警視庁と県警の超過勤務手当(残業代)の支給率の違い【元警視庁警察官が解説】
私が警視庁捜査二課で勤務していた頃、茨城県警捜査二課から1年間の研修で警視庁捜査二課に派遣されてきた若い警部補の刑事さんがいました。その刑事さんがいたある警察署では、署員が少ないため、夜中に無銭飲食の逮捕事案があった程度で、すぐに呼び出されたそうです。警視庁は、忙しいことは忙しいのですが、職員が4万何千人といるので、責任の重い刑事課長などを除き、夜中に呼び出されることは滅多にありません。私は32年間の警察人生で、休日や夜間に呼び出されたことは、両手で足りる程度しかありません。
そしてこの刑事さんによりますと、こうした夜間呼び出しがあったり、殺人事件が発生して署に泊まり込みになったりして、超過勤務時間が何十時間や百何十時間になっても、実際に支給される超過勤務手当は一律に数時間分しか出ないということでした。茨城県はお金がないので、超過勤務手当に回せる予算がないとのことでした。警視庁はどうかといいますと、実際にやった超過勤務時間に対しておおよそ60%の支給率で超過勤務手当が支給されました。つまり、1か月に100時間超過勤務をしたとしたら、60時間分が支給されるということです。30~40歳代の警視庁警察官の時給換算は3000円くらいですので、18万円くらいになる計算です。茨城県警に当てはめると、3000円×9時間としても2万7000円ということになります。
後年この話を静岡県警から研修に来ていた刑事さんに話したところ「うちも同じですよ。馬鹿らしいから超過勤務はできるだけしません。」と話していました。どちらの話も十数年以上前の話なので、今は違うかもしれません。現在は改善されていることを望みます。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。
