告訴・告発の受理及び処理の適正化並びに報告要領の制定について(例規)
○告訴・告発の受理及び処理の適正化並びに報告要領の制定について(例規)
(平成12年6月9日例規第28号)
[沿革]平成12年11月例規第52号改正
告訴及び告発は、その取扱い次第では、国民の警察に対する信頼を失墜しかねず、ま
た、被害者対策の面からも適正な対応が特に強く望まれているが、全国的に告訴及び告
発の相談時における不適切な取扱いや受理後の捜査の停滞等の問題が散見されるところ
である。
そこで、この度、告訴及び告発事件の捜査をより一層適正かつ迅速に処理するため、
別記のとおり「告訴・告発の受理及び処理の適正化並びに報告要領」を制定し、平成12
年7月1日から実施することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。
なお、告訴、告発事件の速報と継続捜査が不可能な場合の処理要領について(昭和44
年5月例規第10号)は、廃止する。
別記
告訴・告発の受理及び処理の適正化並びに報告要領
第1趣旨
この要領は、告訴及び告発(以下「告訴・告発」という。)を適正かつ迅速に処理
するため、必要な事項を定めるものとする。
第2告訴取扱責任者等
1告訴取扱責任者
(1)警察署に告訴取扱責任者(以下「取扱責任者」という。)を置く。
(2)取扱責任者は、告訴・告発に係る事件の捜査を主管する課の課長(課を置かな
い警察署の係長を含む。)をもって充てる。
(3)取扱責任者は、警察署長(以下「署長」という。)の指揮を受けて、所管する
犯罪に係る告訴・告発の受理及び処理に関する事務を総括するものとする。
2告訴指導官
(1)警察本部の事件主管課(以下「本部主管課」という。)に告訴指導官(以下「
指導官」という。)を置く。
(2)指導官は、本部主管課の長(以下「本部主管課長」という。)が当該課に勤務
する警部以上の階級にある者の中から指名する者をもって充てる。
(3)指導官は、警察署における告訴・告発の受理及び処理に関し、専門的、技術的
な指導、調整等を行うものとする。
第3指揮の徹底等
1警察署における指揮の徹底等
(1)告訴・告発の相談がなされた場合の対応
ア取扱責任者は、告訴・告発の相談があったときは、速やかにその内容を署長
に報告し、その取扱いについて指揮を受けるとともに、明らかに受理すべきも
のと判断される場合を除き、相談の内容、受理・不受理の方針等を告訴・告発
事件相談受理報告書(別記様式第1)により、本部主管課に報告しなければな
らない。
イ署長は、取扱責任者から告訴・告発の相談があった旨の報告を受けたときは、
適正な対応について取扱責任者を指揮するとともに、受理、不受理について判
断が困難な場合は、本部主管課と連携を密にするよう指導し、その結果を確認
しなければならない。
(2)告訴・告発受理後の対応
ア取扱責任者は、告訴・告発を受理した後においては、捜査指揮を徹底して迅
速、的確な捜査の推進を図るとともに、捜査の進捗状況を逐次署長に報告しな
ければならない。
イ署長は、取扱責任者から捜査の進捗状況の報告を受けたときは、的確な捜査
について指揮するとともに、受理後3月以上経過し、その処理が終了していな
い事件については、迅速に捜査を推進するための捜査体制の確保等に配意した
捜査指揮を徹底しなければならない。
2警察署に対する指導の徹底等
(1)指導の徹底
ア指導官は、警察署における告訴・告発の相談の受理段階からその内容をすべ
て把握し、事実関係が複雑で受理に当たって慎重な検討を要すると認められる
案件又は被害の回復を図り、若しくは被害の拡大を防止するために迅速な対応
を要すると認められる案件については、当該警察署に対して、その擬律判断、
疎明資料、受理の可否等についてきめ細かな指導を行わなければならない。
イ指導官は、警察署において、告訴・告発の相談者に対して、受理の可否に関
する警察の検討状況や疎明資料が必要な理由等について十分な説明が行われて
いるか、警察の受理・不受理の判断が確実に伝達されているか等を個別の案件
ごとに把握し、相談者への適切な対応がなされるよう具体的な指導を行わなけ
ればならない。
(2)本部指導事件
ア本部指導事件の指定
本部主管課長は、告訴・告発を受理した後6月を経過したにもかかわらず、
その処理が終了していない事件を本部主管課の指導事件(以下「本部指導事件
」という。)に指定するものとする。
イ早朝の事件送致(付)
本部主管課長は、本部指導事件に指定したものについては、指導官による現
場指導の徹底、招致検討の実施など警察署に対する事件指導を強化し、早期の
事件送致(付)に努めなければならない。
第4報告
1署長は、告訴・告発を受理し、又はその処理が終了したときは、告訴・告発事件
受理(捜査結果)報告書(別記様式第2)により、本部主管課長に報告しなければ
ならない。
2署長は、告訴・告発を受理し、3月及び6月を経過したときは、それまでの捜査
状況を告訴・告発事件捜査状況報告書(別記様式第3)により、本部主管課長に報
告しなければならない。
3署長は、前記1及び2にかかわらず、告訴・告発の受理及び捜査過程において、
特異な事案があれば、その内容を本部主管課長に報告しなければならない。
第5継続捜査が不可能な場合の処理
告訴・告発を受理した後6月以上捜査を継続したにもかかわらず、被告訴人若しく
は被告発人(以下「被告訴人等」という。)を確認することができず、又は被告訴人
等の所在が判明せず事件処理が不可能な事件は、次により検察庁へ送付すること。
(1)送付する記録に被告訴人等を確認することができず、又は被告訴人等の所在が
判明しないという捜査の経過を明らかにした捜査報告書を添付すること。
(2)送付書(司法警察職員捜査書類基本書式例(平成12年3月30日付け最高検企第
54号検事総長指示)様式第53号)の犯罪事実並びに犯罪の情状等に関する意見の
項に、犯罪の情状等に関する意見として、捜査の結果、被告訴人等を確認するこ
とができず、又は被告訴人等の所在が判明せずその処理が不可能であるという理
由を簡記すること。
(3)送付した後に新たな事実が判明した場合又は検察庁から補充捜査の指示があっ
た場合は、迅速に捜査を行い、その結果を速やかに検察庁へ連絡(回答)又は追
送すること。
(別記様式省略)
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。