私が平成○年に○○警察署に送付した告訴告発状が不受理となったことについて(警視庁)

別紙
諮問第780号
1 審査会の結論


「私が平成○年に○○警察署に送付した告訴告発状が不受理となったことについて
理由が分かる文書(作成された決裁書を含む)」について、不存在を理由として非開示と
した決定は、妥当である。
2 審査請求の内容
本件審査請求の趣旨は、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条例第
113号。以下「条例」という。)に基づき、審査請求人が行った「私が平成○年に○○警
察署に送付した告訴告発状が不受理となったことについて理由が分かる文書(作成され
た決裁書を含む)」の開示請求に対し、警視総監が令和2年2月4日付けで行った不存在
を理由とした非開示決定について、その取消しを求めるというものである。
3 審査請求に対する実施機関の説明要旨
本件非開示決定は、適正かつ妥当なものである。
4 審査会の判断
(1)審議の経過
本件審査請求については、令和2年6月12日に審査会に諮問された。
審査会は、令和3年8月18日に実施機関から理由説明書を収受し、同年9月21日(第
154回第三部会)及び同年10月28日(第155回第三部会)に審議した。
(2)審査会の判断
審査会は、審査請求人の審査請求書及び反論書における主張並びに実施機関の弁明
書及び理由説明書における主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。 - 1 -
ア 実施機関における本件諮問に関する各種定めについて
(ア)告訴状及び告発状が郵送されてきた場合について
「告訴及び告発の取扱いについて」(平成15年4月1日通達甲(副監.刑.2.
資)第15号。以下「告訴等取扱通達」という。)では、告訴状又は告発状(以下「告
訴状等」という。)が郵送されてきた場合で、告訴権、犯罪事実、処罰意思等の確
認が困難であると認めるときは、当該告訴及び告発(以下「告訴等」という。)を
行った者に対し、速やかに来署を求めるなどして、資料の提出又は説明を求める
旨、定めている。
(イ)告訴・告発事件相談について
「知能犯に関する告訴及び告発取扱要綱の制定について」(平成15年4月1日通
達甲(刑.2.資)第3号。以下「告訴等相談通達」という。)では、知能犯に関
する告訴等の相談を受けたときは、警察総合相談業務等管理システム(警察相談
に伴う相談業務(告訴等に係る相談を含む。)を総合管理するシステムをいう。)
に、当該相談に係る事案の概要、措置その他必要な事項を速やかに入力した後、
同システムから出力した告訴・告発事件相談簿について所属長の決裁を受け、関
係資料と共に告訴等相談簿として備え付ける旨、定めている。
(ウ)刑事事件に関する相談について
「刑事事件に関する相談の適正な取扱いについて」(令和3年3月26日通達乙
(刑.総.指1)第43号。以下「事件相談通達」という。)では、刑事事件に関す
る相談(刑事警察に関するものに限る。)を受理し、又は引継を受けた場合は、相
談者の氏名、住所、相談の要旨等を警察総合相談業務等管理システムに登録する
とともに、同システムから事件相談受理票を出力し、所属長の決裁を受けて保存
すること、及びその保存期間は3年とする旨、定めている。
なお、実施機関の説明では、本件開示請求の内容にある平成○年当時も同様の
規定であったとのことである。
(エ)公文書の保存期間の起算日について
「警視庁公文書管理規程」(平成13年3月21日訓令甲第6号)28条では、公文書- 2 -
の保存期間の起算日について、作成した公文書は当該公文書の作成日の、作成し
た公文書のうち発行したものは発行日の、取得した公文書は取得日のそれぞれ翌
年4月1日とする旨、定めている。
イ 本件非開示決定の妥当性について
実施機関は、本件開示請求に係る保有個人情報の内容について作成することが想
定される公文書は、事件相談受理票又は告訴・告発事件相談簿であるとし、いずれ
も存在しないとして非開示決定を行っていることから、その妥当性について、以下
検討する。
(ア)審査請求人の主張
審査請求人の審査請求書及び反論書における主張について、これを要約すると
以下のとおりである。
審査請求人が行ったのは、告訴告発状の送付であり、警察相談ではない。
審査請求人は、事件相談も告訴・告発事件相談も行っておらず、実施機関によ
る文書の特定は違法である。
(イ)実施機関の説明
実施機関は、弁明書及び理由説明書において、以下のとおり説明する。
本件開示請求受付時、審査請求人に対し、本件開示請求の内容にある告訴告発
状の内容が刑事警察に関するものであるということを確認したことから、本件開
示請求に係る保有個人情報として想定される公文書は、事件相談受理票又は告訴・
告発事件相談簿である。
実施機関では、告訴状等が郵送されてきた場合、告訴権、犯罪事実、処罰意思
等の確認が困難であると認めるときは、速やかに来署を求めるなどして、資料の
提出又は説明を求めることとしている。
そして、本件開示請求を受け、関係所属に対する調査を行ったところ、本件開
示請求に係る告訴状等については、事件相談として受理していたことを確認した
ものの、当該事件相談受理票については、存在しなかった。
仮に、当該事件相談が平成○年中に結了していた場合には、既に保存期間が満
了していることから、廃棄されており存在しないものである。さらに、当該事件- 3 -
相談が、受理された平成○年の翌年以降も継続されていた場合又は何らかの事情
により事件相談受理票の保存期間が延長されている場合を想定し、○○警察署に
おいて保管されている事件相談受理票の綴りを確認したが、審査請求人に係る保
有個人情報は存在しなかった。
また、告訴・告発事件相談簿についても、○○警察署に備え付けられている告
訴等相談簿を綿密に検索したが、本件開示請求に係る保有個人情報が存在しない
ことを確認した。
(ウ)審査会の検討
審査会が、告訴等取扱通達を確認したところ、実施機関の説明するとおり、郵
送されてきた告訴状等について、告訴権、犯罪事実、処罰意思等の確認が困難で
ある場合は、当該告訴等を行った者に対し説明を求める旨が定められていた。ま
た、実施機関では、一般的に告訴等の受理については、事前相談を受け、告訴等
の要件が具備されているか否かを吟味した上で行われている。
そこで審査会が、事件相談通達及び告訴等相談通達を確認したところ、告訴等
の相談について、その内容が刑事事件に関する場合は、事件相談又は告訴・告発
事件相談として受理し、それぞれ事件相談受理票又は告訴・告発事件相談簿を作
成する旨が定められていた。
また、警視庁公文書管理規程を確認したところ、実施機関における公文書の保
存期間の起算日について前記ア(エ)のとおり定められており、平成○年に作成
された事件相談受理票の保存期間は、平成○年の翌年4月1日を起算日とし3年
であり、本件開示請求が行われた時点では、その保存期間が満了しているもので
あることが確認できた。
ところで、実施機関の説明では、当該事件相談受理票は保存期間が既に満了し
ており、受理時の年数からみて廃棄されているものと考えられたけれども、審査
請求人が送付した告訴状等について事件相談として過去に受理していた事実を
確認したことから、それが何らかの事情により保存されている可能性のあること
も想定して検索を実施したものであるが、本件開示請求に係る保有個人情報は存
在しなかったとのことである。また、告訴・告発事件相談簿についても、それが
作成されている場合を想定して綿密に検索を実施したが、これも存在しなかった- 4 -
と説明している。
先に確認した各通達及び警視庁公文書管理規程の定めに照らし、以上の実施機
関の説明に不自然、不合理な点は認められず、他に本件開示請求に係る保有個人
情報の存在を認めるに足りる特段の事情も見当たらないことから、本件開示請求
につき、不存在を理由として非開示とした決定は、妥当である。
なお、審査請求人は、審査請求書及び反論書においてその他種々の主張をしている
が、これらはいずれも審査会の判断を左右するものではない。
よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
久保内 卓亞、木村 光江、徳本 広孝、寳金 敏明 - 5 -


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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