告訴事実の書き方3(暴行罪・傷害罪)【元刑事が解説】

 暴行罪と傷害罪の告訴事実のご案内:簡単な事実と注意点

暴行罪と傷害罪の告訴事実について解説します。これらの罪は詐欺罪などと比較して、一般的には比較的簡単な事実とされていますが、状況によっては複雑になることもあります。

暴行罪の告訴事実とは?

暴行罪とは、相手に対して暴力を振るうことによって成立する罪です。よくある暴行の態様としては、握りこぶしで殴る足で蹴る手で押し倒す水をかける、または物を投げつけるなどが挙げられます。物を投げつけた場合、当たれば当然成立しますし、当たらなくても体の直近に強く投げつけた場合は「間接暴行」として成立することもあります。

傷害罪とその違い

暴行罪による攻撃が原因で、相手がケガを負った場合、傷害罪が成立する可能性があります。例えば、内出血や切り傷などのケガが発生すると、暴行の結果として傷害罪が適用されます。傷害罪の場合、暴力の結果として傷害が生じることが要件となります。なお、外見上ケガがあれば傷害罪が成立するのですが、実務上は医師の診断書が必要となります。包丁で切られて指を切断したような場合は診断書がなくても傷害罪で受理されますが、内出血や打撲の場合は、診断書がないと暴行でしか受理してくれないことがほとんどです。

暴行罪が成立するケース

暴行罪が成立するのは、攻撃が比較的軽度で、暴行の瞬間には痛みを感じてもすぐに回復する場合が多いです。

暴行罪の供述書を作成する際の記載方法について解説します。日時や発生場所、攻撃の態様など、正確に記載するためのポイントを詳しく説明します。


1. 暴行罪の【日時】の記載方法

暴行罪の供述書では、時間の範囲を広げすぎないのが一般的です。例えば、以下のように記載します。

  • 適切な記載例:「4時0分頃」
  • 不適切な記載例:「4時0分頃から4時3分頃までの間」

暴行の回数が2~3回程度であれば、通常2~3分程度で完了するため、時間の幅を持たせる必要はありません。ただし、暴行が10分以上続いた場合は「4時0分頃から4時10分頃までの間」としても問題ありません。


2. 暴行事件の【発生場所】の書き方

発生場所は、供述書の重要な要素の一つです。具体的な書き方は以下の通りです。

  • 道路上の場合:「○丁目○○番地 路上」
  • 店舗前の場合:「○丁目○○番地 セブンイレブン○○駅前店前路上」
  • 建物内の場合:「株式会社山田商事 1階エレベーターホール前」

事件が発生した場所を明確に記載することで、供述の信憑性を高めることができます。


3. 【暴行時の文言】はシンプルに

暴行時の状況を説明する際は、冗長にならないように注意しましょう。短く簡潔な記載が望ましいです。

  • 適切な記載例:「○○先路上において、告訴人とすれ違う際に傘と傘がぶつかったことに激高し、右手拳で…」
  • 無言だった場合:何も記載しないか、前後関係から理由が明白なら簡潔に記載

4. 【攻撃の態様】を正確に記録

攻撃の仕方については、以下の点を正確に記載します。

  • 攻撃の手段:「右手拳」「左手拳」「持っていた傘」など
  • 攻撃部位:「左頬」「右頬」「右足」「左足」など
  • 攻撃回数:「2回」「3回」「4、5回程度」(思い出せない場合は曖昧な表現可)

左右どちらの手で殴ったか思い出せない場合は、「左右いずれかの手拳で…」と記載すると良いでしょう。


【まとめ】暴行罪の供述書は明確かつ簡潔に!

暴行罪の供述書を書く際は、以下のポイントを押さえましょう。

日時はできるだけピンポイントに記載する
発生場所を具体的に書く
暴行時の状況は簡潔に
攻撃の態様を正確に記録

 次は傷害罪の告訴事実記載例です。

暴行罪と傷害罪の違いを理解することは、法律に関する知識として重要です。実際に、暴行罪の告訴事実と傷害罪の告訴事実は、結語部分を除いてほぼ同じ内容になります。これは、傷害罪が暴行罪の結果的加重犯であり、**「ケガの有無」**が両者を分けるポイントだからです。

1. 傷害罪と暴行罪の違い

  • 暴行罪:暴力を振るったが、ケガがない場合
  • 傷害罪:暴力によってケガを負った場合

傷害罪で重要になるのが、医師の診断書です。診断書には「負傷名」や「全治期間」が記載され、これが告訴の根拠となります。

2. 診断書がない場合の対応

  • 診断書がない場合、「全治不明の左頬打撲傷等の傷害を負った」といった記載を行います。
  • 「全治○日」と「加療○日」は異なるため、適切に記載する必要があります。
  • 医師の診察のみを受けた場合は、「全治10日間を要する見込み」などと表現します。

 PTSDの場合

 傷害致死

 同時傷害


淺利 大輔

あさり だいすけ

行政書士淺利法務事務所 代表

私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。

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