警察官になって良かったこと悪かったこと
26歳で自動車営業マンから警察官になり、32年(うち刑事25年)勤めて定年2年前に依願退職して行政書士になりました。警察官をやって良かったこと悪かったことを挙げてみます。将来警察官を志望している方の参考になればと思います。※警視庁の場合です。他の道府県警は異なります。(特に給与面)
〇良かったこと
1 給料がいい
警察学校時代は前職より下がりましたが、卒業して警察署勤務になると、各種手当、超過勤務(残業代)、祝日勤務手当などがあって、前職より手取りは大きく増えました。勤続年数や階級が上がるにつれてますます上がり、40歳代で年収1000万円を越え、退職までその金額が続きました。最高1100万円を越えました。クレジットカードなどの審査はだいたい通ります。
2 安定している
当たり前の話ですが、公務員なので、給料含め安定しています。組織がつぶれたり、いきなり解雇なんていう可能性はありません。
3 各種保険関係の充実
警察官向けの保険や共済等が安くて充実しています。
4 スーツ、コート等支給
刑事や公安、生活安全など、スーツで勤務する私服員には、採寸した上でスーツやコート、ワイシャツ、革靴が無料で支給されます。ただし、耐用年数以内に退職した場合は、返還または買取となります。
5 犯人を検挙して被害者に喜んでもらえる
勤務する部署にもよりますが、1年に数回程度、犯人を検挙して被害者や関係者から喜んでもらえるとこちらもうれしくなります。ただし苦情や要望はその100倍以上あります。
×悪かったこと
1 結婚が許可制
詳しくはこちらに書きましたが、結婚は事実上許可制です。結婚相手に警察的な問題があったり、結婚する時期の早さで「止めろ」「待て」がかかります。「待て」の場合は待つことで許可になりますが「止めろ」の場合は永久に許可は下りません。
2 長時間連続勤務&眠れない
連続勤務の拘束時間めちゃくちゃ長いです。30時間以上の日があります。それが週に2回程度あります。しかも机で仮眠取る程度で眠れません。
3 年末年始、GW、夏休み、勤務部署によってはほぼありません
交代制勤務なので土日祝日は休みではありません。
4 子どもの行事に行けない
小学校の運動会や授業参観など、週休日とタイミングが合わないと行けません。
5 負の感情を持った人とばかり接することが多い
警察に相談に来る人の多くは、「犯罪被害にあった」「大事な物を亡くした」「家族がいなくなった」「家族が死んだ」等々、苦しい、悲しい、死にたいなど負の感情を持った人たちがほとんどです。ときにその人たちの負の感情のエネルギーは怒りとして警察官に向けられます。
6 海外旅行は許可制
海外旅行は許可制で、中国、ロシアなど共産圏には許可が下りません。長期間の国内旅行も行けません。
7 住居も許可制
他の都道府県に居住する場合は、管轄外居住の許可を受けなければなりません。遠いと却下になります。同じ県内でも通勤時間または距離制限があるので、その範囲を超えると許可されません。
8 飲酒は届け出制
仕事帰りに一杯やるときは上司への届け出が必要です。無断で飲んで事故を起こすと何らかの処分を受ける可能性があります。
9 パワハラが多い
仕事柄厳しい叱責は当たり前にあります。メンタル弱いと続きません。体育会系と言われる所以です。
10 昇任するためには勉強が必要
階級を上げるためには昇任試験に受からないとなりません。仕事から帰って毎日2時間程度勉強するのはなかなかつらいです。
11 柔道剣道の練習
50歳になっても60歳を超えても朝の練習に出ないとなりません。ちなみに勤務時間外です。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。