深刻な警察官なり手不足問題の理由【元刑事の意見】
現在、大半の県警において、警察官採用試験の受験者数減と内定辞退者の続出で定員割れとなっているとの報道があります。何が警察官を不人気職としているのか、経験者としてその理由について述べてみます。
1.極端に長い勤務時間
警視庁の内部機関紙に、警視庁の警察官がニューヨーク市警に研修派遣された際の現地警察官との会話が載っていました。
警視庁「日本では犯人と銃で撃ち合いになることなんか10年に1回もありません」
NYP「本当かい?こっちじゃしょっちゅうだぜ。日本の警察官になりたいな」
警視庁「でも、日本の警察官の勤務時間は連続24時間以上でそこから残業もありますよ」
NYP「オーマイガッシュ!やっぱり俺はこっちでいいや」
日本警察の多くもアメリカ警察の多くも同じ「3部制」の交代制勤務をしているのですが、日本警察は3つの係が連続24時間勤務の3日サイクルで回しているのに対し、アメリカ警察は1日を3つに分けて連続8時間勤務をしているそうです。アメリカは、車社会であることと、都市部であっても地下鉄は24時間稼働していることから、こんな勤務も可能なのです。
それにしても、日本警察の連続勤務時間は長すぎます。便宜上24時間と書きましたが、実際には準備のために1時間以上前に出勤し、勤務終了後には事件処理や決裁などで居残りが当たり前なので、実際の勤務時間は30時間を超えることが珍しくありません。さらに世間がGWや年末年始で連続10日連休などと言っている期間も、警察官は通常勤務です。これではなり手が減るのも当然だと思います。この異常に長い勤務時間をどうにかしない限り、警察官のなり手不足は根本的に解消されないと思います。
2.警察学校の訓練忌避
ヤフー知恵袋などの質問サイトで「警察」で検索すると、毎日のように「警察学校では毎日何キロ走らされるのですか?」「腕立てが10回以上続けてできないのですが警察学校卒業できますか?」「警察学校に入ったら1か月以上外出できないって本当ですか?」「スマホは一切使えないのですか?」といった質問が出てきます。それほど、若い人たちにとって警察学校とは「厳しい」「スマホを取り上げられる」「とんでもない距離を走らされる」といったイメージがあるようで、不安感から警察官になることをあきらめる人が少なくないようです。これには、例のキムタク主演の「教場」というドラマの影響もあると思われます。実際のところ、大学4年と社会人4年の間、運動という運動を何もしてこなかった私が卒業できたのですから、そんな極端に長く走らされたり、しごかれたりということはありません。この辺りは、動画などを公開して、警察学校の実際をもっともっと公開していく必要があると思います。
3.警察官になったら旅行はできない?
外泊旅行は上司に届け出をしないとなりません。不許可となることはまずないので、許可制ではありませんが、急な呼び出しがある関係で、居場所は常に明らかにしておく必要があります。また、先に書いたように、連休が少ないので、警察官で旅行を趣味としている人はあまりいないのも事実です。この点も何らかの方策を考える必要があるかと思いますが、店員割れしている現状で警察官に長期連続休暇を取らせることは極めて困難と言わざるを得ません。
4.ハードな勤務の割に給料が安いのでは
これは都道府県警間で大きな格差があります。古い話で恐縮ですが、2005年頃、IBRK県警から警視庁に研修派遣で来ていた警察官と超過勤務代(残業手当)について話していたところ、警視庁は実際に超過勤務した時間の約6割が支給されるのに対し、IBRK県警では予算不足のため、月に100時間超過勤務をしても一律に数時間分しか支給されないとのことを聞いてびっくりしました。警視庁で100時間の超過勤務があれば、30歳代の警察官だとすると時給換算でだいたい3000円ですから3000円×100時間×0.6=18万円です。一方でIBRK県警では、同じ100時間働いたとしても3000円×5時間=1万5000円ということになります。現在では変わっているのかもしれませんが、これではなり手がいなくなっても不思議ではありません。
5.パワハラ横行の体育会系の職場ではないのか?
正直、この傾向はあります。特に管理職となる警部以上の警察官は組織から手厚く守られ、警部補以下の警察官は対抗することができません。私の警察学校同期生で機動隊時代にも一緒に働いた仲間が、上司から追い込まれ、けん銃で自らの命を絶ちました。
なり手不足に対して、警察は給与を大幅に上げるなどの諸対策を講じているようですが、小手先だけの対策では追いつかないと思います。警察官獲得のための抜本的な組織改革が必要だと声を大にして言いたいところです。
淺利 大輔
あさり だいすけ
行政書士淺利法務事務所 代表
私は、2024年6月までの32年間、警視庁警察官として勤務し、そのうち25年間を刑事として告訴・告発事件の捜査に携わってきました。
中でも、告訴・告発を中心に扱う知能犯捜査の経験が最も長く、数多くの事件で、実際に告訴状・告発状を受理し、捜査を進めてきました。
刑事部捜査第二課在籍時には、警視庁本庁舎(霞が関)の聴訴室において、告訴状を持参される弁護士の先生方と日々向き合い、
「事件として受理すべきか」「問題点は何か」
その現場の判断基準を、実務の中で徹底的に学び、鍛えられてきました。
だからこそ私は、警察が何を重視し、どこを見て告訴状を判断するのかを、初期段階から具体的に想定しながら作成することができます。
告訴・告発事件については、刑事の中でも専門性を持って取り組んできた分野であり、強い自負があります。
現在は、千葉県犯罪被害者支援センター会員として、
「費用面で弁護士への依頼をためらっている方」
「警察に何度も相談したが、前に進めずにいる方」
そうした犯罪被害者の力になりたいとの思いから、行政書士として告訴状・告発状の作成支援を行っています。
実際に、
「告訴、受理されました。淺利さんにお願いして本当に良かったです」
というご連絡をいただく瞬間が、何よりの喜びであり、この仕事を選んで良かったと心から思う瞬間です。
警察の内側を知る行政書士として、
“受理される可能性を高める告訴状・告発状”を、本気でサポートします。


