反となるため、インターフォンを押しても無応答のときは制止できなかったことになり、取り締まることができません。「夜中には歩くな」などと無理を言う相談者もいて、簡単に解決できないケースが多いです。
2 駐車苦情
 家の周囲に駐車が多くて迷惑だという相談や通報も多いです。駐車違反であれば当然取り締まりをしますが、希ですが、駐車違反が成立しない場所もあります。また私道では道交法の適用がありません。そのような場合、昼間12時間以上、夜間8時間以上であれば車庫法違反として取り締まることができるので、同法での取り締まりをすることもあります。自宅車庫前に置かれて車が出せないとか、月極駐車場の自分のスペースに止められて置けないといった苦情も多いですが、警察官が行ってナンバー照会してわかる事項は使用者の名前と住所です。電話番号などの連絡先はわからないので、その場に呼び出して移動させることはできません。パトカーを呼んで車載マイクで呼び出すこともありますが、出てこないことが多く、戻ってくるまで待つことになります。
3 男女間トラブル
 同居する相手からの暴言や暴力、金銭トラブルや、別れた相手からの嫌がらせ、つきまといなどの相談も非常に多いです。同居相手の場合で悪質なものは事件化することもありますし、そこまででない場合は別れて別居することをすすめます。「わかりました。もう離婚します(別れます)。」と答えたのでこちら側が安心しても、翌月また相談に来るようなことも珍しくありません。つきまといについては、警察から警告し、それでも続けるようであれば裁判所からの接近禁止命令を発出してもらいます。それでも来れば逮捕となります。
4 相続トラブル
 親族間の相続トラブルも昔から多くあります。何で親族同士で仲良くできないんだろうと不思議に思うことがありますが、誰か一人でもトラブルメーカーがいればその人を起点にして周囲にトラブルが拡がることが多いようです。警察が捜査に入ることは希で、通常は弁護士等に相談するか、裁判所に提訴するように助言を行います。
5 行方不明
 家族がいなくなった場合、事件性を判断し、なければ通常の家出人手配をします。未成年者であれば、見つけ次第保護して自宅に連れ戻しますが、成人の場合は強制できないので、自宅に戻るか連絡するように告げるだけとなります。
6 家族の精神疾患
 事情を聞いて、状況によって同意入院、強制入院などの判断をして対処します。
7 知人間の借金トラブル
 「知人が借りた金を返さないので被害届を出しに来た」との相談は毎日のようにきます。単なる融資の未返済は民事上の債務不履行でしかなく、犯罪には当たらない旨を説明し、弁護士等に相談するか、裁判を提訴するように助言します。中には「警察から返すように電話してくれ」「取り立てに同行してくれ」などと言う相談人もいますが、もちろんそんなことはできません。
8 人捜し
 「昔お世話になった先生を探しているので見つけてほしい」といった相談がありますが、警察は探偵ではないので人捜しはお断りしています。逃げたペットも同じです。
9 社内トラブル
 セクハラ、パワハラなど、事件性があり、訴え出の意思があれば、不同意わいせつや暴行で事件化することもあります。無ければ上司や弁護士等に相談してくださいとなります。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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