警視庁人事一課追っかけ班【元刑事が解説】

 警察組織において、不倫はご法度とされています(別ページで解説)。見つかると何らかの処分を受けることになりますが、中には一度発覚して所属長注意などの処分を受けたものの関係を断ち切ることができず、隠れて続けてしまう警察官もいます。こうした警察官の継続不倫を調査するため、警視庁人事一課の中には通称「追っかけ班」と呼ばれる部署があります。正式な部署名があるとは思うのですが、人事一課で勤務したことがないのでわかりません。
 ある警察署で私の上司となった係長(警部補)が、不倫が発覚して左遷されてきた方でした。この方は、不倫が発覚した時点で反省してきっぱりその女性とは関係を終わらせました。しかし、一度不倫が発覚すると、この人事一課追っかけ班に尾行されるという話を聞いていたので注意していたところ、ずっと自分を追っかけてくる男に気付いたそうです。なんと、その男は、40~50センチくらいの茶髪・ロン毛で、後ろでしばっていたとのことです。刑事として普段自分が追っかける側だったので、尾行にはすぐに気付いたとのことでした。そこで、警察用語でいう「逆バン」をかけて、「人事の方ですね、何か用ですか?」と話しかけると、あたふたして歩き去ったそうです。結局、この係長は二度と不倫はしなかったので、何年後かに警部に昇任しましたが、一度の不倫発覚のせいで昇任が何年か遅れてしまいました。
 また、別の署で勤務していたとき、昔この追っかけ班で勤務していたことがあるという警察官と同僚になったことがあります。その署の署長が交代となり、新しい署長が来たとたん、その同僚が「あー、この署長、昔追っかけたことがある人だわ。」と言ってました。その署長は、一度不倫が発覚したので、追っかけ班の追っかけ対象になったとのことでした。つまり、一度の不倫なら所属長にまでなれるということです。
 では追っかけ班に二度目の不倫が見つかったらどうなるでしょうか。おそらく、ほとんどの場合は辞職を勧告されるでしょう。ただし、強制力はないので、本人がどうしても「辞めません」となれば、人事一課は嫌がらせとして、自宅からは通えないような遠方の警察署(自宅が千葉県内なのに青梅警察署など)に左遷し、内勤には入れないことになります。もちろん昇任も当分はできないでしょう。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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