「青森県警察犯罪被害者支援基本計画」の策定について
警 務第 1 4 8 号
(生企、刑企、交企、備一)
令 和 3年7月1 9日
各 所 属 長 殿
青 森 県 警 察 本部長
「青森県警察犯罪被害者支援基本計画」の策定について
第4次犯罪被害者等基本計画が閣議決定されたことを受けて策定された「警察庁犯
罪被害者支援基本計画」を踏まえ、別添のとおり、令和7年度末までの5年間におけ
る具体的な取組内容と推進要領を示した犯罪被害者支援基本計画を策定したので、本
計画に基づく犯罪被害者支援の一層の推進に努められたい。
担当:警務課犯罪被害者支援室
青森県警察犯罪被害者支援基本計画
青森県警察本部
青森県警察犯罪被害者支援基本計画
第1 総則
1 目的
*【】内は所管課
この計画は、警察庁犯罪被害者支援基本計画の策定を受け、青森県警察におけ
る犯罪被害者等施策を計画的に推進するため、計画期間において講ずるべき具体
的な取組内容及びその推進要領を示すことを目的とする。
2 計画期間
令和3年4月1日から令和8年3月31日までの5年間とする。
3 推進体制
「青森県警察犯罪被害者等支援推進委員会」において第2に示す施策について
の推進状況を点検し、犯罪被害者等支援の推進状況の把握と必要な調整を行う。
4 留意事項
施策の推進に当たっては、次の点に留意すること。
○ 地方公共団体その他の関係機関及び民間の団体等と緊密に連携・協力し、取
組の一層の充実・強化に努めること。
○ 犯罪被害者等に対する県民の理解・関心を深め、犯罪被害者等を社会全体で
支える気運を一層醸成するよう努めること。
○ デジタル技術その他の新たな手法等を取り入れながら、社会生活の変化に対
応した施策の推進に努めること。
第2 具体的な施策
1 相談・捜査の過程における犯罪被害者等への配慮及び情報提供
(1) 相談体制の充実等【広報課、警務課、少年女性安全課、保安課、捜査第一課、
捜査第二課、交通企画課、交通指導課、運転免許課】
全国統一の警察相談専用電話「#9110」番、性犯罪被害相談、少年相談等の個
別の相談窓口の設置、性犯罪相談窓口への女性警察職員の配置、交通事故被害
者等からの適切な相談受理等の相談体制の充実を図る。
また、犯罪被害者等の住所地や実名・匿名の別を問わず相談に応じるととも
に、犯罪被害者等の要望に応じ、青森県被害者支援連絡協議会や各警察署に設
置されている被害者支援地区ネットワーク(以下「警察署地区ネットワーク」
という。)に参画する関係機関・団体に関する情報提供や当該関係機関・団体
への引継ぎを行うなど、犯罪被害者等が相談しやすい対応及びその負担軽減を- 1
図る。
さらに、暴力団が関与する犯罪、少年福祉犯罪、児童虐待、人身取引(性的
サービスや労働の強要等)事犯等に関する通報を匿名で受け付け、有効な通報
を行った者に対して事件検挙等への貢献度に応じて情報料を支払う「匿名通報
ダイヤル」の適切な運用により、これら事件の早期の認知・検挙に努め、犯罪
被害者等を早期に保護する。
(2) 告訴・告発、被害の届出等の適切な受理等【生活安全企画課、刑事企画課、
交通企画課、警備第一課】
告訴・告発について、必要に応じて直ちに聴取・検討を行った上で、迅速に
受理するよう努めるとともに、犯罪被害者等からの被害の届出については、そ
の内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き、迅速・確
実に受理するなど、犯罪被害者等の視点に立って適切に対応する。
また、犯罪としての立件措置の可否とは別に、事案の状況に応じ、加害者に
対する指導・警告による被害拡大防止について検討するとともに、捜査部門以
外の部門や他の関係機関による対応が適切なものについては確実に引き継ぐな
ど、必要な措置を講ずる。
(3) 刑事に関する手続等に関する情報提供の充実【警務課、生活安全企画課、少
年女性安全課、捜査第一課、捜査第二課、交通指導課】
犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続、少年保護事件の手
続、警察その他の犯罪被害者等支援に関係する機関・団体による犯罪被害者等
の保護・支援のための制度等について分かりやすく取りまとめた「被害者の手
引」やパンフレット等を作成し、内容の充実を図るとともに、配布方法等の工
夫も含め、犯罪被害者等への早期提供に努める。
また、外国語版の「被害者の手引」について、必要に応じて内容の充実及び
見直しを図り、その確実な配布やウェブサイトにおける紹介に努めるとともに、
外国人を対象とする防犯教室、自治体の外国人向け広報誌等を通じ、警察の犯
罪被害者等施策について周知する。
(4) 捜査に関する適切な情報提供等【警務課、少年女性安全課、保安課、捜査第
一課、捜査第二課、交通指導課、警備第一課】
捜査への支障等を勘案しつつ、犯罪被害者等の要望に応じて捜査状況等の情
報を提供するよう努める。その際、被害者連絡責任者及び被害者連絡担当係を
指定し、犯罪被害者等に対する連絡の実施状況を把握するとともに、連絡が確
実に行われるよう、必要な措置を講ずる。
また、被害者連絡等を通じて把握した犯罪被害者等の状況や要望のうち、他
の関係機関や公益社団法人あおもり被害者支援センター(以下「被害者支援セ- 2
ンター」という。)と共有すべきものについては、犯罪被害者等の同意を得て
情報提供を行うなど、犯罪被害者等の支援の必要に応じ関係機関・団体との連
携を図る。
(5) 損害賠償請求制度等に関する情報提供の充実【警務課】
損害賠償請求制度その他の犯罪被害者等の保護・支援のための制度の概要に
ついて紹介した冊子・パンフレット等の内容の充実を図る。
また、当該冊子・パンフレット等を警察本部、警察署、運転免許センターの
窓口等の来訪者の目に触れやすい場所に備え付けるとともに、各種会合の機会
や各種広報媒体等を活用し、当該制度を周知する。
(6) 犯罪被害者に関する情報の保護【広報課】
犯罪被害者の氏名の発表に当たっては、匿名発表を望む犯罪被害者等の意見
と、報道の自由や国民の知る権利を理由として実名発表を望むマスコミの要望
を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘
案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する。また、
報道発表を行う場合には、犯罪被害者等に対し、事前に必要な情報の提供を行
うよう努める。
(7) 犯罪被害者等の意向を踏まえた証拠物件の適正な返却又は処分【刑事企画課】
証拠物件が滅失、毀損、変質、変形、混合又は散逸することのないよう留意
し、その証拠価値の保全に努めるとともに、検察庁と連携し、捜査上留置の必
要がなくなった証拠物件については、当該物件の還付方法について犯罪被害者
等と協議し、その意向を踏まえた上で返却又は処分するよう努める。
(8) 海外における犯罪被害者等に対する情報提供等【警務課、捜査支援分析課、
外事課】
関係機関・団体と連携し、海外における邦人の犯罪被害に関する情報収集に
努めるとともに、日本国内の遺族等や帰国する犯罪被害者等に対し、国内にお
ける支援に関する情報提供、空港等における帰国時の出迎え等の支援に努める。
(9) 地域警察官による犯罪被害者等への訪問・連絡活動の推進【地域課】
捜査部門との緊密な連携を図りつつ、犯罪被害者等の心情に十分配慮し、被
害回復、被害拡大防止等に関する情報提供、防犯指導、犯罪被害者等からの警
察に対する要望・相談の聴取を行うなど、地域警察官による犯罪被害者等への
訪問・連絡活動を効果的に推進する。
(10) 被害少年等が相談しやすい環境の整備【少年女性安全課】- 3
被害少年が早期に適切な支援を受けることができるよう、県警察のウェブサ
イトやSNS等への相談窓口の掲載のほか、非行防止教室等の様々な機会を活
用するなどして、被害少年やその保護者に対する効果的な周知・広報を図ると
ともに、相談窓口としての少年サポートセンターと電子メール相談「少年サポー
トメール」の利用促進に努め、被害少年等が相談しやすい環境の整備を図る。
(11) 被害児童からの事情聴取における配慮【少年女性安全課、捜査第一課】
被害児童の負担軽減及び信用性の高い供述の確保のため、検察庁、警察、児
童相談所等の関係機関が被害児童からの事情聴取に先立って協議を行い、関係
機関の代表者が事情聴取を行う取組を実施するほか、事情聴取の場所、回数、
方法等に配慮するなど、被害児童に十分配慮した取組を進める。
(12) 性犯罪被害相談の適切な対応【少年女性安全課、地域課、捜査第一課】
性犯罪被害相談について、相談者の希望する性別の職員が対応するとともに、
執務時間外においては当直勤務中の職員が対応した上で担当者に引き継ぐな
ど、適切な運用を推進する。
(13) 性犯罪被害者による情報入手の利便性の向上【警務課、地域課、捜査第一課】
都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハー
トさん)」等の相談窓口に関する広報等により、性犯罪被害者による情報入手
の利便性の向上に努める。
また、事件化を望まない性犯罪被害者に対しても、当該被害者の同意を得て
連絡先や相談内容等をあおもり性暴力被害者支援センター(以下「性暴力被害
者支援センター」という。)に提供するなど、性犯罪被害者が早期に同団体に
よる支援を受けやすくなるよう一層努める。
(14) 医療機関等における性犯罪被害者からの証拠資料の採取等の促進【捜査第一
課、鑑識課】
医療機関等において、警察への被害の届出前の性犯罪被害者からの証拠資料
の採取が適切に行われ、当該証拠資料が性犯罪被害者のプライバシーの保護に
配慮した上で適切に保管されるよう、証拠資料の採取・保管に必要な資機材の
整備及び関係機関への働き掛けを行い、性犯罪被害者による警察への被害の届
出前に証拠資料が滅失することのないよう努める。
また、産婦人科医会等とのネットワークを活用するなどして、性犯罪被害者
からの証拠資料の採取の方法を医師等に教示するとともに、捜査に支障のない
範囲で、医療機関等で採取した証拠資料の鑑定状況に関する情報を提供する。
(15) 司法解剖等に関する遺族への適切な説明等【捜査第一課】- 4
検視及び司法解剖に関し、パンフレットの作成・配布により、遺族に対し、
その目的、手続等に関する適切な説明を実施するとともに、遺族の心情に配慮
した対応に努める。
(16) 適正かつ緻密な交通事故事件捜査の一層の推進等【交通指導課】
重大・悪質な交通事故事件等については、捜査経験の豊富な交通事故事件捜
査統括官及び交通事故の科学的解析に関する研修を積んだ交通事故鑑識官が事
故現場に赴いて客観的証拠の収集等の捜査指揮を行うなど、適正かつ緻密な交
通事故事件捜査を推進するとともに、捜査員に対する各種研修の充実に努める。
また、被害者連絡調整官等の適切な運用、簡略化した捜査書類の的確な運用
等により、交通事故被害者等の心情に十分配慮した取組を一層推進し、交通事
故被害者等の負担軽減を図る。
2 精神的被害の回復への支援及び経済的負担の軽減に資する支援
(1) 医療費等の公費負担【警務課、少年女性安全課、捜査第一課】
性犯罪被害者の緊急避妊等に要する費用、身体犯被害者の診断書料、司法解
剖後の遺体搬送費及び遺体修復費等の公費負担制度の活用を積極的に推進する
とともに、これらの制度を周知する。
(2) カウンセリング費用の公費負担【警務課】
カウンセリング費用の公費負担制度を的確に運用するとともに、同制度の周
知に努める。
(3) 犯罪被害者等に対するカウンセリングの充実【警務課】
公認心理師、臨床心理士等の資格を有する部内カウンセラーの確実かつ十分
な配置に努めるとともに、カウンセリング技能を有する警察職員に対し、専門
的な研修を実施することにより、その技術・能力の向上に努め、当該職員を積
極的に活用し、犯罪被害者等に対するカウンセリングを実施する。
また、部外の精神科医、公認心理師、臨床心理士等を活用するなどして、犯
罪被害者等がその要望に応じて適切なカウンセリングを受けられるよう配慮す
る。
(4) 被害直後における居住場所の確保【警務課】
自宅が犯罪行為の現場となり、破壊されるなど、居住が困難で、かつ、自ら
居住する場所を確保できない場合等に犯罪被害者等が利用する一時避難場所の
確保に要する経費及び自宅が犯罪行為の現場となった場合におけるハウスク
リーニングに要する経費の公費負担制度を積極的に運用する。- 5
(5) 犯罪被害給付制度の運用改善【警務課】
犯罪被害給付制度について、各種広報媒体等を活用して周知するとともに、
対象事案の把握及び把握した事案の犯罪被害者等への教示を徹底する。
また、犯罪被害者等給付金の支給に係る裁定を事案の内容に即して迅速かつ
適正に行い、犯罪被害者等給付金の早期支給に努めるとともに、仮給付制度の
効果的な運用その他の犯罪被害給付制度の運用改善に努める。
(6) 公益財団法人犯罪被害救援基金との連携【警務課】
犯罪被害給付制度等の公的制度による救済の対象とならない犯罪被害者等
で、個別の事情に照らし特別の救済が必要と認められるものについては、公益
財団法人犯罪被害救援基金と連携し、同基金が行う支援金支給事業による救済
に努める。
(7) 海外における犯罪被害者等に対する経済的支援【警務課】
国外犯罪被害弔慰金等支給制度について、各種広報媒体等を活用して周知す
るとともに、対象事案の把握及び把握した事案の犯罪被害者等への教示を徹底
し、その適正な運用に努める。
(8) 被害少年の精神的被害を回復するための体制の整備及び継続的な支援の推進
【少年女性安全課】
被害少年の継続的な支援を行う少年補導職員に対し講習、研修等を実施する
ことにより、カウンセリングの技法等必要な専門技術等を修得させるよう努め
るとともに、専門的能力を備えた職員の配置に努める。
また、被害少年に対し、保護者の同意を得た上で、被害者支援センターへの
紹介を行うとともに、少年補導職員が臨床心理学等の専門家の助言を受けつつ
カウンセリングを実施するなど、継続的な支援を推進する。
(9) 犯罪利用預金口座等対策による被害回復の促進【保安課、捜査第二課】
預金口座等への振込みを利用して行われる特殊詐欺等の犯罪行為の被害者に
対して被害回復分配金が適切に支払われるよう、金融機関に対し、預金口座等
の不正利用に関する情報提供を行うとともに、犯罪被害者等に対し、被害回復
に資する各種制度を教示するなど情報提供を行う。
(10) 暴力団犯罪による被害回復の支援等の充実【捜査第二課】
青森県暴力追放県民センター、青森県弁護士会の民事介入暴力対策委員会等
との連携を強化し、暴力団犯罪の被害者等による損害賠償請求に対する支援等
の充実を図る。- 6
3 犯罪被害者等の安全の確保
(1) 再被害防止措置の推進【生活安全企画課、刑事企画課、交通企画課、警備第
一課】
同一の加害者により再び危害を加えられるおそれのある犯罪被害者等を再被
害防止対象者として指定し、検察庁、刑事施設、地方更生保護委員会、保護観
察所その他の関係機関・団体と緊密に連携して、再被害の防止に資する情報を
再被害防止対象者に適切に提供するとともに、非常時の通報要領、自主警戒の
方法等について防犯指導を行う。
また、必要に応じて緊急通報装置を貸与し、又は警戒措置を講ずるなどして、
再被害防止措置を推進する。
さらに、再被害の防止への配慮が必要な場合には、関係機関・団体と連携し、
逮捕状の請求等に当たって犯罪被害者等の個人情報の保護に配慮するなど、事
案に応じた柔軟な対応に努める。
(2) 再被害の防止に向けた関係機関との連携強化等【少年女性安全課、保安課】
配偶者等からの暴力事案の被害者、人身取引(性的サービスや労働の強要等)
事犯の被害者、児童虐待の被害児童等を保護し、これらの者に対する再被害を
防止するため、配偶者暴力相談支援センター、女性相談所、児童相談所等との
連携を強化する。
また、学校におけるいじめ等の問題行動に対応するため、学校をはじめとす
る関係機関・団体との連絡体制や学校警察連絡協議会等の組織の活用を図ると
ともに、加害少年やその保護者に対する非行防止や立ち直り支援のための助言、
指導等の充実を図る。
(3) 行方不明者対策の強化【少年女性安全課、鑑識課】
行方不明者届が出された者のうち、生命又は身体に危害が生じているおそれ
のある者等について、その行方に関する情報収集及び必要な探索・捜査を行う
とともに、関係機関・団体に協力を求めるなど、行方不明者を早期に発見・保
護するための措置を講ずる。
(4) ストーカー事案、配偶者等からの暴力事案等への迅速かつ的確な対応【少年
女性安全課】
ストーカー事案、配偶者等からの暴力事案等への対応に関し、被害者に危害
が加えられる危険性・切迫性の程度に応じ、検挙措置等による加害者の隔離を
第一に検討するなど、被害者の安全確保を最優先とした迅速かつ的確な対応を
推進する。
また、「ストーカー総合対策」(平成27年3月20日ストーカー総合対策関係
省庁会議決定。平成29年4月24日改訂)を踏まえ、関係機関と連携し、被害者- 7
等からの相談対応の充実、被害者情報の保護の徹底、被害者等の適切な避難等
に係る支援の推進、広報啓発活動等の推進、加害者対策の推進並びに被害者等
の支援を図るための措置といった各種対策を推進する。
(5) 児童虐待の防止及び早期発見・早期対応のための教育訓練等【少年女性安全
課】
児童虐待の早期発見等に資する教育訓練を徹底し、児童虐待に関する警察職
員の専門的知識・技能の向上に努めるとともに、児童虐待対策官を、児童相談
所等の関係機関との連携、児童虐待への専門的な対応に関する警察職員に対す
る指導等の業務に従事させるなど、児童虐待への対応力の強化を図る。
(6) 子供を対象とする暴力的性犯罪の再犯防止【少年女性安全課】
13歳未満の子供を被害者とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役して出
所した者の再犯防止を図るため、関係機関から情報提供を受け、定期的な所在
確認を実施する。
また、必要に応じて当該出所者の同意を得て面談を行うとともに、関係機関・
団体との連携強化に努める。
(7) 保護対策の推進【捜査第二課】
暴力団等による危害を未然に防止するため、暴力団等から危害を受けるおそ
れのある者を保護対象者として指定し、危害を受けるおそれの程度に応じ、そ
の危害を防止するための必要な措置を講ずるなど、警察組織の総合力を発揮し
た保護対策を推進する。
4 犯罪被害者等支援の推進のための基盤整備
(1) 地方公共団体における条例の制定等に関する協力【警務課】
市町村における犯罪被害者等の視点に立った総合的かつ計画的な犯罪被害者
等支援に資するよう、市町村の担当部局に対し、知事部局と連携し、犯罪被害
者等支援を目的とした条例等の犯罪被害者等支援のための実効的な事項を盛り
込んだ条例の制定又は計画・指針の策定状況について適切に情報提供を行うと
ともに、条例の制定等に向けた検討、条例の施行状況の検証及び評価等に資す
る協力を行う。
(2) 地方公共団体における担当部局との連携・協力の充実・強化【警務課】
犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓
口等の相談機関や各種制度等をリーフレット等により説明できるよう努めると
ともに、犯罪被害者等支援の担当者を対象とする研修の実施に必要な協力を行
うなど、地方公共団体における犯罪被害者等施策の担当部局及び総合的対応窓- 8
口の担当部局との連携・協力を充実・強化する。
(3) 市町村間の連携・協力の促進【警務課】
市町村間の連携・協力の促進を図るため、市区町村の犯罪被害者等支援担当
者を集めた知事部局による研修の実施等に協力する。
(4) 地方公共団体における見舞金制度等の導入促進に対する協力【警務課】
地方公共団体における犯罪被害者等施策の担当部局と連携し、地方公共団体
が犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入に
向けた検討を行うために必要な協力を行う。
(5) 犯罪被害者等のための施設等の改善【警務課】
被害者用事情聴取室や被害者支援用車両の活用を図るとともに、犯罪被害者
等の心情に配慮した照明や内装にするなど、犯罪被害者等のための施設等の改
善を図る。
(6) 研修の充実等 *所管課は各項目の末尾に記載
ア 採用時、昇任時及び捜査に従事する者を対象とした専科等の各種教養時に、
犯罪被害者等支援の体験記等を活用しつつ、犯罪被害者等支援の意義、性犯
罪被害者及び被害少年への支援要領、被害者支援センターとの連携要領等に
関する教養を行う。その際、犯罪被害者等による講演を組み込むなど、犯罪
被害者等への適切な対応を確実に行うための教養の充実を図り、犯罪被害者
等の二次的被害の防止に努める。特に、指定被害者支援要員に対し、「被害
者支援専科」において公認心理師・臨床心理士等によるロールプレイング方
式による演習を含む専門的な研修を行う。これらの教養を行うに当たっては、
性犯罪被害者や被害児童をはじめ、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に係
る内容を盛り込むよう努める。
また、配偶者等からの暴力事案への対処等に関する専門的な技能の向上に
努める。
【警務課、教養課、生活安全企画課、少年女性安全課、刑事企画課、交通
企画課、警備第一課、警察学校】
イ 被害児童からの事情聴取に関する警察官の技能の更なる向上を図るため、
事情聴取場面を設定したロールプレイング方式の実践的な研修を導入するな
ど、被害児童の負担軽減に配意しつつ信用性の高い供述を確保するための聴
取方法に関する効果的な研修の実施に努める。
【少年女性安全課、刑事企画課、捜査第一課】
ウ 性犯罪被害者の心情に配慮した捜査及び支援を推進するため、性犯罪の捜
査及び性犯罪被害者に対する支援に従事する警察官等を対象に、専門的な知- 9
見を有する講師を招いて講義を行うなど、男性や性的マイノリティが被害を
受けた場合の対応を含め、各種専科等における研修を実施する。
【警務課、捜査第一課】
エ 障害者の特性を踏まえた捜査及び支援を推進するため、捜査及び支援に従
事する警察官等を対象に、専門的な知見を有する講師を招いて講義を行うな
ど、各種専科等における研修を実施する。
【警務課、生活安全企画課、少年女性安全課、刑事企画課、捜査第一課】
(7) 指定被害者支援要員制度の活用等【警務課】
あらかじめ指定された警察職員(指定被害者支援要員)が、事件発生直後か
ら犯罪被害者等への付添い、指導、助言、情報提供等を行うほか、青森県被害
者支援連絡協議会等のネットワークを活用しつつ、被害者支援センター、弁護
士会等の関係機関の紹介を行うなどする指定被害者支援要員制度の積極的な活
用を図る。
また、指定被害者支援要員に対し、犯罪被害者等支援において必要な知識等
についての研修、教育等の充実に努める。特に、死傷者が多数に及ぶ事案等に
も迅速・確実に対応できるよう、必要に応じて指定被害者支援要員の迅速な集
中運用を行うためのマニュアルの整備や訓練の実施に努めるとともに、犯罪被
害者等支援の担当部門と捜査担当部門との連携強化を図る。
(8) 犯罪被害者等支援に携わる者に対する心理的影響への配慮【警務課】
犯罪被害者等支援に携わる警察職員は、犯罪被害者等と間近に接し、時には
その感情の表出に直面することにより、極めて強いストレスを受ける場合があ
ることから、これらの警察職員に対し、ストレスに関する教養を行うとともに、
精神科医、臨床心理士等によるカウンセリングを受けさせるなど、必要な措置
を講ずる。
(9) 好事例の勧奨及び適切な評価等【警務課】
情報提供をはじめとする基本的な犯罪被害者等支援が確実に実施されるよ
う、好事例を勧奨し、具体的な支援事例を通じて個々の職員の実務能力の向上
を図るとともに、適切な評価及び表彰の実施により、犯罪被害者等支援に係る
職員の意識高揚を図る。
(10) 性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置等【捜査第一課】
性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を促進するとともに、性犯罪
捜査専科の実施等により、性犯罪捜査を担当する職員の実務能力の向上を図る。
また、産婦人科医会、性暴力被害者支援センター等との連携強化に努め、そ
の活動への県民の理解を増進し、性犯罪被害者の心情に配慮した対応を強化す- 10
る。
(11) 関係機関・団体との連携・協力の充実・強化【警務課】
ア 青森県被害者支援連絡協議会及び被害者支援地区ネットワークについて、
メンバー間の連携及び相互の協力を充実・強化し、犯罪被害者等が置かれて
いる立場への理解を増進するための研修や、死傷者が多数に及ぶ事案等の具
体的事例を想定した実践的なシミュレーション訓練等を通じて、具体的な事
案に応じた対応能力の向上を図る。
また、青森県被害者支援連絡協議会等の活用により、地方公共団体や被害
者支援センターをはじめとする犯罪被害者等支援に関係する機関・団体との
連携を強化するとともに、犯罪被害者等に対し、当該機関・団体等における
犯罪被害者等支援のための制度等に関する情報提供を行うよう努める。
イ 関係機関・団体による犯罪被害者等支援が途切れることなく行われるよ
う、地方公共団体をはじめ、医師会、社会福祉士会、精神保健福祉士協会、
公認心理師関連団体、被害者支援センター等における研修の実施に必要な協
力を行い、犯罪被害者等支援を担当する職員等の意識の向上を図る。
(12) 犯罪被害者等早期援助団体等との連携・協力等【警務課】
犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等支援において犯罪被害者等の秘密が守ら
れること等を十分に説明した上で、犯罪被害者等の連絡先、相談内容等を被害
者支援センターに提供し、犯罪被害者等の精神的負担の軽減に努める。
また、被害者支援センターによる支援が、他都道府県の犯罪被害者等早期援
助団体と同水準で行われるよう、犯罪被害者等の実態、当該支援に資する事例、
二次的被害を防止するための留意事項等に関する必要な情報提供を行い、同団
体の運営及び活動に協力する。
さらに、被害者支援センターと連携し、犯罪被害者等の要望に応じて自助グ
ループの紹介を行う。
(13) コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援【警務
課】
被害者支援センターに対し、同団体が行う研修内容に関する助言や研修に対
する講師派遣等の協力を行う。
また、犯罪被害者等が必要とする支援についての相談対応や情報提供、適切
な関係機関・団体への橋渡し等、犯罪被害者等に対する支援全般を管理する
コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の育成を支援するため、
青森県被害者支援連絡協議会等において、被害者支援センターの支援員をコー
ディネーターとし、死傷者が多数に及ぶ事案等の具体的事例を想定した犯罪被
害者等支援に関する実践的なシミュレーション訓練を行う。- 11
(14) 犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等への支援の充実【警務課】
被害者支援センターに対する財政的援助の充実に努めるとともに、同団体の
財政的・人的基盤の確立に向けて協力する。
また、犯罪被害者等の援助に携わる者の研修に関する講師の手配・派遣、会
場借上げ等の必要な支援を行う。
さらに、各種広報媒体等を活用し、犯罪被害者等が置かれている状況やそれ
を踏まえた施策実施の重要性、被害者支援センターの意義・活動等について周
知する。
(15) 犯罪被害者等の援助を行う民間の団体の活動への支援等【警務課】
被害者支援センターが開催するシンポジウムや講演会について、その趣旨に
賛同できるものにあっては、その効果の波及性等も踏まえつつ後援するなど、
開催に協力するよう努める。
また、当該シンポジウム等の開催について、地方公共団体をはじめとする公
的機関に対し、SNS等の各種広報媒体を活用して周知するなど、被害者支援
センターの活動を支援する。
(16) 犯罪被害者等支援に関するウェブサイトの充実【警務課】
犯罪被害者等支援に関するウェブサイトについて、関係法令、相談機関等に
関する情報その他必要な情報の更新や英文による情報提供を行うなど、その充
実を図る。
(17) 犯罪被害者等支援の実態把握等【警務課】
犯罪被害者等支援の実態や犯罪被害者等が置かれている状況の適切な把握に
努めるとともに、把握した実態等を踏まえ、必要な検討を行う。
5 県民の理解の増進
(1) 犯罪被害者週間に合わせた集中的な広報啓発活動の実施【警務課】
犯罪被害者等の参加・協力を得て、「犯罪被害者週間(毎年11月25日から12
月1日まで)」の周知に努めるとともに、地方公共団体と連携・協力し、当該
週間に合わせて、犯罪被害者等への理解の増進を図るための広報啓発活動を集
中的に実施する。
(2) 各種広報媒体を活用した犯罪被害者等施策に関する広報啓発活動の実施【警
務課】
関係機関や被害者支援センターと連携し、犯罪被害者等が置かれている状況
や当該状況を踏まえた施策実施の重要性、被害者支援センターの意義・活動等- 12
について周知するとともに、街頭キャンペーン、討論会等の広報啓発活動を推
進する。
また、広報啓発用パンフレットの配布、ウェブサイト上での犯罪被害者等施
策の掲載等により、犯罪被害者等施策について周知するとともに、犯罪被害者
等支援に関する県民の理解増進に努める。
これらの広報啓発活動の実施に当たっては、スマートフォン等からのアクセ
スが可能なSNS等の各種広報媒体の活用を図る。
さらに、シンボルマーク等を活用するなど、広報手法の多様化に努める。
(3) 犯罪被害者等支援に関わりの深い者に対する積極的な広報啓発活動の実施
【警務課】
犯罪被害者等支援に関わりの深い医療、福祉、教育及び法曹関係の職能団体
等の協力を得て、当該団体等に属する者に対し、犯罪被害者等が置かれている
状況や犯罪被害者等支援の重要性等に関する広報啓発活動を積極的に実施し、
その理解の増進を図り、社会全体で犯罪被害者等を支える気運の醸成を図る。
(4) 調査研究結果の公表等を通じた犯罪被害者等が置かれている状況についての
県民の理解の増進【警務課】
犯罪被害者等に関する調査研究を実施した場合には、当該調査研究の結果を
公表するなどして、犯罪被害者等が置かれている状況についての県民の理解を
増進するための広報啓発活動に活用する。
(5) 被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する県民の理解の増進【警務課、少
年女性安全課】
様々な機会を通じて、性犯罪被害者、犯罪被害に遭った児童(その兄弟姉妹
を含む。)及び障害者をはじめ被害が潜在化しやすい犯罪被害者等が置かれて
いる状況等を周知し、県民の理解の増進及び社会全体で犯罪被害者等を支える
気運の醸成を図る。
(6) 「命の大切さを学ぶ教室」の開催等【警務課】
教育委員会等の関係機関と連携し、中学生・高校生等を対象に、犯罪被害者
等が講演者となり、子供を亡くした親の思いや命の大切さ等を直接生徒に語り
かける講演会「命の大切さを学ぶ教室」や「「命の大切さを学ぶ教室」感想文
コンクール」を開催することにより、犯罪被害者等への配慮・協力意識のかん
養や次世代を担う者の規範意識の向上に努める。
また、犯罪被害者等支援に係る社会参加活動に関する大学生の理解を増進す
るため、大学等との連携を強化し、大学生ボランティアの周知、活用及び活動
への支援並びに大学生に対する犯罪被害者等支援に関する講義等を積極的に推- 13
進するとともに、広く県民の参加を募って犯罪被害者等による講演会を実施す
るなど、様々な機会を利用して、社会全体で犯罪被害者等を支える気運の醸成
を図る。
(7) 犯罪被害者等の個人情報の保護に配慮した犯罪発生状況等の情報提供の実施
【生活安全企画課、地域課】
地域住民自らが積極的に防犯対策を講ずる契機となるよう、犯罪被害者等が
特定されないよう工夫した上で、各交番・駐在所が発行する「ミニ広報紙」や
「交番速報」のほか、青森県警察防犯アプリ「まもリン」およびメールマガジ
ン「青い森のセーフティネット」を利用し、身近な場所で多発している性犯罪
やつきまとい、子供への声掛け、ひったくり等の発生状況等を発信する。
(8) 交通事故被害者等の現状等に関する県民の理解の増進【警務課、交通企画課、
運転免許課】
交通事故被害者等の手記を取りまとめた冊子・パンフレット等を作成し交通
安全講習会で配布するほか、交通安全の集い等で交通事故被害者等による講演
を実施するとともに、運転者等に対する各種講習の中で交通事故被害者等の切
実な声が反映されたビデオ、手記等の活用や事故類型、年齢層別等交通事故に
関する様々なデータの公表等により、交通事故被害者等の現状、交通事故の惨
状等に関する県民の理解増進に努める。- 14
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。