告発魔の恐怖
捜査二課聴訴室で勤務していた頃、職場内で有名な某県居住の告発魔の方がいらっしゃいました。この方は、告発状を作成し、告発事実の欄には「別添新聞記事のとおり」とだけ記載し、新聞や雑誌の事件記事をコピーしたものを添付して、毎月のように郵送で送ってきておりました。当時、郵送告訴・告発は、本人確認できないとの理由で受理せずに送り返していましたが、その度に抗議の電話が入り、その対応に長時間かかることが何度もありました。後にこの県の警察官が長期派遣で警視庁に研修に来たのですが、聞いて見たらやはり地元で超有名な方とのことでした。
確かに、告訴と違って告発は誰でもできることになっているのですが、正直、この刑事訴訟法上の規定は早く改正すべきだと思います。告発という制度は何の制約もないのが実態であり、例えば、一人が1日100通の告訴状を作成して警察に送り、これを1年間続けることも可能なのです。これを1000人がやったらどうなるでしょうか? 1日あたり10万通の告発状です。日本には現在1150箇所の警察署があります。単純計算で割ると、1日あたり1署に告発状が87通届く計算になります。1年間では3万1755通になります。他の業務を全てキャンセルしても処理できる量ではありません。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。