警察官の昇任
警察官には階級があります。自動的に上がる巡査長を除き、巡査部長から警部までの各階級に上がるには原則として試験に合格しないとなりません。「原則」としたのは、所属の推薦制度や重大事件解決の功などで無試験で昇任されることもあるからです。古い話ですが、オウム真理教事件の際には、信者が多数指名手配され、見つけて逮捕した警察官は軒並み昇任し、「オウム部長」「オウム係長」なんて呼び方をされていました。また、警視庁警護課SPの巡査部長が橋本聖子参議院議員と結婚した際には、「国会議員の夫が巡査部長では見劣りする」との理由で急遽警部補に昇任されました。警部補でも見劣りしますが、さすがに生きている警察官を二階級特進とはできなかったようです。
昇任試験は年に1回行われます。一次試験は土曜日に行われることが多く、休日の場合は出勤扱いにならず、超過勤務も請求できません。なのに、警視庁ではつい最近まで「強制」でした。受けなくても「欠勤」扱いにはされませんが、当日行かないと電話がかかってきて、それでも行かないと上司に呼び出されてコテンパンに叱責されます。5年ほど前からようやく「受験辞退」が認められるようになり、現在はこのようなことありません。
一次試験は5択マークシートのペーパーテストのみです。内容は警察業務や法令に関するものが8割で、残りは憲法、民法、時事問題、一般常識などです。1週間から10日程度で合格発表があり、二次試験はその10日~2週間後くらいに行われます。内容はマークシートと論文です。2次試験の合否は発表は2、3週間後にあり、その後最後の三次試験があります。内容は、面接、教練、逮捕術、けん銃シミュレーターとなります。最終合格発表には1か月くらいかかり、これに受かれば昇任が決定します。巡査部長と警部補は、合格後管区警察学校に入校して2か月程度の教養と訓練を受けます。何か問題を起こして退校となると二度と再入校は許可されず、昇任試験合格も取り消されます。
警部試験に合格すると、一旦昇任配置換えとなった後、警察大学に入校して教養を受けます。警部以上の階級になると試験はなく、人事考査や実績によって決定されます。ノンキャリアである地方公務員採用の警察官はどうがんばっても警視長までと言われています。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。