SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン
SNSで実行犯を募集する手口による強盗や
特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン
令和5年3月17日
犯罪対策閣僚会議
目 次
序 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラ
ン」の策定に当たって ···················································· 1
1 「実行犯を生まない」ための対策
(1) 「闇バイト」等情報に関する情報収集、削除、取締り等の推進 ············· 3
(2) サイバー空間からの違法・有害な労働募集の排除 ························· 4
(3) 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発 ················· 4
(4) 強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進 ······ 5
2 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
(1) 個人情報保護法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化 · 6
(2) 携帯電話等の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者対策の推進 ·········· 6
(3) 悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進 ············· 7
(4) 預貯金口座の不正利用防止対策の強化 ··································· 7
(5) 証拠品として押収されたスマートフォン端末等の解析の円滑化 ············· 7
(6) 秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止 ······························· 8
(7) 帰国する在留外国人による携帯電話・預貯金口座の不正譲渡防止············ 8
3 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
(1) 宅配事業者を装った強盗を防ぐための宅配事業者との連携 ················· 9
(2) 防犯性能の高い建物部品、防犯カメラ、宅配ボックス等の設置に係る支援 ···· 9
(3) 高齢者の自宅電話番号の変更等支援 ····································· 10
(4) 高齢者の自宅電話に犯罪者グループ等から電話が架かることを阻止するための方策 · 10
(5) 現金を自宅に保管させないようにするための対策 ························· 10
(6) パトロール等による警戒 ··············································· 11
4 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
(1) 犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進 ······ 11
(2) 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携 ····························· 11
(3) 現金等の国外持出し等に係る水際対策の強化 ····························· 11
序 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラ
ン」の策定に当たって
「闇バイト強盗」と称される強盗等事件が広域で発生した。
これまでに14都府県で50数件が把握されている一連の事件では、60数人の被疑者が
検挙されている。
これらの事件では、「「高額バイト」、「即日即金」などの文言を用い、SNS(ソ
ーシャルネットワーキングサービス)上で実行犯を募集する手口がとられること」、
「被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、凶悪な犯行態様であること」などの特徴が
みられる。
現在、警察において、全容解明に向けた捜査が進められるとともに、各種の防犯対策
がなされているところであるが、国民の間では、「もしかしたら自分が被害に遭うかも
しれない」という不安感が広がっている。
特殊詐欺をめぐる情勢も、なお深刻である。
特殊詐欺の認知件数は、令和3年以降、増加しており、また、その被害額は、令和4
年に8年ぶりに増加に転じている。検挙件数・人員も、令和4年に増加に転じている。
そして、特殊詐欺被害者の大部分は、高齢者である。
政府では、令和元年6月、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として、「オ
レオレ詐欺等対策プラン」(令和元年6月25日犯罪対策閣僚会議決定)を策定し、特殊
詐欺の認知件数・被害額を減少させるなどの一定の成果を上げてきた。同プランにおい
ては、「犯人からの電話の内容の不自然さに気付く」、「少しでも不審に感じたときに
は家族に確認や相談をしやすくする」ためには、家族間でのコミュニケーションや、地
域社会、民間事業者等の幅広い協力による連携が重要であるとの認識の下、被害防止対
策を推進するとともに、犯行ツール対策、効果的な取締り等を行うこととしている。
これらの対策は、「闇バイト強盗」と称される強盗等事件を抑止する上でも、有効で
あると考えられる。
他方、強盗や特殊詐欺の犯罪者グループ等は、いわゆる「架け子」、「受け子」、
「出し子」、「現金回収・運搬役」、「リクルーター」等のように、役割分担を細分化
させ、そのネットワークを海外にまで広げているケースもみられる。
また、指示役と実行役との間の指示・連絡に、秘匿性の高い通信手段を用いるなど
し、犯行の手口を一層巧妙化させている。
さらに、犯罪者グループ等に対し、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者や、電
話転送サービス等の提供を行うなどしている悪質な事業者の存在が依然として認められ- 1 -
る。
こうした情勢を踏まえ、この種の犯罪から国民を守るためには、「高齢者等が被害に
遭わないようにする」という観点にとどまらず、「組織的に敢行される犯罪そのものを
封じ込める」、「そもそも高齢者等が犯罪者グループ等と接点を持たないようにする」
といった観点から、一層踏み込んだ対策を講じることが不可欠である。
そこで、政府は、以下の四つの柱から早急に対策を講じることとした。
1点目は、犯罪者グループ等が巧妙な手段で犯罪の実行者の「募集」を図っている実
態等に鑑み、「実行犯を生まない」ための対策である。
2点目は、犯罪者グループ等が高齢者等の資力等に関する個人情報、他人名義の預貯
金口座や携帯電話、秘匿性の高い通信アプリケーション等を用いて犯行に及んでいる実
態等に鑑み、「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策である。
3点目は、犯罪者グループ等が偽装や甘言など様々な手口を用い高齢者等に接近して
犯行に及んでいる実態等に鑑み、高齢者等が犯罪者グループ等と接点を持たないように
するという観点から、「被害に遭わない環境を構築する」ための対策である。
4点目は、犯罪者グループ等の実態を含む真相の解明を迅速に実現するべく、「首謀
者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策である。
これら対策のパッケージとして、今般、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗
や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」を策定することとした。
本プランは、「オレオレ詐欺等対策プラン」とあいまって、必要な対策の推進を促す
ものである。
政府は一体となって、地方公共団体、民間事業者等の協力を得ながら、本プランに基
づく施策を強力に推進することとする。 - 2 -
1 「実行犯を生まない」ための対策
(1) 「闇バイト」等情報に関する情報収集、削除、取締り等の推進
「闇バイト」等情報 1がSNS上で発信されている実態がみられるところ、こう
した情報による犯罪実行者の募集を防ぐため、引き続き、警察において、サイバー
パトロール等を通じて把握した情報を端緒とする捜査を推進するとともに、こうし
た情報が確実に削除されるよう、インターネットサービスプロバイダー等に対する
働き掛けを行うほか、返信(リプライ)機能を活用した投稿者等に対する個別警告
等を推進する。
また、違法情報の取締りや有害情報を端緒とした取締りを強化すべく、「闇バイ
ト」等情報の自動検索を行うAIの活用等も含め、効果的かつ効率的な対策を推進
する。
インターネット利用者等からの違法情報等に関する通報の受理、警察への通報、
サイト管理者への削除依頼等を行う「インターネット・ホットラインセンター」2で
取り扱う有害情報の範囲に、令和5年2月15日、個人の生命・身体に危害を加える
おそれが高い重要犯罪と密接に関連する情報を追加した。国民に対し、「インター
ネット・ホットラインセンター」に対する情報提供を呼び掛けつつ、「インターネ
ット・ホットラインセンター」及び「サイバーパトロールセンター」の効果的な運
用により、「闇バイト」等情報の排除に向けた更なる対策を推進する。
そのほか、主要なSNS事業者が、モデル約款 3やその解説の記述を参考に、利
用者からの通報を受けた場合や自主的な検知を行った場合、「インターネット・ホ
ットラインセンター」からの「闇バイト」等情報に関する削除要請があった場合に、
利用規約等に基づき投稿の削除等の措置を講ずるよう、事業者団体に通知を行う。
1 「闇バイト」、「裏バイト」等と表記したり、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支
払いを示唆したりして犯罪の実行者を募集する投稿や当該投稿に関連する情報をいう。このような表
現には、犯罪への気軽な参画を容易にするという指摘もある。本プランでは、広く認知されている
「「闇バイト」等情報」という用語を用いているが、青少年等への広報・啓発等に当たっては、「犯
罪実行者募集情報」といった語も適切に活用していくこととする。
2 https://www.internethotline.jp/
3 各事業者が利用規約における禁止事項を定めるに当たって参考とすることを目的に、事業者団体が
自主的に策定しているもの。令和5年2月 14 日、事業者団体において解説が改定され、「闇バイト」
等情報が禁止行為に該当し得るものと整理された。 - 3 -
(2) サイバー空間からの違法・有害な労働募集の排除
犯罪の実行者を募集する「闇バイト」等情報の発信は、「公衆衛生上有害な業務
に就かせる目的」での「労働者の募集」等として、職業安定法 4第63条第2号に規
定する違法行為に該当することから、健全な労働市場の確保のため、警察とも連携
しつつ、違法な労働募集に対するネットパトロール活動を推進し、その排除を図
る。
また、求人メディア等の業界団体及び事業主に対し、違法・有害な募集情報(疑
わしい情報を含む。以下同じ。)の掲載を防止するために必要な措置を講ずるよ
う、警察とも連携しつつ、広報・啓発を徹底する。
さらに、求人メディア等の業界団体及び事業主に対し、違法・有害な募集情報を
掲載していることを発見した場合、警察と連携して適切に対応するよう、要請す
る。
加えて、都道府県労働局に対し、都道府県労働局が違法・有害な募集情報が掲載
されていることを把握した場合、警察と連携して適切に対応するよう、通知する。
(3) 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
① 青少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進
「青少年の非行・被害防止全国強調月間」において、国、地方公共団体、関係
団体等が相互に協力しながら、少年が「闇バイト」等情報により重大な犯罪に加
担する危険性について広報・啓発を推進するとともに、「青少年が安全に安心し
てインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第
5次)」(令和3年6月7日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づく広
報・啓発の一環として、保護者等に対し、子供がSNS上における「闇バイト」
等情報をきっかけに加害者となる危険性があることを注意喚起する。
② 児童生徒等の非行防止のための取組の推進等
小学校、中学校及び高等学校における児童生徒の非行防止に関しては、各種通
知や生徒指導の基本書となる生徒指導提要において、
・児童生徒本人からの前兆行動を把握し、スクールカウンセラー・スクールソ
ーシャルワーカーや警察を含む関係機関等と連携し、アセスメントを行うこと
・警察官等を外部講師として招き、地域の非行情勢や非行要因等について児童
生徒に情報発信する「非行防止教室」等を実施することが有効であること
4 昭和22年法律第141号。 - 4 -
等を示しており、引き続き、「闇バイト」等の犯罪行為への加担防止も含め、児
童生徒の非行防止に係る取組を推進する。
また、大学等に対しても、令和5年3月1日に所要の通知を発出し、注意喚起
を行ったところであり、引き続き、学生が犯罪に加担してしまうことがないよ
う、必要な取組を推進する。
③ 情報モラル教育の着実な実施
学習指導要領において情報モラルを含む情報活用能力を育成することとしてい
るところ、小学校段階から、情報発信による他人や社会への影響について考えさ
せる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考
えさせる学習活動などを通じて、情報モラルを確実に身に付けさせる。
④ 青少年に対する広報・啓発の推進
SNS等の利用を通じて青少年が「闇バイト」等情報に触れるなどし、事の重
大性を認識することなく、アルバイト感覚で犯罪に加担してしまうこと等のない
よう、防犯教室や非行防止教室等の場を活用して、SNS等を用いた犯罪の発生
状況、手口等について情報発信するとともに、学生向けに労働関係法令を分かり
やすく解説したハンドブックや、インターネットに係るトラブル事例の予防法等
をまとめた「インターネットトラブル事例集」2023 年版 5に注意喚起を盛り込む
ことなどにより、青少年に対する広報・啓発を推進する。
(4) 強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進
SNS上で実行犯を募集する手口がとられたり、凶悪な犯行態様で敢行されたり
する昨今の強盗事件をめぐる状況や、認知件数・被害額が増加に転じるなど、引き
続き深刻な情勢にある特殊詐欺の状況を踏まえ、犯罪者グループ等において実行犯
を担った者に対する適正な科刑を実現すべく、捜査において、余罪の積極的な立
件、令和4年12月に法定刑の引上げ等がされた組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の
規制等に関する法律6(犯罪収益等隠匿・収受)の適用等を推進するとともに、公判
においても、悪質な事情について、適切に主張・立証する。
5 令和5年3月公表予定。
6 平成11年法律第136号。 - 5 -
2 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
(1) 個人情報保護法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化
① 個人情報保護法の的確な運用等
今般、「名簿屋」等の事業者に対して、個人情報保護法7の規定の下での個人デ
ータの取扱いの実態を把握するため、個人データの第三者提供における、提供先
に対する本人確認手続等の実施の有無等に関する調査を実施しているところ、そ
の結果等を踏まえ、個人データの適正な取扱いが一層確保されるようにするた
め、厳格な法執行を推進する。
また、例えば、従業者教育等安全管理措置の徹底等の個人情報の適正な取扱い
の確保を図るべく、業界団体等への働き掛け等、今後、様々なチャンネルを通じ
た広報・啓発を更に推進する。
② あらゆる法令を駆使した取締り等の推進
個人情報を悪用した犯罪被害を防止するため、特殊詐欺等の捜査の過程で入手
した名簿の登載者に対し、注意喚起や防犯指導を引き続き行うとともに、犯罪者
グループ等にこうした名簿を提供する悪質な「名簿屋」、さらに個人情報を不正
な手段により取得して第三者に提供する者に対し、あらゆる法令を駆使した取締
り等を推進する。
③ 犯罪の利用目的のための個人情報収集に係る注意喚起
電話や自宅訪問等により、真の目的を偽装して、個人の資産や貴金属の所有状
況、家族構成等を聞き出して犯罪に利用するケースもみられることから、このよ
うな不当な個人情報の収集活動に対する注意を一層喚起する。
(2) 携帯電話等の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者対策の推進
① 本人確認の実効性の確保に向けた取組
携帯電話や電話転送サービスの契約時の本人確認において、本人確認書類の券
面の偽変造による不正契約が相次いでいることから、携帯電話不正利用防止法8及
び犯罪収益移転防止法9等で定められている本人確認の実効性の確保のため、制度
7 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)。
8 携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関す
る法律(平成17年法律第31号)。
9 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)。 - 6 -
改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機能
の積極的な活用を推進する。
② 通信事業者・電話転送サービス事業者に対する指導監督の強化
特殊詐欺の犯行には、匿名での架電を可能とする様々な通信手段が利用されて
いるところ、総務省、警察庁等の関連省庁が連携して施策を推進することによ
り、こうしたサービスの悪用防止対策を更に強化する。具体的には、固定電話番
号の利用停止等スキーム等を通じて、警察が把握した悪質な電話転送サービス事
業者に係る情報を活用して、総務省が、犯罪収益移転防止法及び電気通信事業法
10等に基づく指導監督を効果的に行うことができる仕組みを構築するほか、悪質
な電話転送サービス事業者が大量に保有している「在庫番号」の利用を一括して
制限するための仕組みを新たに設け、電話の悪用防止対策の実効性向上を図る。
(3) 悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進
契約時の本人確認が義務化されていないSMS機能付きデータ通信専用SIMカ
ードについて、電気通信事業者に対して、契約時における本人確認の実施を更に推
進する。また、SMS機能付きデータ通信専用SIMカードについて、「闇バイ
ト」等情報の発信や犯行の指示等の手段への利用を含め不正利用の実態について分
析を行い、これを踏まえて、制度改正を含めた検討を行う。
(4) 預貯金口座の不正利用防止対策の強化
不正に譲渡された預貯金口座等が、犯罪者グループ等内での金銭の授受等に用い
られている実態がみられるところ、預貯金口座に係る顧客管理の強化を図り犯罪へ
の悪用を防止するべく、業界団体等を交えた検討を行いつつ、犯罪収益移転防止法
により求められている預貯金口座利用時の取引時確認や金融機関による顧客等への
声掛け・注意喚起を徹底・強化するなどの対策を推進する。
また、犯罪収益移転防止法等で定められている本人確認の実効性の確保のため、
制度改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機
能の積極的な活用を推進する。
(5) 証拠品として押収されたスマートフォン端末等の解析の円滑化
高度な情報通信技術を用いた犯罪に対処するため、最新の電子機器やアプリケー
ションの解析のための技術力の向上、パスワードが不明なスマートフォン端末の解
10 昭和59年法律第86号。 - 7 -
析等を行う解析用資機材の充実強化、外国捜査機関や研究機関等の関係機関との連
携・情報共有、検察官や捜査員等に対する研修等を推進し、情報技術解析に関する
態勢を強化する。
(6) 秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止
① 秘匿性の高いアプリケーションの悪用に係る注意喚起
「闇バイト」等情報の応募者が、リクルーターや指示役から、連絡に秘匿性の
高い通信アプリケーションを用いるように誘導され、当該アプリケーション上で
のやりとりに移行したとみられる実態があることを踏まえ、犯罪に加担する事態
を防ぐために、SNSを含む「闇バイト」等への応募の入り口になりそうな場面
における注意喚起のメッセージの表示や、「インターネットトラブル事例集」
2023 年版などを通じ、広報・啓発を実施する。
② 青少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進【再掲】
「青少年の非行・被害防止全国強調月間」において、国、地方公共団体、関係
団体等が相互に協力しながら、少年が「闇バイト」等情報により重大な犯罪に加
担する危険性について広報・啓発を推進するとともに、「青少年が安全に安心し
てインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第
5次)」(令和3年6月7日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づく広
報・啓発の一環として、保護者等に対し、子供がSNS上における「闇バイト」
等情報をきっかけに加害者となる危険性があることを注意喚起する。
(7) 帰国する在留外国人による携帯電話・預貯金口座の不正譲渡防止
① 携帯電話の不正譲渡防止
帰国する在留外国人から不正に譲渡された携帯電話が「飛ばし携帯」として第
三者の手に渡り、犯行に利用される実態がみられるところ、携帯音声通信事業者
の協力を受けるなどして、携帯電話不正利用防止法等に規定された契約者確認の
実効性確保のための検討を行う。
② 預貯金口座の不正譲渡防止
帰国する在留外国人から不正に譲渡された預貯金口座が、犯行に利用される実
態がみられるところ、こうした預貯金口座が不適切に使用されるような事態を防
止するべく広報・啓発活動を引き続き推進するとともに、犯罪者グループ等が当
該外国人になりすまして預貯金口座を悪用することのないよう、業界団体等を交
えた検討を行いつつ、在留期間に基づいた預貯金口座の管理を強化するなどの対
策を推進する。 - 8 -
併せて、金融機関が、サービスの悪用防止のため、在留外国人の在留期限の確
認等が円滑に行えるような情報の共有態勢について検討を行う。
③ 在留外国人等に対する広報・啓発の実施
在留外国人に対し、携帯電話・預貯金口座の不正譲渡の違法性の広報・啓発を
徹底し、注意喚起するため、出入国在留管理庁において在留外国人に向けた広
報・啓発資料の掲示等を行い、未然防止に努める。
また、日本に新たに入国する技能実習生等については、外国人本人に対し、又
は受入機関を通じて、携帯電話・預貯金口座の不正譲渡の防止のための周知・啓
発に取り組んでいるところであり、引き続き適切に実施する。
さらに、在外公館においても、上記広報・啓発の資料を掲示及び配布、公館ウ
ェブサイトに掲載するなど、未然防止に努める。
3 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
(1) 宅配事業者を装った強盗を防ぐための宅配事業者との連携
強盗等事件では、宅配事業者の訪問を偽装するなどの手段で一般住宅等に侵入す
る手口がみられるところ、いわゆる「置き配」等の非対面形式の宅配方法の普及が
対策として効果的と考えられることから、強盗等を企図する者が住居等に不法に侵
入する機会を低減するため、非対面形式の宅配方法の拡充等の取組を宅配事業者と
連携して推進する。
また、国土交通省においては、今後実施する「再配達削減PR月間」を通じ、経
済産業省や宅配事業者、EC(e コマース)事業者等と連携し、再配達削減に係る
取組を紹介するなど、消費者に対し、置き配等の活用を呼び掛ける。
(2) 防犯性能の高い建物部品、防犯カメラ、宅配ボックス等の設置に係る支援
警察庁、国土交通省、経済産業省、建物部品関連の民間団体等から構成される
「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」や「5団体防犯建
物部品普及促進協議会」において一定の防犯性能があると評価された建物部品(C
P部品)をウェブサイトで公表するなどし、引き続き、その普及に努めるほか、侵
入犯罪対策の広報・啓発を推進する。
また、CP部品として登録されたドア・窓への交換や、防犯カメラ、宅配ボック
スの設置等への支援により、防犯性の高い住宅への改修を促進する。 - 9 -
(3) 高齢者の自宅電話番号の変更等支援
特殊詐欺等の捜査の過程で入手した名簿の登載者に対し、注意喚起を徹底するほ
か、防犯機能を備えた固定電話機の設置・導入や、自宅電話番号の変更を含む被害
防止対策等について広報・啓発を行う。
なお、警察の注意喚起を偽装した特殊詐欺等も想定されるところ、これを防止す
る観点から、不審に感じた場合は#9110に確認の電話をすることなどを併せて
周知徹底する。
また、電気通信事業者に対して、警察からの情報提供により、当該名簿への登載
が確認されたこと等を契機として、固定電話番号の変更を希望する契約者について
は、番号変更にスムーズに応じるよう要請を行う。
(4) 高齢者の自宅電話に犯罪者グループ等から電話が架かることを阻止するための方策
① 特殊詐欺の予兆電話等に利用された電話番号や海外経由の通信サービスに係る
対策の検討
特殊詐欺の予兆電話等に利用された電話番号や、非通知設定の電話、海外経由
の通信サービスが関与する電話からの着信を機械的に阻止するなどの方策につい
て検討する。
② 発信者番号表示サービス等の普及等
アポ電等の悪質な電話の被害を抑止するためには、各個人が発信者番号を見て
対策していただくことが重要であることから、電気通信事業者に対して、発信者
番号を表示するサービス(ナンバーディスプレイ等)の普及拡大を図るととも
に、利用者本人からの申出に従って、非通知設定で架かってきた電話を着信しな
いように設定できるサービス(ナンバーリクエスト等)や、非通知設定の電話等
を自動で拒否することができるような端末(特殊詐欺対策アダプタ等)の普及促
進に取り組むよう要請する。
また、関係機関が連携し、固定電話利用者に対して、非通知設定の電話等につ
いては、意図せず出ないように呼び掛けを行う。
(5) 現金を自宅に保管させないようにするための対策
高齢者が自宅に保管する現金を狙った「現金手交型」の特殊詐欺等が発生してい
る実態がみられるところ、こうした被害を防止するため、高齢者に対して具体的な
犯行手口について注意喚起を行うとともに、高額の現金を自宅に保管することの危
険性について広報・啓発し、金融機関への預貯金等を活用するなどの予防対策の広
報・啓発を図る。 - 10 -
(6) パトロール等による警戒
警察において、職務質問や防犯指導等の効果的な実施を通じて、事件等の発生を
防ぐとともに、犯罪を取り締まるため、犯罪の多発する時間帯・地域に重点を置く
などしたパトロールを、引き続き、推進する。
4 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
(1) 犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進
事件の背後にいる首謀者や指示役も含めた犯罪者グループ等の弱体化・壊滅のた
め、新たな捜査手法の検討や、短時間で局面が展開する事案等に際しても迅速な捜
査を行うことができるようにするための環境整備等を含め、効果的な取締りのため
の取組を推進する。
電気通信事業者が保有している通信履歴情報等の円滑な差押えを可能とする対応
について、警察庁・総務省・関係事業者間の連携・協議の場を設けて取組を推進す
る。
(2) 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
首謀者や指示役が海外に所在するなどのケースにおいては、外国捜査機関等との
迅速な情報交換や、捜査に必要な証拠の提供を通じ、事件の全容解明を図る必要が
あるところ、ICPO等を通じた捜査協力を推進するほか、外交ルートや条約・協
定を活用して国際捜査共助等の円滑・迅速化に取り組む。
また、被疑者の引渡しや退去強制に係る調整が一層円滑・迅速になされるよう、
外国政府・外国捜査機関等との連携を一層深める。
(3) 現金等の国外持出し等に係る水際対策の強化
国民の安全・安心の確保や経済活動の健全な発展に寄与するため、「マネロン・
テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針」(令和4年5月19日マネロ
ン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議決定)等に基づき、関係機関と緊密に連
携し、海外への不正な現金等の持出しに係る水際での取締りを実施する。 - 11 -
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。