ある警察官の殉職とその後

 2007年、東京都内のとある私鉄線の駅で、警視庁交番勤務の巡査部長(殉職後2階級特進で警部)が勤務中の事故で亡くなりました。53歳でした。交番近くの踏切に女性が立ち入り、一旦は交番まで連れていったのですが、突如女性が走り去り、再度踏切内に入ったため、その警察官は我が身を犠牲にして女性をホーム下に押し込み、自分は走行してきた電車にはねられ、意識不明のまま6日後に亡くなりました。現在、この交番前には記念碑が建てられています。53歳で巡査部長ですから、決してエリートと言えるポジションではありませんが、街の人からは慕われていたということです。
 いざ同じ立場になったら同じことができたかというと、正直「絶対に俺もやった」とは言えません。警報器が鳴って遮断機が閉まっている線路内に入れるかとなったら、足がすくんで動かなかったかもしれません。これはもう勇気とはではなくて、責任感だと思います。私は、この警察官とは面識がないのですが、後輩として大いに頭が下がります。
 さて、助けられた女性ですが、元々精神疾患のある方だったそうです。自分を助けてくれた警察官が目の前で電車にはねられ、その後、亡くなったことを知ったそうです。女性は自分のために警察官が亡くなったと聞き、病気が悪化。結局、別の方法で自ら命を絶ってしまいました。 
 何とも救われない話しであり、書こうかどうか悩んだエピソードですが、現実にあったこととして記載しました。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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