告訴事実の書き方19(不動産侵奪罪)【元刑事が解説】

 不動産侵奪罪は、窃盗罪と同様に刑法第235条に規定された犯罪であり、通称「土地の事実上の窃盗」と呼ばれます。この犯罪は、土地の所有権が法務局への登記によって移転されることに関連しません。侵奪罪の処罰対象となる行為は、土地の所有者の承諾なしに勝手に土地を物理的に占有することです。

不動産侵奪罪の行為例

一般的に、不動産侵奪罪に該当する行為は、空き地に建造物を建てることや、大量の建築残土を積み上げることです。これらは、土地の所有者の承諾なしに行われるため、違法とみなされます。

賃貸物件の占有は不動産侵奪罪に該当しない

なお、賃貸物件において賃貸契約終了後に居座り続ける行為は、不動産侵奪罪には該当しません。この場合、別の法律が適用される可能性があります。

不動産侵奪罪の未遂規定

不動産侵奪罪には未遂規定もあります。つまり、実際に土地を占有しなくても、占有しようと試みた段階で罪が成立することがあります。

 他人の土地に勝手に車庫を建てた場合の告訴事実記載例です。

 外周に塀を設置した場合の告訴事実記載例です。


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、警視庁警察官として32年間勤務し、そのうち25年間刑事(捜査員)をやってきました。さらにその中でも知能犯捜査関係部署(主として告訴・告発事件を捜査する部署です)の経験が一番長く、数々の告訴・告発事件に携わってきました。刑事部捜査第二課員当時は警視庁本庁舎(霞が関)1階にある聴訴室で、電話帳のように分厚い告訴状や告発状を持参して来られる弁護士先生方を毎日のように相手にし、ここで大いに鍛えられました。
これまでの経験を活かし、告訴事件の相談を受け告訴状をリーズナブルな料金で作成することで、犯罪被害者の方たちを支援できるのではと考えたからです。
「淺利に頼んで良かった」依頼人の方からそう思っていただける行政書士を目指していきます。

Profile Picture