千代田区麹町から町田市内まで25分で行った話【元刑事が解説】
2000年代初頭、私が警視庁麹町警察署刑事課知能犯捜査係員だった頃の話です。いつものように午前7:30頃出勤すると、いつも出勤が早い先輩のI巡査部長が既に先に来ていました。そのとき刑事課受付の電話が鳴りました。警察電話は、呼び出し音によって内線(警察関係者)なのか外線(一般人または警察官の携帯電話)なのかがわかるようになっています。このときの呼び出し音は外線でした。電話を取ると暴力犯捜査係のY係長(警部補)からでした。声の調子から緊迫した事態であることがすぐにわかりました。「山崎だけど、いま町田のマルBのヤサに一人で来てるんだけど、野郎がヤサ出てどっか行こうとしたんでガサ状執行したからすぐ応援に来てくれ。住所は町田市○○・・・」警察用語だらけでわかりにくいと思いますので、一般用語に翻訳すると「いま町田市内のヤクザの自宅に一人で来ているが、そのヤクザが家を出てきてどこかに行こうとしているので、捜索差押許可状を相手に提示して捜索差押を開始したから、至急応援に来てほしい」となります。元々、がらっぱちの係長でしたが、ヤクザの自宅に一人で行って、しかもガサ状を執行しちゃうというのはとんでもない話です。普通なら最低でも5人は捜査員を集めて、念入りに準備をしてからガサをするのに、突発的にしかも一人で始めてしまうというのは後にも先にもこのときしか知りません。
私が電話を切ってI部長に手短に事情を話すと、ベテランのN部長はすぐに状況を把握し「それ行くぞ」といって急いでガサに必要な道具を集めると、捜査用車両(いわゆる覆面車)に飛び乗り、私の運転で署を出発しました。署を出たところから、赤灯を回しサイレンを鳴らして緊急走行です。霞ヶ関ランプから首都高に入り、150km/hくらいでぶっ飛ばしました。何しろY係長は一人です。相手の反撃にあったり、仲間を呼ばれれば拉致されるかもしれません。首都高から中央自動車に入り、さらに速度を上げて一般車を抜きまくります。助手席のI部長はずっとマイクを持ったまま、「緊急車両追い越します!前のタクシーの運転手さん!左に寄ってください!」怒鳴りっぱなしです。中には追い越し車線でどかない車もあるので、本当は違反なのですが、走行車線からの追い抜きもやりました。高速道路を降りて一般道に入ってからも80km/hくらいで飛ばし、追い越し禁止センターラインも無視して対向車線に出て抜きまくりました。やっと現場に到着し、時計を見て驚きました。署を出てから25分しか経っていませんでした。普通、麹町から町田市内までは、道路が空いていたとして1時間半はかかります。混んでいれば2時間以上かかることもあります。Y係長もあまりの早さに驚いていました。
幸い、ヤクザは反抗的な態度ではありましたが、反撃してくるまでには至らず、そのヤクザを立会人にして3人でガサを始めました。ガサを開始してから30~40分経った頃、I部長が「淺ちゃん、ちょっと来て」というので、納戸にいたN部長のところに行くと、I部長の手の中には回転式けん銃が握られていました。一目見て警察官のけん銃ではないことがわかりました。弾丸も5発装填されています。持ってみるとズシリと重く、銃口も空いており、本物のけん銃であることがわかりました。すぐにヤクザを呼ぶと「俺は知らねえよ」とだけ言って否認しましたが、もちろん後の裁判では銃刀法で有罪になりました。
麹町・町田間25分の記録はおそらく今でも破られていないように思います。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


