判例 昭和46年9月3日 最高裁判所
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由第一点および第二点について。
上告人の本訴請求は、上告人は当時仙台高等裁判所に係属中の上告人に対する有
価証券偽造等被告事件の無罪を主張するため、その捜査に当たつた検察官六名を公
務員職権濫用罪により告訴したところ、当時札幌高等検察庁検事長の職にあつた被
上告人が、他の検察首脳と共同して、上告人のした告訴について、その事件処理を
故意に遷延させたため、前記被告事件について上告人をして有罪判決を受けるの已
むなきに至らしめ、よつて上告人に対し違法に財産上および精神上の損害を被らし
めたから、被上告人に対し右損害の賠償を求めるというのである。しかし、公権力
の行使に当たる国の公務員が、その職務を行なうについて、故意又は過失によつて
違法に他人に損害を加えたときは、国がその被害者に対し賠償の責に任ずるのであ
つて、本件のような事実関係のもとにおいては、公務員個人は被害者に対して直接
その責任を負うものではないと解するのが相当である。
それゆえ、原判決(その引
用する第一審判決を含む。)が、右と同趣旨の理由によつて上告人の本訴請求を排
斥した判断は、正当として是認することができる。
上告理由第一点は、原判決の解釈は、憲法一四条一項に違反すると主張するが、
その実質は、単なる法律解釈の誤りを主張するに過ぎないものである。そして、右
所論および上告理由第二点は、いずれも、公務員個人の責任に関し、右と異なる独
自の見地に立つて、原判決を非難するものであり、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。- 1
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官 村 上 朝 一
裁判官 小 川 信 雄- 2
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。