「オレオレ詐欺等対策プラン」の決定について(通達)

「オレオレ詐欺等対策プラン」の決定について(通達)
オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺については、これまでも各種対策を講じて
きたが、これに対抗した犯行手口の巧妙化・多様化も進んでおり、昨年中の認知件
数は約1万6,500件、被害総額は約364億円となるなど、依然として深刻な情勢にあ
る。また、最近では、高齢者から電話で資産状況を聞き出した上で犯行に及ぶ手口
の強盗事件が相次ぎ、本年2月に東京都内で発生した事件では被害者の方が亡くな
られるなど、社会の不安感は一層増大している。
このような情勢を踏まえ、本日開催された第31回犯罪対策閣僚会議において、特
殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」(別
添参照)が決定されたところ、このプランにおいては、被害防止対策、犯行ツール
対策及び効果的な取締り等を柱とし、国民、各地方公共団体、各種団体、民間事業
者等の協力を得ながら、各府省庁において施策を推進していくこととしている。
各位にあっては、当該プランが決定された趣旨及びその内容を踏まえ、部門や所
属の垣根を越えて、関係行政機関・事業者等とも連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に
向けた諸対策を強力に推進されたい。
オレオレ詐欺等対策プラン
令和元年6月25日
犯 罪 対 策 閣 僚 会 議
目 次
序 「オレオレ詐欺等対策プラン」の策定に当たって ·························· 1
1 被害防止対策の推進
(1) 広報啓発活動の更なる推進 ············································· 2
(2) 留守番電話機能の活用等の促進 ········································· 3
(3) 金融機関と連携した被害の未然防止 ····································· 3
(4) コンビニエンスストア等と連携した被害の未然防止 ······················· 3
(5) 宅配事業者と連携した被害の未然防止 ··································· 4
(6) 押収名簿を活用した注意喚起 ··········································· 4
2 犯行ツール対策の推進
(1) 電話転送サービスを介した固定電話番号の悪用への対策 ··················· 4
(2) 電話転送サービス事業者に対する指導監督の強化 ························· 4
(3) 犯行に利用されるなどした携帯電話への対策 ····························· 4
(4) 警告電話事業の推進 ··················································· 5
(5) 犯行に利用された預貯金口座の凍結等 ··································· 5
3 効果的な取締り等の推進
(1) 犯罪者グループ等に対する多角的・戦略的取締りの推進 ··················· 5
(2) 犯行拠点の摘発等による実行犯の検挙及び突き上げ捜査による中枢被疑者の
検挙の推進 ····························································· 5
(3) 預貯金口座や携帯電話の不正売買といった特殊詐欺を助長する犯罪の検挙等の
推進 ··································································· 5
(4) 特殊詐欺に加担した少年の再非行防止のための取組の推進 ················· 5
序 「オレオレ詐欺等対策プラン」の策定に当たって
親族を装うなどして電話をかけ、様々な名目で現金が至急必要であると信じ込ませ、
動転した被害者に現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺 ※は、
平成15 年頃からその発生が目立つようになり、平成 26 年には被害総額が過去最高の約
566 億円となるなど、大きな被害をもたらしている。
犯行グループに対する取締りの強化、現金の振込みや受渡しに利用される金融機関、
郵便・宅配事業者、コンビニエンスストア等の民間事業者と連携した予防活動、犯行使
用電話の利用制限等の犯行ツール対策等、これまでにも官民一体となった各種対策が講
じられてきたが、これに対抗した犯行手口の巧妙化・多様化も進んでおり、平成30年中
も認知件数は約1万6,500 件、被害総額は約 364 億円となるなど、依然として被害状況
は高水準で推移している。また、最近では、高齢者から電話で資産状況を聞き出した上
で犯行に及ぶ手口の強盗事件が相次ぎ、平成31年2月に東京都内で発生した事件では、
被害者の方が亡くなられるなど、社会の不安感は一層増大している。
特殊詐欺の被害者は、65 歳以上の高齢者が約8割を占める。今後ますます高齢者人口
の割合が増えていく中、特殊詐欺等の被害防止を徹底することは、我が国において正に
喫緊の課題であるといえる。
被害を防止するためには、犯人からの電話の内容の不自然さに気付くことができるよ
うにし、少しでも不審に感じたときには家族に確認や相談をしやすくするため、平素か
ら家族間でコミュニケーションをとっておくことが極めて重要である。そのためには、
各府省庁が連携の上、各地方公共団体、各種団体、民間事業者等の幅広い協力による効
果的な広報啓発により、被害に遭いやすい高齢者だけではなく、その子供・孫世代への
働き掛けを強化していく必要がある。
また、犯行グループに対する取締りの更なる推進はもちろんのこと、特殊詐欺の犯行
に当たって利用される匿名の通信手段その他の犯行ツールについても、関係省庁の連携
により更なる対策を講じていくことが重要である。
以上を踏まえ、この度、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として、「オレ
オレ詐欺等対策プラン」を策定することとした。これに基づき、国民、各地方公共団
体、各種団体、民間事業者等の協力を得ながら、各府省庁において施策を推進していく
こととする。
※特殊詐欺とは、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振
込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺をいい、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求
詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺)及び振り込め詐欺以外の特殊詐欺(例えば、金融商品等取
引名目、ギャンブル必勝法情報提供名目等の詐欺)を総称したものである。 - 1 -
1 被害防止対策の推進
(1) 広報啓発活動の更なる推進(全府省庁)
① 幅広い世代に対して家族の絆の重要性等を訴える広報啓発活動の展開
特殊詐欺の被害に遭いやすい高齢者だけでなく、その子供・孫世代への働き掛
けも強化し、家族の絆を強めて、家族間で平素から連絡を取り合うことで被害を
防止していこうという社会的気運の醸成等を目指して、幅広い世代に対し高い発
信力を有する著名な方々と連携し、各地方公共団体等のあらゆる公的機関はもと
より、経済団体をはじめとする社会のあらゆる分野に係る各種団体、民間事業者
等の幅広い協力も得ながら、多種多様な媒体を活用するなどして、国民が力を合
わせて特殊詐欺の被害防止に取り組むよう広報啓発活動を展開する。
② あらゆる機関・団体・事業者等のウェブサイト、SNS等による注意喚起
平成24年度から、内閣府大臣官房政府広報室が、警察庁、金融庁及び消費者庁
と連携して実施している特殊詐欺被害防止の政府広報に加え、警察庁、金融庁、
消費者庁、法務省等各府省庁や各地方公共団体をはじめとするあらゆる公的機関
はもとより、各種団体や民間事業者等に係るウェブサイトやSNSによる各種詐
欺被害への防止に関する注意喚起を推進する。
③ 高齢者と接する機会の多い団体・事業者等による注意喚起
各地方公共団体はもとより、民生委員、老人クラブ等の福祉関係団体等や、介
護サービス事業者、保険事業者、宅配事業者、宅食事業者、その他の小売事業
者、バス・タクシー業者等の高齢者が日常生活で接点を有するあらゆる機関・団
体・事業者等とも連携した注意喚起を推進する。
また、消費者安全確保地域協議会を活用し、関係機関が連携して注意喚起・広
報啓発を推進するとともに、特殊詐欺に関連すると思われる情報の共有等によ
り、消費生活センターと警察との連携強化を図る。
④ 子供や孫世代を対象とした職場や学校における広報啓発の推進
家族間での被害防止意識を高めるため、各職場での教育・研修等に加え、学校
等における防犯指導等、主として子供や孫世代を対象とした、あらゆる教育・研
修の機会を通じて特殊詐欺被害防止の広報啓発を推進する。 - 2 -
(2) 留守番電話機能の活用等の促進(警察庁、消費者庁)
① 留守番電話機能の活用等に関する広報啓発の推進
犯人からの電話を直接受けることを防止するため、高齢者宅の固定電話を常に
留守番電話に設定することや、迷惑電話防止機能を有する機器の活用の有効性に
ついて、広報啓発を推進する。
② 「優良迷惑電話防止機器推奨事業」による機器の普及促進
「優良迷惑電話防止機器推奨事業」を実施している公益財団法人全国防犯協会
連合会と連携して、迷惑電話防止機能を有する機器の普及を促進する。
(3) 金融機関と連携した被害の未然防止(警察庁、金融庁)
① 金融機関窓口における声掛け等の推進
高額の払戻し等を申し込んだ高齢の顧客に対する金融機関における声掛けによ
って被害を未然に防止するため、声掛けをする際に顧客に示すチェックリストを
金融機関に提供するとともに、金融機関等の職員と共同で行う訓練等により声掛
けを促進する取組を推進する。
また、金融機関窓口における声掛けに加え、各金融機関が定める一定の基準
(顧客の年齢、払戻金額等)に基づき警察に全件通報する取組を推進する。
② ATMの利用制限等の推進
金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者
のATM振込限度額をゼロ円又は極めて少額とする取組(ATM振込制限)及び
高齢者のATM引出限度額を少額とする取組(ATM引出制限)を推進する。ま
た、金融機関における預貯金口座のモニタリングを強化する取組を推進する。
(4) コンビニエンスストア等と連携した被害の未然防止(警察庁、金融庁、消費者
庁、経済産業省)
① コンビニエンスストアにおける被害防止の推進
電子マネー型や収納代行利用型の手口への対策として、一般社団法人日本フラ
ンチャイズチェーン協会、各コンビニエンスストア事業者と連携し、電子マネー
購入希望者や収納代行利用者への声掛け、店頭販売棚やレジ・端末機の画面への
注意喚起の表示等の取組を推進する。
② 電子マネー発行事業者等における被害防止の推進
一般社団法人日本資金決済業協会、電子マネー発行事業者、収納代行事業者等
と連携し、顧客への注意喚起をはじめとする被害防止に係る取組を推進する。 - 3 -
(5) 宅配事業者と連携した被害の未然防止(警察庁)
① 被害金送付先リストを活用した被害防止の推進
宅配事業者と連携し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを活用し
て、不審な宅配便の発見や警察への通報といった取組を推進する。
② 荷受け時における声掛け及び注意喚起
宅配事業者の荷受け時において、運送約款に基づく取扱いができない現金が宅
配便に在中していないかどうかの声掛け等による注意喚起を推進する。
(6) 押収名簿を活用した注意喚起(警察庁)
特殊詐欺等の捜査の過程で入手した名簿の登載者に対し、警察官による戸別訪問
や警察が民間委託したコールセンターからの電話連絡等を行い、注意喚起や具体的
な予防対策等の周知を図る取組を推進する。
2 犯行ツール対策の推進
(1) 電話転送サービスを介した固定電話番号の悪用への対策(警察庁、総務省)
特殊詐欺の犯行では、電話転送の仕組みを悪用して、相手方に固定電話番号を表
示させて架電したり、官公署を装った電話番号への架電を求める文面のはがき等を
送り付けたりする手法が多用されている。これに対応するため、特殊詐欺に利用さ
れた固定電話番号の利用停止をはじめとする実効性のある対策を講じる。
(2) 電話転送サービス事業者に対する指導監督の強化(警察庁、総務省)
特殊詐欺に利用される電話転送サービスを提供する事業者については、犯罪によ
る収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)
第2条第2項に規定する特定事業者として、取引時確認等の義務履行が求められて
いる。これまでも当該義務の適切な履行を確保するため、犯収法に基づく特定事業
者に対する報告徴収等が行われているが、義務違反が認められる特定事業者に対し
是正命令を行うなど、特殊詐欺の犯行に利用される電話転送サービス事業者への指
導監督を強化する。
(3) 犯行に利用されるなどした携帯電話への対策(警察庁、総務省)
特殊詐欺の犯行に利用されるMVNO等の携帯電話について、携帯音声通信事業
者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する
法律(平成 17 年法律第 31 号)に基づく契約者確認の求め、役務提供拒否に関する
警察から事業者への情報提供を推進するほか、事業者と連携し、特殊詐欺に利用さ
れた携帯電話のサービスを停止する取組を推進する。 - 4 -
(4) 警告電話事業の推進(警察庁)
犯行に利用された電話に対して、繰り返し架電してメッセージを流すことで、電
話を事実上使用できなくする警告電話事業を実施する。
(5) 犯行に利用された預貯金口座の凍結等(警察庁、金融庁)
特殊詐欺の犯行に利用された預貯金口座について、金融機関に対する迅速な口座
凍結依頼を実施するほか、凍結された預貯金口座の名義人のリストを警察庁が作成
し、一般社団法人全国銀行協会等へ提供することにより、不正口座の開設の防止を
推進する。
3 効果的な取締り等の推進
(1) 犯罪者グループ等に対する多角的・戦略的取締りの推進(警察庁)
特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団、準暴力団、不良外国人、暴走族、
少年の不良グループ等の犯罪者グループ等を弱体化し、特殊詐欺の抑止を図るた
め、各部門において多角的な取締りを推進するとともに、積極的な情報収集を行う
などして、その活動実態や特殊詐欺への関与状況等を解明する。
(2) 犯行拠点の摘発等による実行犯の検挙及び突き上げ捜査による中枢被疑者の検挙
の推進(警察庁)
あらゆる情報を活用し、犯行拠点の発見に努め、犯行拠点の摘発により架け子等
を検挙するとともに、現場設定や被害発生前後の初動捜査の徹底により受け子、出
し子等を検挙する。また、突き上げ捜査の徹底により中枢被疑者等の検挙を
推進する。
(3) 預貯金口座や携帯電話の不正売買といった特殊詐欺を助長する犯罪の検挙等
の推進(警察庁)
預貯金口座や携帯電話の不正売買といった特殊詐欺を助長する犯罪の検挙や悪質
な犯行ツール提供事業者等に対する取締りを推進する。
(4) 特殊詐欺に加担した少年の再非行防止のための取組の推進(警察庁、法務省)
少年院等の関係機関と連携して非行防止教室を開催するなど、少年の再非行防止
のための取組を推進する。 - 5 -
オレオレ詐欺等対策プラン(概要)
現状
令和元年6月25日 犯罪対策閣僚会議
 平成30年の特殊詐欺の認知件数は約1万6,500件、被害額は約364億円と高水準で推移しており、依然として深刻な情勢
 特殊詐欺被害全体に占める高齢者割合は78.1%で、特にオレオレ詐欺では96.9%に上るなど、高齢者の被害防止が喫緊の課題
 最近では、高齢者から電話で資産状況を聞き出した上で犯行に及ぶ手口の強盗事件の発生が相次ぎ、国民の不安感が増大
1 被害防止対策の推進
(1) 広報啓発活動の更なる推進(全府省庁)
 高い発信力を有する著名な方々※と連携し、各地方公共団
体等のあらゆる公的機関はもとより、経済団体をはじめとす
る社会のあらゆる分野に係る各種団体、民間事業者等の幅広
い協力も得ながら、多種多様な媒体を活用するなどして、国
民が力を合わせて特殊詐欺の被害防止に取り組むよう広報啓
発活動を展開
※「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(SOS47)等
 あらゆる機関・団体・事業者等のウェブサイト、SNS等
による注意喚起
 高齢者と接する機会の多い団体・事業者等による注意喚起
 子供や孫世代を対象とした職場や学校における広報啓発の推進
(2) 留守番電話機能の活用等の促進(警察庁、消費者庁)
 犯人からの電話を直接受けることを防止するため、高齢者宅
の固定電話を常に留守番電話に設定することや、迷惑電話防止
機能を有する機器の活用の有効性について、広報啓発を推進
(3) 金融機関と連携した被害の未然防止(警察庁、金融庁)
(4) コンビニエンスストア等と連携した被害の未然防止(警
察庁、金融庁、消費者庁、経済産業省)
(5) 宅配事業者と連携した被害の未然防止(警察庁)
(6) 押収名簿を活用した注意喚起(警察庁)
2 犯行ツール対策の推進
(1) 電話転送サービスを介した固定電話番号の悪用への対策
(警察庁、総務省)
 電話転送サービスを介し固定電話番号が特殊詐欺に悪用され
ている現状を踏まえ、特殊詐欺に利用された固定電話番号の利
用停止をはじめとする実効性のある対策を講じる。
(2) 電話転送サービス事業者に対する指導監督の強化(警察庁、
総務省)
(3) 犯行に利用されるなどした携帯電話への対策(警察庁、総
務省)
3 効果的な取締り等の推進
(1) 犯罪者グループ等に対する多角的・戦略的取締りの推進
(警察庁)
(2) 犯行拠点の摘発等による実行犯の検挙及び突き上げ捜査に
よる中枢被疑者の検挙の推進(警察庁)


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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