振り込め詐欺救済法の概要

犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
【振り込め詐欺救済法】の概要
第一 総則
一 目的
振り込め詐欺等の犯罪行為による被害者に対する被害回復分配金の支払等のため、
預金等に係る債権の消滅手続及び被害回復分配金の支払手続等を定め、もって被害者
の財産的被害の迅速な回復等に資する。
二 定義
1 「振込利用犯罪行為」 …詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為であって、
財産を得る方法として振込みが利用されたもの
2 「犯罪利用預金口座等」… ① 1の振込みの振込先となった預金口座等
② ①の預金口座等に係る資金の移転先の口座
第二 取引の停止等の措置
金融機関は、犯罪利用預金口座等である疑いがあると認める預金口座等について、取引
の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
第三 預金等に係る債権の消滅手続【失権手続】
一 公告の求め
金融機関は、①~④その他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等であると疑うに足
りる相当な理由があると認める預金口座等について、預金保険機構に対し、手続の開
始に係る公告を求めなければならない。
① 捜査機関等からの情報提供
② 被害状況について行った調査の結果
③ 名義人の住所への連絡等による、名義人の状況についての調査の結果
④ 預金口座等に係る取引の状況
二 公告
一の求めがあった場合の預金保険機構による公告、公告事項等について規定。
(本法に基づく公告は、インターネットの利用により行うこととする。)
三 預金等債権の消滅
名義人等による権利行使の届出等に係る期間(60日以上とする。)内に権利行使の
届出又は強制執行等がないときは、二の公告に係る預金等債権は、消滅する。
第四 被害回復分配金の支払手続
一 被害回復分配金の支払
1 金融機関は、第三の三により消滅した預金等債権(消滅預金等債権)の額の金銭
を原資として、対象被害者に対し、被害回復分配金を支払わなければならない。た
だし、消滅預金等債権の額が1000円未満である場合は、この限りでない。
二 公告の求め
金融機関は、預金等債権が消滅したときは、預金保険機構に対し、手続の開始に係
る公告を求めなければならない。ただし、すべての対象被害者等が明らかで、かつ、
対象被害者等のすべてから被害回復分配金の支払を求める旨の申出がある場合は、こ
の限りでない。
三 公告等
1 二の求めがあった場合の預金保険機構による公告、公告事項等について規定。
2 被害回復分配金の支払申請期間は、30日以上とする。
3 金融機関は、対象犯罪行為による被害を受けたことが疑われる者に対し被害回復
分配金の支払手続の実施等について周知するため、必要な情報の提供その他の措置
を適切に講ずるものとする。
四 支払の申請及び決定等
支払の申請(申請書及び疎明資料の提出等)及び支払の決定について規定。
五 支払の実施等
1 金融機関による被害回復分配金の支払の実施について規定。
2 各人に支払う被害回復分配金の額は、被害額により按分した額とする。
六 手続の終了等
1 手続の終了
手続の終了に係る公告の求め及び当該公告について規定。
2 預金保険機構への納付
金融機関は、1の公告があったときは、残余の額の金銭を、預金保険機構に納付
しなければならない。
3 犯罪被害者等の支援の充実等
預金保険機構は、2により納付を受けた金銭を、4の(2)による支払に要する額を
考慮して主務省令で定める割合の金銭を除き、主務省令で定めるところにより、犯
罪被害者等の支援の充実のために支出するものとする。
4 名義人等による支払の請求等
(1) 失権した預金に係る預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことについて相当
な理由があると認められる場合等における、口座名義人等から金融機関への支払
の請求について規定。
(2) (1)の支払を行った金融機関に過失がないことについて相当な理由があると認
められる場合における、預金保険機構への(1)の支払相当額の支払の請求について
規定。
第五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行する。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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