被留置者の留置に関する規則

平成十九年国家公安委員会規則第十一号
被留置者の留置に関する規則
警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第十三条第一項の規定に基づき、被疑者留置規則(昭和三十二年国家公安委員会規則第四号)の全部を改正するこの規則を制定する。
(目的)
第一条この規則は、留置施設の管理運営及び被留置者(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する被留置者をいう。以下同じ。)の処遇について必要な事項を定めることを目的とする。
(処遇の原則)
第二条被留置者の処遇に当たっては、その人権を尊重しつつ、その者の状況に応じた適切な処遇を行うものとし、いやしくもその権利を不当に侵害することのないよう注意しなければならない。
(構造及び設備についての配意)
第三条留置施設の設置及び維持管理に当たっては、被留置者の逃走、自殺、通謀その他の罪証の隠滅等を防止し、かつ、被留置者の健康及び留置施設内の秩序を維持するため、構造及び設備が、堅ろうで看守に便利なものとするとともに、通風、採光、区画、面積等を考慮しなければならない。
2留置施設には、警報ベル、消火器、非常口等を設け、被留置者の逃走の防止又は非常災害に備えなければならない。
(留置主任官)
第四条留置業務管理者(法第十六条第一項に規定する留置業務管理者をいう。以下同じ。)は、警察署に置かれる留置施設にあっては警察署の留置業務を主管する課の警部以上の階級にある警察官又は留置担当官(法第十六条第二項に規定する留置担当官をいう。以下同じ。)を監督する地位にある警察官のうちから、警視庁、道府県警察本部又は方面本部(以下この項において「警察本部」という。)に置かれる留置施設にあっては警察本部の留置業務を主管する課の警部以上の階級にある警察官のうちから、留置主任官を指名するものとする。
2留置主任官は、留置業務管理者を補佐し、留置担当官を指揮監督する。
3留置主任官が不在の場合には、当直責任者又は留置業務管理者の指定した者が留置主任官に代わってその職務を行うものとする。
(関係簿冊の備付け)
第五条留置施設には、次の各号に掲げる簿冊を備え、所定事項を記録しておかなければならない。
一被留置者名簿
二被留置者出入簿
三被留置者金品出納簿
四被留置者反則行為措置簿
五被留置者診療簿
六被留置者戒具使用・保護室収容簿
七被留置者面会簿
八被留置者信書発受簿
九看守勤務日誌
2前項各号に掲げる簿冊の様式は、警察庁長官の定めるところによる。
(連絡)
第六条捜査主任官(犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第二十条に規定する捜査主任官をいう。以下同じ。)は、被疑者を留置するに当たっては、留置主任官(第四条第三項の規定により留置主任官に代わってその職務を行う者を含む。以下同じ。)に対して、その者の逮捕の理由、弁護人の選任に関する事項、看守上注意を要する事項その他必要な事項を連絡しなければならない。
2留置主任官は、被留置者の処遇の適正を図るため必要があると認めるときは、捜査主任官に対して、当該被留置者の健康状態その他当該被留置者の処遇上留意すべき事項を連絡しなければならない。
(外傷等の記録)
第七条留置担当官は、被留置者を留置施設に入れる場合には、その都度、その者の身体につき外傷その他の異常がないかどうかを確認し、異常を発見したときは、その状況、原因等を詳細に記録しておかなければならない。
(家族等に対する通知)
第八条留置業務管理者は、被留置者から申出があった場合には、その家族又はこれに代わるべき者に当該被留置者を留置している旨を通知しなければならない。ただし、捜査上特に支障のある場合は、この限りでない。
(通謀の防止)
第九条共犯者その他関連する事件の被疑者を留置するに当たっては、できるだけ各別に収容し、通謀を防止しなければならない。
(留置担当官の配置)
第十条留置業務管理者は、被留置者の数、性質等を考慮し、その留置業務に必要な数の留置担当官を留置施設に配置しなければならない。
(留置主任官による指導監督)
第十一条留置主任官は、昼間及び夜間それぞれ二回以上巡回し、看守勤務の警察官に対し、被留置者の逃走、自殺、罪証の隠滅その他の事故の防止、被留置者に対する適切な処遇の実施その他の留置業務の実施に必要な事項について指導監督を行わなければならない。
(留置担当官の勤務交代の際の注意)
第十二条留置担当官は、勤務交代に当たり、異常の有無、被留置者の異動その他留置業務の実施に必要な一切の事項を確実に引き継がなければならない。
2看守勤務の警察官が勤務交代に当たり行う前項の規定による引継ぎは、留置業務に必要な一切の事項を周知するため、新たに勤務に就こうとする者全員と立会いの上でのみ、することができる。
(事故防止等)
第十三条留置担当官は、被留置者の逃走、自殺、罪証の隠滅その他の事故を防止するため、留置施設を見回り、その他必要な措置を執り、被留置者の動静及び施設の異常の有無に注意を払わなければならない。
2留置担当官は、留置業務の実施上必要のない者を留置施設に入れてはならない。
(参考事項の報告)
第十四条留置担当官は、被留置者につき留置業務の実施上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに留置主任官に報告しなければならない。
(被留置者の申出に対する措置)
第十五条留置担当官は、被留置者からその処遇又は弁護人の選任等につき申出があったときは、直ちに留置主任官に報告し、必要な措置が執られるようにしなければならない。
(異常発見の場合の措置)
第十六条留置担当官は、被留置者又は留置施設について異常を発見した場合は、応急の措置を執り、直ちに留置主任官を経て、留置業務管理者に報告しなければならない。
2留置業務管理者は、前項の報告を受けた場合において、被留置者の逃走、自殺、疾病による死亡その他重要な事故に係るものについては、速やかに、警視総監、道府県警察本部長又は方面本部長に報告しなければならない。
3留置業務管理者は、被留置者のうち法第十四条第二項第一号に掲げる者以外の者について第一項の規定による報告を受けたときは、これを速やかにその者の身体の拘束につき権限を有する者に通知しなければならない。
(食事の支給)
第十七条留置主任官は、被留置者に対する食事の支給に当たっては、栄養及び衛生について検査しなければならない。
2疾病者その他特別の理由のある者については、必要に応じ、かゆ食その他適当な食事を支給するものとする。
(差入物に関する意見聴取等)
第十八条留置主任官は、弁護人等(法第七十五条第三項に規定する弁護人等をいう。以下同じ。)以外の者が被留置者(法第十四条第二項第一号に掲げる者に限る。以下この項及び第二十四条において同じ。)に交付するため物品(信書を除く。)を留置施設に持参し若しくは送付した場合において当該物品が刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の定めるところにより交付を受けることが許される物品であるかどうか、被留置者が自弁物品等(法第四十六条第一項第五号に規定する自弁物品等をいう。以下この項において同じ。)を購入するため領置されている現金を使用することを申請した場合において同法の定めるところにより購入する自弁物品等の交付を受けることが許されるかどうか又は被留置者が弁護人等以外の者への物品(法第二百二十七条において準用する法第百三十三条に規定する文書図画(第二十四条において単に「文書図画」という。)に該当するものを除く。)の交付(信書の発信に該当するものを除く。)を申請した場合において当該物品が同法の定めるところにより交付が許される物品であるかどうかについて、捜査主任官の意見を聴くものとする。
2糧食の差入れ及び自弁購入は、これを禁止してはならない。
(領置金品の取扱い)
第十九条留置業務管理者は、法第百九十四条第二項の規定に基づき領置した金品について、その数量、保管者等を明確にして保管しておかなければならない。
(薬品の常備)
第二十条留置施設には、応急手当に必要な薬品を常備しておかなければならない。
(非常計画の立案等)
第二十一条留置業務管理者は、あらかじめ、被留置者が逃走しようとした場合における身柄の確保のための態勢等逃走を防止するために必要な事項、災害が発生した場合の避難場所その他円滑な避難を確保するために必要な事項その他非常の場合に対処するための計画を立て、これに基づき必要な訓練を実施しなければならない。
(災害時の避難及び解放に係る注意)
第二十二条留置業務管理者は、被留置者のうち法第十四条第二項第一号に掲げる者以外の者について法第二百十五条第一項又は第二項に規定する措置を執ったときは、これを速やかにその者の身体の拘束につき権限を有する者に通知しなければならない。
(弁護人等との外部交通等)
第二十三条被留置者の弁護人等から当該被留置者との面会又は書類その他の物品の授受の申出があったときは、留置主任官は、その者が刑事訴訟法第三十九条第一項に規定する者であることを確認しなければならない。
2捜査主任官は、弁護人等との面会又は書類その他の物品の授受に際し、捜査上の必要があるときは、公訴の提起前に限り、その日時、場所及び時間を指定することができる。ただし、被疑者の防御の準備をする権利を、不当に制限してはならない。
(弁護人等以外の者との外部交通に関する意見聴取)
第二十四条留置主任官は、被留置者に対し弁護人等以外の者から面会の申出があった場合において刑事訴訟法の定めるところにより面会が許されるかどうか又は被留置者と弁護人等以外の者との間で信書を発受すること若しくは被留置者がその作成した文書図画を弁護人等以外の者に交付することが同法の定めるところにより許されるかどうかについて、捜査主任官の意見を聴くものとする。
(留置期限に関する注意)
第二十五条留置主任官は、常に被留置者の留置期限について注意を払い、その期限が満了するまでにその者につき釈放、送致、勾留状の執行等の指揮又は通知がないときは、必ず捜査主任官その他当該被留置者の身体の拘束につき権限を有する者に連絡し、その注意を喚起する等違法に留置することのないようにしなければならない。
(釈放の際の注意)
第二十六条留置主任官は、被留置者の釈放に際しては、釈放の日時、釈放後の帰住地その他必要な事項を明らかにしておかなければならない。
2留置主任官は、被留置者の釈放に際し、領置している金品を返還するに当たっては、その状況を明確にしておかなければならない。
(被留置者の死亡の際の注意)
第二十七条留置業務管理者は、被留置者が自殺し、又は疾病により死亡した場合は、医師の検案を求めるなどして被留置者の死亡の原因を特定するとともに、当該被留置者が死亡するに至った状況を明らかにしておかなければならない。
附 則
(施行期日)
1この規則は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律(平成十八年法律第五十八号)の施行の日(平成十九年六月一日)から施行する。
(経過措置)
2この規則の施行の際現にこの規則による改正前の被疑者留置規則第五条第一項の規定により留置場に備えられている簿冊で次の表の上欄に掲げるものは、この規則による改正後の被留置者の留置に関する規則第五条第一項各号に掲げる簿冊で同表の下欄に掲げるものとみなす。
留置人名簿
被留置者名簿
留置人金品出納簿
被留置者金品出納簿
留置人接見簿
被留置者面会簿
留置人出入簿
被留置者出入簿
留置人文書発受簿
被留置者信書発受簿
留置人診療簿
被留置者診療簿
看守勤務日誌
看守勤務日誌


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

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