警察相談取扱要綱の制定について(例規通達)(富山県警)
警察相談取扱要綱の制定について(例規通達)
この度、別添のとおり「警察相談取扱要綱」を制定し、平成31年3月25日から実施す
ることとしたので、その運用に誤りのないようにされたい。
なお、「警察相談取扱要綱の制定について(例規通達)」(平成13年3月30日付け富生企
第286号)は、廃止する。
別添
警察相談取扱要綱
第1 警察相談取扱いの基本
1 制定の趣旨
警察相談には、複雑多岐かつ多部門にわたる事案が多く、中には、凶悪事件に発展
する危険性を有している事案も少なくないことから、本要綱は、警察相談の取扱いに
関して、受理から最終処理までを組織的に管理し、迅速かつ的確な措置を講ずるため
に必要な事項を定めるものとする。
2 警察相談の定義
警察相談(以下「相談」という。)とは、警察に対して、指導、助言、相手方への警
告、検挙等何らかの権限行使その他の措置(地理教示、運転免許証の更新手続等の各
種手続の教示等の単純な事実の教示を除く。)を求めるものとし、単なる情報提供は含
まない。また、受け渋り、処理の遅延等の不適切な取扱いを防止するため、告訴・告
発に係る相談その他の事件相談(被害申告があったが、何らかの事情により犯罪事件
受理簿に登載されず、事件認知に至っていない事件に係る相談をいう。)についても、
相談に含めるものとする。
3 警察相談簿の作成
相談を受理した者(以下「相談受理者」という。)は、事件相談後直ちに被害届が受
理されるなどにより速やかに犯罪事件受理簿に登載される事案、監察・苦情に係る申
出、暴力団関係情報その他捜査協力者等からの情報提供等相談に該当しない申出を除
き、その内容を速やかに相談システムに入力することにより、警察相談簿(別記様式
第1号。以下「相談簿」という。)を作成しなければならない。
4 特異相談事案の即報
警察本部の課長、室長、隊長、所長、センター長及び警察学校長(以下「本部内所
属長」という。)並びに警察署長は、個人の生命、身体等に危害を及ぼす犯罪に発展す
るおそれがあり、直ちに適切な措置を講ずる必要があると認められる相談又は社会的
反響が大きいと予想される相談(これらの相談を以下「特異相談事案」という。)を受
理したときは、主管所属を経由して、主管所属長から警察本部長に即報するものとす
る。また、警務部警察相談課長(以下「警察相談課長」という。)に遅滞なく連絡する
ものとする。
5 警察本部内所属間及び警察署間等の引継ぎに関する措置
(1)
警察相談課長は、相談の処理に関し、警察本部内所属(以下「本部内所属」とい
う。)間及び警察署間等で引継ぎがなされる場合、必要な調整を行うものとする。
(2) 警務部長は、引継ぎの調整に困難を伴うと認めた場合、関係部長の意見を求め、
必要な調整を行うものとする。
6 関係機関との連携
相談の処理に関し、生活保護の相談など警察以外の機関が対応することが適当と認
められる相談の場合は、相談者にその旨を説明して当該機関を教示するとともに、相
談簿に記載するものとする。ただし、
〇 「配偶者からの暴力」に含まれる「身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影
響を及ぼす言動」の被害に係る相談については、配偶者からの暴力の防止及び被
害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)に基づき、配偶者暴力相談
支援センターに引き継ぐ。
〇 児童虐待事案については、児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第
82 号)に基づき、児童相談所に通告する。
〇 高齢者虐待事案については、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援
等に関する法律(平成17年法律第124号)に基づき、市町村に通報する。
〇 自傷他害のおそれがある精神障害者を発見したときは、精神保健及び精神障害
者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)に基づき、保健所に通報する。
等法令に定めがある場合は、当該法令に基づき対応するものとする。
7 留意事項
相談の取扱いに当たっては、次の事項に留意するものとする。
(1) 常に相談者の立場に配意し、誠実かつ親切丁寧に応接すること。
(2) 知り得た相談者のプライバシーを厳守すること。
(3)
相談の内容、背景等を迅速かつ的確に見極め、相談者の申立てのみで事実関係を
判断することなく、多角的な視点をもって事実関係を判断すること。
(4) 相談内容が刑罰法令に抵触すると認められる場合は、相談者の被害申告の意思を
確認の上、積極的に事件化を図るなど必要な措置を講ずること。
第2 警察本部における取扱要領
1 情報集約責任者の指定等
(1) 警務部長は、警察相談課長を警察本部情報集約責任者(以下「本部集約責任者」
という。)に指定するものとする。
(2) 本部集約責任者は、相談業務に関して、警察相談課広聴係員(以下「本部相談員」
という。)の指揮監督及び指導教養を行うとともに、本部内所属長及び警察署長と緊
密な連携を図り、相談業務の円滑化と効率的運用に努めるものとする。
2 総合窓口の設置等
(1)
警務部警察相談課(以下「警察相談課」という。)に、相談を受理するための総合
的な窓口(以下「総合窓口」という。)を設置する。ただし、本部内所属において特
定の事項専用の相談電話や窓口を設置することは妨げない。
(2)
(3)
総合窓口に本部相談員を置く。
執務時間中の相談は総合窓口において本部相談員が受理し、執務時間外の相談は
警察本部総合当直(以下「総合当直」という。)において当直勤務員が受理するもの
とする。
3 情報の集約
(1) 総合当直において相談を受理したときは、相談受理者が相談簿を作成し、当直責
任者が処理状況を点検し、当直勤務終了後、本部集約責任者に報告するものとする。
ただし、勤務を終了した日が週休日又は休日の場合は、次の当直責任者に引き継ぐ
ものとするが、相談内容が緊急を要するものの場合は、直ちに主管所属長へ報告す
ること。
(2)
本部内所属において相談を受理したときは、当該所属の課長補佐等が相談簿に受
理に際しての意見を記載の上、所属長に報告するものとする。
報告を受けた所属長は、措置方法等を「所属長の意見」欄に記載して指示の上、
相談簿の本紙を本部集約責任者に送付するものとする。
4 本部相談員の職務等
(1) 本部相談員は、自ら相談を受理し、相談者に対して必要な指導、助言、支援等を
行い問題の解決に努めるとともに、次に掲げる職務を行うものとする。
ア 相談に関する統計
イ 関係機関との連携
ウ 相談業務に関する広報啓発活動
エ その他特命事項
(2)
本部相談員は、相談簿により本部集約責任者に相談取扱状況を報告するものとす
る。
5 他所属への引継ぎ
本部集約責任者は、受理した相談事案が他の所属で処理した方が適当であると認め
るときは、当該所属長と協議の上、速やかに相談システムにより当該相談事案を送付
し、相談事案引継書(別記様式第2号。以下「引継書」という。)を当該所属長に送付
して確実に引き継ぐものとし、その旨を相談者に通知するものとする。ただし、相談
内容が緊急を要する場合は、その概要について速やかに連絡し、事後に引継書を送付
することができる。
なお、相談の内容から引継事案には至らないものの、関係所属において相談概要等
を把握する必要があると判断される場合は、当該相談簿を相談システムにより関係所
属へ参考送付することができる。
6 処理経過の報告等
(1) 本部内所属において相談を受理したときは、当該所属長は、当該相談の処理経過
を相談システムで作成された警察相談処理経過報告書(別記様式第3号。以下「経
過報告書」という。)により、本部集約責任者に送付するものとする。
(2)
本部内所属長は、継続処理している事案について相談者による打切りの申出、不
安の解消等により事案が終結したと認めたとき及び告訴・告発に係る相談その他の
事件相談において告訴・告発や被害届を受理し、犯罪事件受理簿への登載等の組織
的管理が徹底されたときは、その結果を記載した経過報告書により、本部集約責任
者に報告するものとする。
なお、本部内所属長は、処理の終結の適否を決定するものとする。
(3) 本部集約責任者は、相談システムで作成された警察相談取扱管理簿(別記様式第
4号。以下「管理簿」という。)又は相談システムの管理機能等により、本部内所属
の相談の処理状況を原則として月に1回以上点検し、処理の遅延・懈怠がないかな
どについて確認するものとする。
なお、処理の遅延・懈怠を認めたときは、当該本部内所属と協議し、適切な処理
に努めるものとする。
7 相談簿等の保管
本部集約責任者は、処理が終結した相談簿について、最終の措置結果等が記録され
た日の翌年1月1日を起算日として、5年間保存しなければならない。
8 相談者支援
(1)
警察相談課において、相談処理の進捗確認、処理方針等に係る相談者からの要望
を受け付けるものとする。ただし、相談者から処理を担当する本部内所属に対して
直接、要望を行うことは妨げない。
(2)
警察相談課は、相談者から(1)の要望があったときは、要望内容を経過報告書に記
録するとともに、処理を担当する本部内所属に対して相談者からの要望内容、相談
者への支援措置等について連絡・指示するものとする。また、相談者から処理を担
当する本部内所属に対して直接、(1)の要望があったときは、当該所属から警察相談
課に要望内容を速やかに連絡するものとする。
(3)
本部集約責任者は、相談者に対する相談処理の進捗状況及び処理方針の説明その
他の相談者支援を組織的に行うことが必要と認めるときは、速やかに当該処理を担
当する本部内所属と協議し、必要な措置を行うものとする。
9 警察相談課による指導・監督
警察相談課は、警察署における相談受理、相談処理の進捗状況の点検及び相談者支
援について、その指導・監督を行うものとする。
10
本部内所属による指導・監督
本部内所属は、各所属が担当する相談の性質に応じ、警察署の各所属が担当する課
の相談内容を聴取し、その処理の終結等に至るまで、必要な指導・監督を行うものと
する。
第3 警察署における取扱要領
1 情報集約責任者の指定等
(1) 警察署長は、警務課長を情報集約責任者(以下「署集約責任者」という。)に指定
するものとする。
(2) 署集約責任者は、受理した全ての相談事案を集約し、警察署長に報告するものと
する。
2 総合窓口の設置
(1)
警察署の警務課に総合窓口を置く。ただし、警察署の警務課以外の課に特定の事
項専用の相談電話や窓口を設置することを妨げない。
(2)
警務課員は、総合窓口になされた相談について、相談者の人定事項、相談概要及
び処理を担当する課(以下「処理担当課」という。)を判断するために必要な情報を
聴取の上、署集約責任者に報告するものとする。
署集約責任者は、当該相談事案の処理担当課を判断し、引継ぎを要するものにつ
いては、速やかに処理担当課への引継ぎを行うものとする。その際、既に聴取した
事項も併せて引き継ぐなど、相談者の利便、負担等にできる限り配慮すること。
なお、処理担当課に疑義が生じた場合は、署集約責任者は副署長又は次長(以下
「副署長等」という。)に報告し、協議の上、副署長等が処理担当課を指定するもの
とする。
(3)
執務時間中になされた相談は総合窓口において警務課員が受理し、執務時間外は
当直勤務員が受理するものとする。
3 情報の集約
(1)
相談受理者が所属する課の長又は当直責任者は、受理した相談簿の処理状況を点
検し、速やかに署集約責任者に提出するものとする。ただし、勤務を終了した日が
週休日又は休日の場合は、次の当直責任者に引き継ぐものとするが、相談内容が緊
急を要するものの場合は、直ちに警察署長へ報告すること。
(2)
署集約責任者は、処理担当課を選定し、その課の長(以下「処理担当課長」とい
う。)と今後の処理方針について協議の上、その結果を相談簿に記載して警察署長に
報告するものとする。
(3)
署集約責任者は、処理担当課への引継ぎを円滑かつ確実に行わせるものとする。
4 特異相談事案の即報と初動指揮
特異相談事案を受理したときは、直ちに、署集約責任者又は当直責任者を経て警察
署長に報告し、警察署長は処理担当課への初動指揮を行うものとする。
5 警察署長による指示
警察署長は、署集約責任者によって報告された相談の処理内容について掌握し、そ
の処理の適否、継続措置の必要性等を判断の上、今後の処理方針等について決定し、
継続措置方法等を相談簿の「所属長の意見」欄に記載して指示するものとする。
6 他警察署への引継ぎ
(1) 警察署長は、相談事案が他の警察署で処理した方が適当であると認めるときは、
引継ぎを受ける警察署長と協議の上、速やかに相談システムにより当該相談事案を
送付するとともに、引継書を送付して確実に引き継ぎ、その旨を相談者に通知する
ものとする。ただし、相談内容が緊急を要する場合は、相談概要を速やかに連絡し、
事後に引継書を送付することができる。
(2)
本部集約責任者又は他の警察署長から相談の引継ぎを受けた警察署長は、自署で
受理した相談と同様に処理するものとする。
7 処理担当者の指定等
(1) 署集約責任者は、警察署長の処理方針に基づき、自ら処理担当課長に指定された
ほかは、処理担当課長に相談簿の写しを送付するものとする。
(2) 処理担当課長は、処理担当者を指定して継続措置等に当たらせるものとする。
8 処理経過の報告
(1) 処理担当課長は、相談事案の処理状況を経過報告書により、署集約責任者を経て
警察署長に報告するものとする。
(2) 署集約責任者は、決裁を受けた経過報告書を当該相談簿の本紙の後に編綴するも
のとし、その写しを処理担当課長に送付するものとする。
9 事案の終結
(1)
処理担当課長は、継続処理している事案について被疑者の逮捕、相談者による打
切りの申出、不安の解消等により事案が終結したと認めたとき及び告訴・告発に係
る相談その他の事件相談において告訴・告発や被害届を受理し、犯罪事件受理簿へ
の登載等の組織的管理が徹底されたときは、その結果を記載した経過報告書により、
署集約責任者を経て警察署長に報告するものとする。
(2) 警察署長は、報告に基づいて処理の終結の適否を決定するものとする。
10 処理の点検
(1)
署集約責任者は、管理簿又は相談システムの管理機能等により、処理担当課にお
ける相談の処理状況を原則として月に1回以上点検し、処理の遅延・懈怠がないか
などについて確認し、その結果を警察署長に報告するものとする。
(2)
警察署長は、処理状況の遅延・懈怠を認めたときは、処理担当課に対し、必要な
指揮を行うこと。
11
相談簿等の保管
署集約責任者は、処理が終結した相談簿について、最終の措置結果等が記録された
日の翌年1月1日を起算日として、5年間保存しなければならない。
12
(1)
相談者支援
警務課において、相談処理の進捗確認、処理方針等に係る相談者からの要望を受
け付けるものとする。ただし、相談者から処理担当課に対して直接、要望を行うこ
とは妨げない。
(2)
警務課は、相談者から(1)の要望があったときは、要望内容を経過報告書に記録す
るとともに、処理部門に対して相談者からの要望内容、相談者への支援措置等につ
いて連絡・指示するものとする。また、相談者から処理担当課に対して直接、要望
があったときは、処理担当課から警務課に要望内容を速やかに連絡するものとする。
(3)
署集約責任者は、相談者に対する相談処理の進捗状況及び処理方針の説明その他
の相談者支援を組織的に行うことが必要と認めるときは、速やかに警察署長に要望
内容を報告するものとする。
相談者からの要望に係る報告を受けた警察署長は、処理担当課又は警務課に対し、
相談者支援について必要な指揮を行うものとする。
第4 相談システムの入力等
相談システムの入力要領、相談に係る照会要領等については、別に定める。
※ 別記様式省略
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。