知能犯に関する告訴・告発事件取扱要領

○知能犯に関する告訴・告発事件取扱要領
平成18年3月30日
捜二第894号
警 察 本 部 長
最終改正
平成25年9月27日

知能犯に関する告訴・告発事件取扱要領の制定について(通達)

知能犯に関する告訴及び告発事件の捜査を適切に管理するとともに、適正な取扱い及び迅速
な事件処理を図るため、みだしの要領を別添のとおり制定し、平成18年4月1日から実施す
ることとしたから、誤りのないようにされたい。
別添
知能犯に関する告訴・告発事件取扱要領
第1 趣旨
この要領は、知能犯に関する告訴及び告発事件(以下「告訴等」という。)の適切な取扱
いを図るため、告訴等の相談、受理及び処理に関し必要な事項を定めるものとする。
第2 準拠
告訴等の取扱いについては、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、犯罪捜査規範(昭和
32年国家公安委員会規則第2号)及び埼玉県犯罪捜査規程(平成3年埼玉県警察本部訓令
第1号)に定めるもののほか、この要領の定めるところによる。
第3 告訴等の相談
1 告訴等の相談への対応
(1) 警察本部
刑事部捜査第二課員が告訴等に係る相談を受け、相談者の理解を得て、当該相談に対
応することが適当と認められる警察署に引き継ぐこと。
(2) 警察署
ア 告訴等に係る相談を受けた刑事課長又は課長代理(知能犯・組織犯罪対策)(以下
「刑事課長等」という。)が、速やかに警察署長にその内容を報告すること。
イ 前記アの相談を受けた刑事課長等は、事件ごとに担当者を指定し、当該担当者を指
揮して当該相談に対応すること。
ウ 刑事課長等は、相談を受けた告訴等について、警察署長の指揮を受けて受理又は不
受理の判断をするものとする。
エ 刑事課長等が自ら対応することができないときは、警察署長又は刑事課長等が指定
する担当者が対応し、当該担当者は、警察署長の指揮を受けて受理又は不受理の判
断をし、その結果を速やかに警察署長に報告して、刑事課長等に引き継ぐこと。
2 告訴等の相談受理時の留意事項
(1) 相談者に幅広い説明を求め、告訴等の趣旨、相談者の真意等を明らかにするとともに、
相談者の示した犯罪事実にとらわれることなく、背景を含めた事案の全体を明らかに
するよう努めること。
(2) 相談者の立場に立った誠実な対応を心掛け、提出が必要な資料、連絡先等を教示する
などの便宜を図るとともに、捜査への積極的な協力を求めること。
(3) 事件の成否、管轄権の有無等に関する不用意な言動を慎み、不信、疑念、誤解等を招
くことのないようにすること。
(4) 相談を受けた事案について、不法事案に発展するおそれがあると認めたときは、告訴
等の受理、不受理を問わず、懸念される不法事案の発生防止のため、相談者の居所等
を管轄する警察署へ連絡するなど所要の措置を講じること。
(5) 関係者の居所、犯罪地等関係場所がすべて管轄区域外である事案については、事後の
連絡等を円滑に行うため、関係場所を管轄する警察署への相談を勧奨すること。ただ
し、管轄区域外の事案であることのみを理由に不受理とすることはできないことに留
意すること。
3 告訴等の相談受理の報告
(1) 警察本部
刑事部捜査第二課員は、前記1(1)の規定により告訴等の相談を受けた場合は、速や
かに告訴・告発事件(知能犯関係)相談受理報告書(別記様式第1号)により、刑事
部捜査第二課長(以下「捜査第二課長」という。)を経て刑事部長に報告すること。
(2) 警察署
刑事課長等は、告訴等の相談を受けた場合で、次に掲げるときは、警察署長にその内
容を報告の上、速やかに告訴・告発事件(知能犯関係)相談受理報告書により、捜査
第二課長を経て刑事部長に報告すること。
ア 相談者が告訴等の意思を示したが、受理するか否かの判断に検討を要すると認める
とき。
イ 相談者が来署せず、告訴状又は告発状(以下「告訴状等」という。)が送付されて
きたとき。
ウ 告訴等以外に係る相談であっても、相談者の言動、報道等から後日告訴等に進展す
るおそれがあるとき。
エ 相談対応時における相談者の言動から、相談者との間の紛議が予想されるとき。
(3) 前記(1)又は(2)の報告を受けた刑事部長は、重要又は特異なものについては警察本部
長(以下「本部長」という。)に報告すること。
4 苦情・相談等情報管理業務による報告
告訴等の相談又は告訴等に関する苦情を受理したときは、前記3の報告のほか、埼玉県
警察情報管理システムによる苦情・相談情報管理業務実施要領(平成13年埼例規第83
号・広報)に規定する苦情・相談等情報管理業務に登録し、管理票(埼玉県警察苦情・相
談取扱規程(平成15年埼玉県警察本部訓令第49号)別記様式第1号)に告訴・告発事件
(知能犯関係)相談受理報告書を添付して報告すること。
第4 告訴等の受理
1 受理の判断
警察署長は、相談のあった告訴等について、次の要件を満たすと認められる場合は受理
しなければならない。ただし、他の警察署で取り扱うことが妥当であると認めるときは、
刑事部長による調整を受け、当該相談のあった告訴等を引き継ぐとともに、相談者に当該
警察署を教示して引き継いだ旨を説明すること。
(1) 犯人の処罰を求める意思表示があること。
(2) 犯罪事実が特定されていること。
(3) 告訴権を有する者からの告訴であること。
(4) 告訴期間が限られている罪に係る告訴については、告訴期間内の告訴であること。
(5) 公訴時効が完成していないこと。
(6) 既に処分がなされた事件に係るものでないこと。
(7) 過去に告訴を取り消した者による再告訴でないこと。
(8) 代理人等を介しての告訴等については、代理権及び委任関係が存することを証する書
面が提出されていること。
2 告訴等の受理の報告
警察署長は、告訴等を受理したときは、速やかに告訴・告発・請求事件受理及び処理報
告書(埼玉県犯罪捜査規程(平成3年埼玉県警察本部訓令第1号)様式第11号)及び告
訴・告発事件(知能犯関係)捜査項目一覧表(別記様式第2号)にチャートその他の関係
資料を添付の上、捜査第二課長を経て本部長に報告すること。
3 告訴等の不受理の報告
警察署長は、相談のあった告訴等について、前記1の要件を満たしていないと認められ
る場合は不受理とし、速やかに告訴・告発事件(知能犯関係)不受理報告書(別記様式第
3号)により、捜査第二課長を経て刑事部長に報告すること。この場合において刑事部長
は、重要又は特異なものについては、本部長に報告すること。
4 特異な告訴等の取扱い
(1) 口頭による告訴等については、特段の事情がない限り、告訴状等及び資料の提出を勧
奨すること。
(2) 電話又は電報による告訴等は、資料を欠き、前記1の要件を満たすか否かの確認が困
難であるので、特段の事情がない限り、告訴状等及び資料を持参して内容を説明する
よう求めること。
(3) 告訴等が郵送され、又は使者により持参された場合で前記1の要件を満たすか否かの
確認が困難なときは、特段の事情がない限り、告訴人等が資料を持参して内容を説明
するよう求めること。
(4) 告訴をしない旨の意思表示をしていた者が、変心して後日告訴をすることがあるが、
告訴を取り消した者による再告訴と告訴をする前の変心とを混同しないこと。
5 告訴等の受理の留意事項
(1) 告訴等の相談が司法巡査である警察官に対してなされたときは、直ちに司法警察員で
ある警察官に報告すること。
(2) 受理又は不受理については、その旨が明確に相談者に伝わるようにすること。
(3) 告訴等を受理するか否かを検討する必要があるとき及び不受理とするときは、相談者
の提出した告訴状等及び資料の写しを保管することとし、告訴状等及び資料は速やか
に相談者に返戻すること。
第5 告訴等の処理
1 告訴等の捜査
受理した告訴等については、速やかに捜査を遂げて犯罪の有無にかかわらず検察官に送
付又は送致しなければならない。
2 告訴等の処理の留意事項
(1) 被告訴人等の所在が不明で、その所在捜査に長期を要し、早期に取り調べる見込みが
ないとき又は告訴等の時効が切迫しているときは、その捜査経過を明らかにして検察
官と協議の上、送付すること。
(2) 警察署長は刑事課長等に、刑事部長は捜査第二課長にそれぞれ告訴等の捜査状況を随
時報告させるとともに、告訴・告発事件(知能犯関係)受理処理状況一覧表(別記様
式第4号)により、処理状況を定期的に、及び随時把握すること。
(3) 捜査第二課長は、警察署長から受理報告を受けた告訴等のうち、長期未処理事案につ
いて、捜査員の集中運用等による早期処理に努めるよう指導すること。
(4) 告訴等事件を処理するに当たり、告訴等の取下げを要請されたとの誤解を受けるよう
な言動は、厳に慎むこと。
3 告訴等の移送
(1) 県内の他の警察署への移送
受理した告訴等のうち、次のいずれかに該当するものは、捜査第二課長を経て本部長
の指揮を受け、他の警察署に移送することができる。
ア 既に、他の警察署において捜査中である事件
イ 被告訴人等及び告訴人等の住所、居所、犯罪地等が他の警察署の管轄区域にまたが
る事件
(2) 他の都道府県警察への移送
他の都道府県警察の管轄区域に関連する告訴等で、他の都道府県警察に移送すること
が適当なものについては、捜査第二課長を経て本部長の指揮を受け、他の都道府県警
察署に移送することができる。
4 告訴等の処理に関する報告
警察署長は、告訴等を処理したときは、速やかに告訴・告発・請求事件受理及び処理報
告書に関係資料を添付の上、捜査第二課長を経て本部長に報告すること。
実施日
この通達は、平成18年4月1日から実施する。
【別記様式省略】


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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