告訴・告発事件取扱要領
○告訴・告発事件取扱要領
平成25年3月18日
山口刑企第144号
山口警務第210号
山口生企第229号
山口交企第145号
山口備公第98号
目次
第1章 総則(第1条)
第2章 告訴・告発対応室
第1節 警察本部告訴・告発対応室(第2条―第8条)
第2節 警察署告訴・告発対応室(第9条―第14条)
第3章 告訴・告発事件に係る相談・申出への対応(第15条―第18条)
第4章 告訴・告発事件の受理(第19条-第22条)
第5章 告訴・告発事件の処理(第23条-第25条)
第6章 告訴・告発人への通知(第26条)
第7章 雑則(第27条-第29条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要領は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、犯罪捜査規範(昭
和32年国家公安委員会規則第2号。以下「規範」という。)、山口県警察捜査
指揮要綱(平成11年11月24日付け山口刑捜一第1468号ほか)及び山口
県警察犯罪事件等管理要綱(平成23年12月1日付け山口刑企第686号ほ
か)に定めるもののほか、告訴・告発事件の取扱いを迅速かつ適正に行うため、
必要な事項を定めるものとする。
第2章 告訴・告発対応室
第1節 警察本部告訴・告発対応室
(設置)
第2条 警察本部に、本部告訴・告発対応室(以下「本部対応室」という。)を置く。
(任務)
第3条 本部対応室の任務は、次に掲げるものとする。
(1) 告訴・告発事件に係る相談・申出への対応に関すること。
(2) 告訴・告発事件の受理に関すること。
(3) 告訴・告発事件の移送又は引継ぎに関すること。
(4) 告訴・告発事件の取扱いに係る調整に関すること。
(5) 告訴・告発事件の取扱状況の把握に関すること。
(6) 告訴・告発事件の取扱いに係る指導及び助言に関すること。
(7) その他本部室長が必要と認めること。
(組織)
第4条 本部対応室は、本部室長、統括取扱責任者、本部取扱責任者及び本部取扱
担当者をもって組織する。
(本部室長)
第5条 本部室長は、刑事部刑事企画課長をもって充てる。
2 本部室長は、本部対応室及び第9条に規定する警察署対応室の事務を総括する。
(統括取扱責任者)
第6条 統括取扱責任者は、刑事部刑事企画課告訴指導官をもって充てる。
2 統括取扱責任者は、本部室長を補佐し、本部対応室の事務を整理する。
(本部取扱責任者)
第7条 本部取扱責任者は、警部の階級にある者のうちから、告訴・告発事件を主
管する警察本部の所属(以下「本部事件主管課」という。)の長(以下「本部事
件主管課長」という。)が指名する者をもって充てる。ただし、刑事部捜査第一
課及び刑事部捜査第二課の本部取扱責任者は、告訴専門官をもって充てる。
2 本部取扱責任者は、所属する課が主管する告訴・告発事件の取扱いに関する事
務を処理し、次条に規定する本部取扱担当者を指揮監督する。
(本部取扱担当者)
第8条 本部取扱担当者は、警部補の階級にある者のうちから、本部事件主管課長
が指名する者をもって充てる。
2 本部取扱担当者は、所属する課が主管する告訴・告発事件の取扱いに関する事
務を処理する。
第2節 警察署告訴・告発対応室
(設置)
第9条 警察署に、警察署の名称を冠した警察署告訴・告発対応室(以下「警察署対
応室」という。)を置く。
(任務)
第10条 警察署対応室の任務は、次に掲げるものとする。
(1) 告訴・告発事件に係る相談・申出への対応に関すること。
(2) 告訴・告発事件の受理に関すること。
(3) 告訴・告発事件の移送又は引継ぎに関すること。
(4) 告訴・告発事件の取扱いに係る調整に関すること。
(5) 告訴・告発事件の取扱状況の把握に関すること。
(組織)
第11条 警察署対応室は、警察署室長、警察署取扱責任者及び警察署取扱担当者
をもって組織する。
(警察署室長)
第12条 警察署室長は、刑事官が配置されている警察署にあっては刑事官を、そ
の他の警察署にあっては刑事課長(刑事第一課長及び刑事・生活安全課長を含む。)
をもって充てる。
2 警察署室長は、警察署対応室の事務を掌理する。
(警察署取扱責任者)
第13条 警察署取扱責任者は、告訴・告発事件を主管する警察署の課(以下「警察
署事件主管課」という。)の長(以下「警察署事件主管課長」という。)をもって
充てる。
2 警察署取扱責任者は、主管する告訴・告発事件の取扱いに関する事務を処理し、
次条に規定する警察署取扱担当者を指揮監督する。
(警察署取扱担当者)
第14条 警察署取扱担当者は、警部補の階級にある者のうちから、警察署長が指
名する者をもって充てる。
2 警察署取扱担当者は、所属する課が主管する告訴・告発事件の取扱いに関する
事務を処理する。
第3章 告訴・告発事件に係る相談・申出への対応
(相談・申出への対応)
第15条 告訴・告発事件に係る相談・申出があったときは、警察本部にあっては
本部対応室において、警察署にあっては警察署対応室において対応し、当該事件
の受理の可否について判断するものとする。
2 前項に規定する判断に当たっては、次に掲げる事項を確認の上、行うものとす
る。この場合において、その判断が困難なものについては、本部対応室にあって
は本部事件主管課の、警察署対応室にあっては本部事件主管課及び本部対応室の
意見を踏まえて行うものとする。
(1) 告訴・告発権を有すること。
(2) 被害者が死亡した後の告訴に係るものにあっては、被害者の明示した意思が
あること。
(3) 公訴時効が完成していないこと。
(4) 既に処分がなされた事件についての告訴・告発でないこと。
(5) 親告罪の場合にあっては、告訴期間の経過後又は告訴取下げ後の再告訴でな
いこと。
(6) 処罰意思があること。
(7) 犯罪構成要件に該当していること。
(本部事件主管課の決定)
第16条 本部室長は、告訴・告発事件に係る相談・申出をする者があったときは、
関係する本部事件主管課長と協議の上、当該事件の本部事件主管課を決定するも
のとする。
(書面による相談・申出への対応)
第17条 本部対応室又は警察署対応室は、告訴・告発事件に係る相談・申出のう
ち、相談・申出者が持参した書面により行われるもので、かつ、当該事件の受理
ができないと判断したもの又は当該事件の受理の可否の判断が困難なものにつ
いては、その書面を預かってはならない。ただし、当該事件の受理の可否を判断
するためにその書面の写しを預かる必要がある場合は、この限りでない。
2 本部対応室又は警察署対応室は、前項ただし書の場合においては、事後の誤解
や紛議を防止するために必要な措置を講じなければならない。
(取扱状況の記録等)
第18条 本部対応室又は警察署対応室は、告訴・告発事件に係る相談・申出に対
応したときは、取扱状況を確実に記録し、その経過を明らかにするものとする。
この場合において、警察署室長は、本部事件主管課長を経由して本部室長にその
取扱状況を報告するものとする。
第4章 告訴・告発事件の受理
(本部対応室において受理したときの措置)
第19条 本部室長は、告訴・告発事件を受理したときは、当該事件を処理すべき
警察署を決定し、本部事件主管課長を経由して当該警察署室長に事件を移送する
ものとする。ただし、本部事件主管課長が、当該事件を当該本部事件主管課にお
いて処理すべきと判断したときは、この限りでない。
(警察署対応室において受理したときの措置)
第20条 警察署室長は、告訴・告発事件を受理したとき(本部室長又は他の警察
署室長から告訴・告発事件の移送を受けたときを含む。第3項において同じ。)
は、警察署事件主管課を決定し、当該事件を引き継ぐものとする。
2 前項の規定にかかわらず、警察署室長は、受理した告訴・告発事件について、
次のいずれかに該当するときは、他の警察署対応室に事件を移送することができ
る。この場合において、警察署室長は、本部室長及び移送先の警察署室長とあら
かじめ、協議しなければならない。
(1) 管轄区域外であるため、処理することが困難であると認められるとき。
(2) 被告訴・告発人が他の警察署にも告訴・告発されており、かつ、他の警察署
において調整を要すると認められるとき。
(3) 合同・共同捜査する必要があり、かつ、他の警察署において調整を要すると
認められるとき。
(4) 告訴・告発事件の関係者の利便等のために移送することが適当と認められる
とき。
3 警察署室長は、告訴・告発事件を受理したときにあっては告訴・告発事件受理
報告書(別記第1号様式)により、移送したときにあっては告訴・告発事件処理
報告書(別記第2号様式)により、本部事件主管課長を経由して本部室長に報告
するものとする。
(移送の様式)
第21条 第19条及び前条第2項の規定による移送は、事件引継書(規範別記様
式第5号)により行うものとする。
(受理しないと判断したときの措置)
第22条 本部対応室又は警察署対応室は、告訴・告発事件として受理しないと判
断した相談・申出について、当該相談・申出者に対し、その理由を説明するとと
もに、可能な限り相談・申出者の問題解決に努めるものとする。
2 本部対応室又は警察署対応室は、告訴・告発事件として受理しないと判断した
相談・申出であっても、当該相談・申出者の意図するところを確かめ、潜在的犯
罪に対する端緒の確保に努めるものとする。
第5章 告訴・告発事件の処理
(処理)
第23条 受理した告訴・告発事件は、原則として、受理した日から3月以内(捜
査の終結の見込みがない告訴・告発事件にあっては公訴時効の完成の6月前ま
で)に、検察官に送付するものとする。この場合において、共犯者がいるときは、
併せて送付するものとする。
2 警察署事件主管課長は、告訴・告発事件を送付したときは、警察署室長に報告
するものとする。
3 警察署室長は、前項の規定による報告を受けたときは、告訴・告発事件処理報
告書により、本部事件主管課長を経由して本部室長に報告するものとする。
(取消しを受けたときの処理)
第24条 告訴・告発人から告訴・告発事件の取消しを受けたときは、その理由を
明らかにするとともに、次に掲げる措置をとるものとする。
(1) 告訴事件が親告罪であるときは、その事件の捜査を中止し、速やかに検察官
に送付すること。
(2) 告訴・告発事件が非親告罪であるときは、その事件に対する捜査を速やかに
遂げ、検察官に送付すること。
(3) 告訴・告発事件を既に送付しているときは、直ちにその旨を検察官に連絡し、
必要な書類を送付すること。
2 前条第2項及び第3項の規定は、前項第1号及び第2号の規定により送付した
ときについて準用する。
(本部事件主管課長の指導等)
第25条 本部事件主管課長は、警察署が取り扱う告訴・告発事件の処理方針及び
捜査の進捗状況を常に把握し、個別案件ごとの指導を行うものとする。
2 本部事件主管課長は、警察署が取り扱う告訴・告発事件について、未処理事件
が多く早期に処理する必要があると認められる場合、事件が複雑で多くの人員を
要すると認められる場合等は、当該警察署事件主管課に捜査員を派遣するものと
する。
第6章 告訴・告発人への通知
(通知)
第26条 受理した告訴・告発事件について、他の警察署に移送し、若しくは検察
官に送付したとき、又は捜査の終結が遅延するときは、その状況を告訴・告発人
に通知しなければならない。
第7章 雑則
(告訴・告発事件処理月報)
第27条 警察署室長は、毎月の告訴・告発事件の受理状況及び処理結果(前月ま
でに受理したものの処理結果を含む。)を取りまとめて、告訴・告発事件処理月
報(別記第3号様式)により、翌月5日までに本部室長に報告するものとする。
(告訴・告発事件相談・申出等記録簿等の備付け)
第28条 本部事件主管課及び警察署事件主管課に、告訴・告発事件相談・申出等
記録簿及び告訴・告発事件処理簿を備え付けるものとする。
2 告訴・告発事件相談・申出等記録簿には、告訴・告発事件に係る相談・申出の
取扱状況に関する資料を編てつし、当該取扱状況を明らかにするものとする。
3 告訴・告発事件処理簿には、告訴・告発事件受理報告書及び告訴・告発事件処
理報告書を編てつし、告訴・告発事件の受理、処理の経過及び結果を明らかにす
るものとする。
(その他)
第29条 この要領に定めるもののほか、告訴・告発事件の取扱いについて必要な
事項は、別に定める。
淺利 大輔
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。