刑事と記者

 警視庁本部(本庁舎)の捜査員になって数か月経つと、夜中に自宅のインターフォンが鳴り、出てみるとテレビや新聞の記者であることがあります。挨拶され名刺をもらい、しばらく雑談した後、最後に「今どんな事件やってるんですか」と聞かれます。これがいわゆる「サツ回り」というやつです。記者が捜査員の自宅を知っている理由については、尾行説と組織が教えている説があります。尾行は文字通り本部から自宅まで記者が尾行して突き止める方法です。組織が教えている説は、警察組織がマスコミに対して捜査員の自宅住所を教える代わりに警察の検挙は積極的に報道してもらい反対に不祥事はしないでもらうという説です。どちらが本当かは、実は私も知りません。「今どんな事件やってるんですか」と聞かれてももちろん答えません。何の利益もありませんから。ただし、相手が既に「株式会社○○○○の詐欺事件やっているそうですね」などと知っている場合は「よくご存じで」くらいの話しはします。あるテレビ局の記者からは年賀状も届いたこともあります。当たり前ですが、物や金をもらったことはありません。
 私の死んだ父は通信社の記者でした。1960年代に大分県でサツ回りなどをしていたそうですが、ずっと後になってから「あいつら(大分県警の刑事)とんでもない、昼間から酒飲んでやがった」と聞いたことがあります。もちろん今では考えられません。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

Profile Picture