再被害防止への配慮が必要とされる事案における逮捕状請求時の対応要領について(通達)(宮城県警)


平成25年2月26日
宮 城 県 警 察 本 部 長
再被害防止への配慮が必要とされる事案における逮捕状請求時の対応要領につ
いて(通達)
再被害防止への配慮が必要とされる事案における逮捕状請求時の対応要領(以下「
要領」という。)を別添のとおり制定したので運用上誤りのないようにされたい。
なお、この通達の趣旨については、仙台地方検察庁と協議済みである。

1 制定の趣旨
先般、他県において、ストーカー行為に端を発し、被疑者が以前交際していた女
性を殺害する事件が発生した。この被疑者は、過去に同女性に対する別事件の被疑
者として逮捕されていたが、捜査員が被疑者に逮捕状を示す際に、逮捕状に記載さ
れた被害者の氏名や住所を読み上げたことなどから、これをきっかけに当該被疑者
が被害者の住所等を特定することにつながったのではないかとの報道がなされたと
ころである。
逮捕状により被疑者を逮捕するには、被疑事実の要旨を記載した逮捕状を被疑者
に示さなければならず、また、逮捕したときは、直ちに犯罪事実の要旨を告げるな
ど刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)に定められた手続を行わなければなら
ない。しかし、逮捕状に記載された被疑事実の要旨や逮捕時に告知される犯罪事実
の要旨の内容によっては、事件の被害者及びその関係者が被疑者に知られたくない
情報が被疑者に認識され再被害につながるおそれがある。
今後、同種事案を未然に防止する目的で、再被害防止への配慮が必要とされる事
案における逮捕状請求時の対応に関し要領を定めたものである。
2 施行期日
平成25年3月1日
別添
再被害防止への配慮が必要とされる事案における逮捕状請求時の対応要領
1 趣旨
この要領は、恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案、性犯罪、組織犯罪その
他の再被害防止などへの配慮が必要とされる事案について、逮捕状請求時における
事件の被害者及びその関係者(以下「被害者等」という。)に関する事項を秘匿と
する対応に関し必要な事項を定めるものとする。
2 対象事件
この要領の適用の対象とする事件は、犯罪の手口、動機及び組織的背景、加害者
と被害者等との関係、加害者の言動その他の状況から、被害者等が加害者から更に
生命又は身体に対する犯罪被害(異種犯罪を含む。)を受けるおそれがあり、被害
者等が自身に関係する事項の秘匿を望み、再被害防止への配慮が必要であると警察
本部事件主管課長又は警察署長が認めた事件とする。
3 対象書類
この要領の適用の対象とする書類は、「「司法警察職員捜査書類基本書式例」の
全部改正について(依命通達)」(平成12年5月10日付け警察庁乙刑発第7号)
に規定する逮捕状請求書(甲)(様式第11号)及び逮捕状請求書(乙)(様式第
16号)とする。
4 対応要領
この要領の適用の対象とする事件に関する前記3の書類を作成する場合は、下記
のとおり対応すること。
⑴ 被疑事実の要旨の記載方法
前記3の書類の「9被疑事実の要旨」欄の被害者等に関する事項を秘匿とする
ことができる。
⑵ 疎明措置
前記⑴の規定により被害者等に関する事項を秘匿とした場合は、被害者等に関
する事項を秘匿として逮捕状を請求する理由、被害者等の住所、氏名等の人定事
項及び被害者等が秘匿を望む意思表示を捜査報告書等により疎明すること。
⑶ 検察庁に対する連絡
被害者等に関する事項を匿名とした逮捕状により被疑者を逮捕した場合は、当
該事件を送致する検察庁に対し、適宜の方法により事前に連絡すること。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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