告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、検察官の職権発動を促すものにすぎないから、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないというべきである。したがって、被害者ないし告訴人は、捜査機関による捜査が適正を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることはできないというべきである

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大矢和徳の上告理由について
 犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公
益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回
復を目的とするものではなく、また、告訴は、捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、
検察官の職権発動を促すものにすぎないから、被害者又は告訴人が捜査又は公訴提
起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によ
って反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではない
というべきである。したがって、被害者ないし告訴人は、捜査機関による捜査が適
正を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法の規定に基
づく損害賠償請求をすることはできないというべきである(最高裁昭和二五年(オ)
第一三一号同二七年一二月二四日大法廷判決・民集六巻一一号一二一四頁参照)。

上と同旨の原審の判断は正当であり、これと異なる見解を前提とする所論違憲の主
張は失当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    坂   上   壽   天
            裁判官    安   岡   滿   彦
            裁判官    貞   家   克   己
            裁判官    園   部   逸   夫- 1


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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