クマに警察官の拳銃は効果があるか?【元刑事のコラム】

「警察官の拳銃でクマを止めることはできるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。ニュースなどでクマの出没や警察官による対応が話題になるたびに、「拳銃があるなら撃てばいいのでは」と考える人もいるでしょう。

しかし、実際の現場感覚から言えば、警察官が所持する拳銃でクマを確実に制圧するのは極めて難しいというのが現実です。

まず、人間相手であっても拳銃が一撃で相手を行動不能にするとは限りません。

過去には、刃物などの凶器を持って警察官に襲いかかった犯人が警察官の拳銃で撃たれたケースが複数あります。頭部や心臓など致命的な部位に命中して死亡した例もありますが、肩や腕、脚などに命中し、負傷しながらも直後には動き続けたケースもあります。

実際、警察教養で共有される事例では、拳銃で撃たれながら生き残った人物が「撃たれた瞬間は『熱い』と感じただけで、撃たれたとは気付かず攻撃を続けた」と供述したケースもありました。

これは拳銃弾の構造を考えれば理解できます。拳銃の弾は薬莢付きの状態ではそれなりの大きさに見えますが、実際に飛んでいく弾頭そのものは非常に小さく、人体でも急所を外せば即座に動きを止めるとは限りません。

クマ相手ではさらに条件が厳しい

ここで相手がクマになると、状況はさらに厳しくなります。

クマは厚い毛皮、発達した筋肉、頑丈な骨格を持つ大型野生動物です。人間とは身体構造そのものが違います。

さらに、人間は直立していますが、クマは四足で高速移動します。突進してくるクマの正面から見える面積は非常に小さく、しかもスピードは人間よりはるかに速いです。

つまり、

  • そもそも命中させること自体が非常に難しい
  • 命中しても即座に止まる保証がない
  • 急所に当てなければ効果が限定的

という3つの問題があります。

警察官の拳銃訓練の実態

「警察官なら射撃のプロでは?」と思われるかもしれません。

しかし、実際の拳銃訓練は、多くの場合、決められた距離から静止した標的に対して行われます。実戦のように高速で動く対象へ射撃する訓練とは大きく異なります。

そのため、突然突進してくるクマを冷静に狙って命中させるのは、現実には極めて難易度が高い対応です。

警察拳銃でクマ対策は現実的なのか

結論として、警察官の拳銃は対人用装備であり、クマのような大型野生動物への対処を前提に設計されたものではありません。

運よく急所に命中すれば効果が出る可能性はありますが、それに依存するのは非常に危険です。

「警察官が拳銃を持っているのだからクマにも対応できるはず」と単純に考えるのは、現場の実情とはかなり異なります。

○警察への告訴状・告発状の作成は元警視庁刑事の行政書士にお任せください。こちら


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

Profile Picture