熊本県警察知能犯指定捜査員運用要綱の制定について
○熊本県警察知能犯指定捜査員運用要綱の制定について
(通達)
平成18年3月27日
熊捜二第152号
近年、政治・行政とカネを巡る不正事案が相次ぐ一方で、景気の長期低迷と
経済・社会の変化に伴い、以前にも増して大手企業等による不正行為も顕在化
しており、これらの不正の追及を求める国民の期待はかつてない高まりを見せ
ているところである。
また、公判における事実認定や証拠評価の一層の厳格化、弁護活動の活発化
等、捜査を取り巻く環境が年々厳しさを増していることに伴い、贈収賄、企業
犯等の重要知能犯事件の捜査を遂げるためには、従来にも増して質・量ともに
十分な捜査体制を確保することが不可欠な状況となっている。
このような厳しい現状に対処するためには、第一線の限られた知能犯捜査力
をこれまで以上に組織として機動的に集中運用し得る仕組みを整えることが喫
緊の課題となっていることから、このたび、知能犯捜査に熟練した捜査員、知
能犯捜査に有用な技能を有する捜査員等を集中運用し、重要知能犯事件におけ
る迅速かつち密な捜査に資することを内容とした「熊本県警察知能犯指定捜査
員運用要綱」を別添のとおり制定し、平成18年3月27日から施行することと
したので、効果的な運用に努められたい。
別添
熊本県警察知能犯指定捜査員運用要綱
第1 趣旨
この要綱は、贈収賄、企業犯等の重要知能犯事件に対して、知能犯捜査力
を機動的に集中運用することにより迅速かつち密な捜査を推進するため、警
察署の捜査員の中から知能犯の捜査経験を有する者、知能犯の捜査に有用な
技能を有する者等をあらかじめ知能犯指定捜査員(以下「指定捜査員」とい
う。)として指定し、事件捜査の拠点となる警察署(以下「拠点署」という。)
又は警察本部捜査第二課(以下「捜査二課」という。)に派遣する制度に関
し、必要な事項を定めるものとする。
第2 対象事件
指定捜査員を派遣する対象事件は、贈収賄、企業犯等の重要知能犯事件の
うち、当該事件を検挙するために知能犯捜査力を集中的に運用する必要があ
るものとする。-1
第3 指定捜査員の指定
1 推薦
(1) 警察署長は、警察本部捜査第二課長(以下「捜査二課長」という。)
と協議の上、別表に定められた定数に従い推薦すべき捜査員を決定し、
知能犯指定捜査員推薦書(別記様式第1号)により、警察本部長に推薦
するものとする。
(2) 警察署長は、指定捜査員の推薦に当たっては、次に掲げる基準を満
たした適格者を推薦するものとする。
ア 警部補以下の階級にある者
イ現に知能犯捜査に従事している者又は過去に捜査二課における知能
犯捜査の経験を有する者若しくは簿記資格、パソコン技能等知能犯捜
査に有用な特殊技能を有する者
ウ 勤務意欲がおう盛でかつ身体強健な者
2 指定
(1) 警察本部長は、警察署長が推薦した者の中から指定捜査員を指定す
るものとする。
(2) 警察本部長は、指定捜査員を指定したときは、警察署長を経由して、
当該捜査員に知能犯指定捜査員指定書(別記様式第2号)を交付するも
のとする。
第4 指定捜査員の変更
1 後任者の推薦
警察署長は、次に掲げる変更事由が生じたときは、捜査第二課長と協議
の上、後任者を決定し、知能犯指定捜査員推薦書により、速やかに警察本
部長に推薦するものとする。
(1) 人事異動により、所属が変更になった場合
(2) 健康上の理由から指定を継続することが不可能と認められる場合
(3) その他の事由により、警察署長が指定を継続することが不適当と認
めた場合
2 指定の変更
(1) 警察本部長は、警察署長から後任者の推薦があったときは、指定捜
査員の指定を変更するものとする。
(2) 警察本部長は、指定捜査員の指定を変更したときは、警察署長を経
由して、指定を解除する者に対しては知能犯指定捜査員解除通知書(別
記様式第3号)を、新たに指定する者に対しては知能犯指定捜査員指定
書を交付するものとする。ただし、変更事由が前1の(1)の場合は、知
能犯指定捜査員解除通知書の交付を省略するものとする。-2
第5 指定捜査員の派遣
1 派遣の要請
(1) 捜査を拠点署が主宰する場合
拠点署の警察署長は、捜査二課長と協議の上、当該事件の捜査を迅速
かつち密に推進する必要があると認めるときは、刑事部長に対し、指定
捜査員の派遣要請を行うものとする。
(2) 捜査を捜査二課が主宰する場合
捜査二課長は、当該事件の捜査を迅速かつち密に推進する必要がある
と認めるときは、刑事部長に対し、指定捜査員の派遣要請を行うものと
する。
2 派遣の決定
(1) 派遣の要否等の決定
刑事部長は、拠点署の警察署長又は捜査二課長から派遣要請があった
ときは、これらの者と協議の上、事件の規模、性格その他の状況に応じ
て、指定捜査員の派遣の要否及び必要人員を決定するものとする。
(2) 派遣捜査員の決定
刑事部長は、指定捜査員の派遣を決定したときは、派遣しようとする
指定捜査員が所属する警察署(以下「派遣署」という。)の警察署長と
協議の上、指定捜査員の中から現に派遣する者(以下「派遣捜査員」と
いう。)を決定するものとする。
3 派遣期間
派遣捜査員の派遣期間は、原則として1か月以内とする。ただし、刑事
部長は、当該事件の規模、性格その他の状況に応じて、派遣署の警察署長
と協議の上、上記期間を超えて派遣することができる。
4 運用等
(1) 派遣捜査員の指揮監督
派遣捜査員は、拠点署の警察署長又は捜査二課長の指揮監督を受ける
ものとする。
(2) 派遣捜査員の運用
拠点署の警察署長又は捜査二課長は、派遣捜査員の技能及び特性を十
分に発揮できるよう、適切かつ効果的な運用に努めなければならない。
5 派遣の解除
刑事部長は、拠点署の警察署長又は捜査二課長と協議の上、当該事件の
捜査の進展状況等から派遣の必要がなくなったと認めるときは、派遣捜査
員の派遣を解除するものとする。
第6 研修会等の開催-3
捜査二課長は、知識及び技能の向上を図るため、指定捜査員に対して、随
時、研修会、事件検討会等を開催するものとする。
第7 事務担当課
この要綱に関する事務は、捜査二課において行うものとする。
※ 別表・別記様式(略)-4
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。